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不登校支援の様々なかたち ~支援機関・相談機関の紹介~

専門家に聞く!統計データから見る!不登校脱却のヒント

不登校は、残念ながら、家庭と学校だけでは、なかなか解決に至らない場合が多いのです。とはいえ、それで万策尽きたわけではありません。頼ってみるところ、試してみる手段は、まだあります。子どもが抱える問題(心理的・精神的なもの、対人関係、親子関係など)をひとつひとつ解きほぐしながら、再登校・学校復帰をめざしたり、または学校復帰にこだわらず、学校以外の新しい居場所を見つけたりするうえで力になってくれる支援機関・相談機関があります。

支援機関・相談機関の紹介

公的な支援機関・相談機関

設置の有無や名称は自治体によって異なりますが、不登校の児童生徒と親(保護者)ための支援機関・相談機関として次のようなものがあります。

教育支援センター

区市町村教育委員会が設置する施設です。不登校の児童生徒の学校復帰を支援し、社会的自立に資することを目的として、教科の学習、体験活動、カウンセリングなどを行っています。

ただし、在籍はしていても実際には通っていない児童生徒も多いといわれ、児童生徒宅へ出向く訪問型の支援や、パソコン・スマートフォンなどのICT(情報通信技術)を活用した支援の必要性も高まっています。

教育相談所(教育相談室)

区市町村教育委員会が設置する施設です。不登校や発達障害ほか様々なことについて、心理士・教職経験者・ソーシャルワーカーなどのスタッフに相談し、定期的なカウンセリングを受けることができます。

子供家庭支援センター・児童相談所・福祉事務所

子供家庭支援センターは、子どもと家庭に関するあらゆる相談に応じ、支援や保護の必要な子供と家庭の問題に対処します。児童相談所は、少年犯罪や虐待など児童福祉に関する相談を受け付け、福祉事務所は生活保護など福祉一般に関する困りごとに応じます。

保健所・精神保健福祉センター

保健所では、メンタルヘルスなどに関する相談を受け付けています。精神保健福祉センターは、特に心の問題や病気についての相談を専門的に扱います。

ほかにも公立・私立の病院・診療所のうち、心療内科や精神科など該当の診療科があるところでは、不登校の要因になりうる心身の疾患について、診察・検査・処置を行うほか、入院にも応じます。

学校以外の新しい居場所を見つける

民間団体・民間施設

民間でも様々な団体や施設が不登校の児童生徒の支援に関わっています。その代表的なものにフリースクールがあります。

フリースクール

不登校の児童生徒に対し、個別学習や集団学習、相談・カウンセリング、社会体験や自然体験などの機会や場所を提供する民間施設で、多くはNPO法人をはじめとする法人組織です。児童生徒数は10人くらいまでの規模のフリースクールが多いようです。平成27年の文科省の調査によると、授業料は月額1~3万円、3~5万円がそれぞれ4割弱を占めています。

それぞれのフリースクールが子どもたちのためを考えた独自のカリキュラムで教育活動を進めています。小中学校のカリキュラムや時間割に近いものもあれば、音楽やアートなどに特に力を入れるものなど様々です。

上記の調査では、フリースクールの職員のうち教員免許保有者は約37%(うち教職経験者は約25%)。心理や福祉の専門資格を有するスタッフがいる施設もあります。

不登校の児童生徒がフリースクールで学ぶと、一定の要件を満たせば、在籍する小中学校の校長が指導要録上出席扱いとすることができます。

フリースクールは各都道府県にありますが、大都市や各地の中心都市に偏在しているのが現状です。

不登校の親の会

子どもの不登校という事態に直面したほとんどの親は、知識の上でも、心構えの上でも、準備ができていないのが普通です。学校へ行かなくなった/行けなくなった子どもを前にして、親が大きな動揺と不安におそわれるのは当然です。しかし、子どもの不登校・ひきこもりの解決には、親が落ち着きを取り戻し、余裕をもって子どもに接することができるようになることが大切です。そこで大きな助けになりうるのが、不登校の子を持つ親の会――同じ課題を抱える親たちが自発的につくった団体です。

親の会は子どもの不登校という同じ課題と同じ悩みを持つ人たちの集まりですから、そこではきっと話が通じます。理解し合えます。会合に参加して「悩んでいるのは自分ひとりではない」と実感できるだけでも、心が少し軽くなるはずです。子どもへの接し方や学校・担任との関わり方などについての具体的なアドバイスほか、さまざまな情報交換の場所になります。

住んでいる地域か近隣市町村にそのような親の会があるかどうか、探してみましょう。親の会がホームページやブログなどのwebサイトを持っていれば、ネット検索で見つけられます。そうでない場合でも、地域の催し物紹介のサイトに親の会の情報が掲載されているかもしれません。そのほか、地域の広報誌やフリーペーパーに会合の案内が掲載されていたり、公民館・文化センターなど集会場所となる施設に掲示されていたりします。また、地域の教育委員会が親の会の情報を持っていることもあります。

有益な場所であるはずの親の会ですが、主宰者・代表の運営力や統率力に問題があると、会の中で妙な対立が生まれたり、会の目的が見失われたりする心配もあります。また、あまりに自分と性格の合わない人がいたり、会合の頻度が高すぎたりすると、参加することが苦痛になるかもしれません。親の会に加わる前に、会合を何度か見学させてもらい、感触を確かめてみるとよいでしょう。

親子の心理状態をできるだけ健康に

不登校カウンセラー

民間の心理クリニックやカウンセリング室でも不登校の子どもと親の相談を受けています。不登校・ひきこもりに特化したクリニックや相談センターもあります。公的な相談機関・支援機関ではないので、もちろん有料です。

精神科医や公認心理師・臨床心理士など、心の不調に関する専門資格を持つ人がカウンセラーとなって、不登校の子どもや親の話を聞くのがふつうです。そうした専門資格を持つ人なら、職業倫理としてプライバシーが厳守されるので安心できます。

電話などで訪問日時を予約、たいていは1回につき50分か60分の面接となります。民間私立のカウンセリング機関の料金は1回につき1万円というのがおおまかな相場です(カウンセリングは健康保険の適用外)。相談内容によりますが、まず3~4回のカウンセリングで様子を見て、継続か終了かを判断します。不登校の子どもの場合は、やや長くかかるものと考えておくべきでしょう。もちろん、疲弊しがちな心のケアの場としてカウンセリングを利用する親もいます。

どんなカウンセリングであっても、継続か終了かを決めるのはカウンセリングを受ける側、というのが原則です。カウンセラーは、それまでの経過を踏まえてカウンセリングの継続か終了かの意見を述べますが、最終的にはカウンセリングを受けている子や親の意思で決めます。

これは必ずしも悪質というわけではないのですが、カウンセリングを途中でやめにくい環境ができているケースがあります。たとえば「数回分の料金を前払いしている」「カウンセリングは10回ワンセットなどと説明を受けている」「これまで話を聞いてもらったカウンセラーに気をつかってしまう」など。あらかじめ、途中終了した場合の払い戻しについて確かめ、説明に納得できないようであれば、そのカウンセリング機関を選ばないのが賢明です。

とくに不登校を専門に扱う支援機関であれば、いま在籍している学校への再登校だけでなく、フリースクールや通信制高校など別の選択肢の提案もあってしかるべきでしょう。具体的な行動案を提示せず、心理カウンセリングだけで解決を図るようでは、かえって問題が長引く心配もあります。また、なかには意図的にそうして、相談者を顧客としてつなぎとめるような機関も存在します。相談者が自立して問題に対処するのを助けるべきところを、逆にカウンセラーに精神的に依存させてしまうような方法をとるような例もあります。

年々需要が増して社会に欠かせない役割を担うようになっているカウンセリングですが、相談する側も少し注意して相談機関選び、利用することが重要です。

引きこもり自立支援サービス

不登校の子どもが高校生までなら、まだ関わりがないでしょうが、ひきこもりの子を持つ家庭を対象にした自立支援サービスがあります。サービス内容をよく確かめましょう。近年トラブル事例が多く報告されています。俗に「引き出し屋」と呼ばれる業者が親から依頼を受け、ひきこもりの子どもを強制的に部屋から連れ出し、マンションやアパートの一室に押し込んで高額費用を請求するというものです。業者の行為は、逮捕監禁罪にあたる犯罪です。

親の立場になってみれば、そんな業者に子どもをゆだねてしまう気持ちも分からなくはありません。子どもが不登校から長期のひきこもりに移行し、どう手を尽くしても問題が解決できない。このままでは親子も行き詰まる。これ以上は子どもの暴言や暴力に我慢できない。――そこで、一種のショック療法に望みをかけたくなるというわけです。しかし、これでは親子関係が修復しがたいほどに壊れてしまいます。

不登校やひきこもりの解決は長丁場になることが多いと、ほとんどの専門家は話します。相談やカウンセリングを続けてもなかなか解決の糸口がつかめないことも往々にしてあります。カウンセリングなど生ぬるい方法だと感じるかもしれませんが、それは早計です。カウンセラーのような第三者が介在し、親子の心理状態をできるだけ健康に保って現状維持をするだけでも大きな意味があると思います。相談機関や親の会などをもう一度信じて、辛抱強く問題に対処していきましょう。

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(入学可能都道府県:東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,茨城県,群馬県,栃木県,静岡県,山梨県,長野県)

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