通信制高校とは?

通信制高校の基礎知識 ー 通信制高校とは?

教室イメージ

メディアなどでもしばしば話題にあがる通信制高校ですが、意外と詳しくは知らない、という人も多いのではないでしょうか。知っているという人も、過去のイメージ(働きながら高卒を目指す苦学生/不登校生のための学校など)をお持ちの方も多いでしょう。

では、【通信制高校】とは、どんな学校なのでしょうか。

ざっくりお伝えすると、郵送やパソコン、タブレット、スマートフォンを活用してレポートを提出し、学校ごとに定められた日数のスクーリング(登校)とテスト(中間・期末)をこなすことにより、単位を取得していく学校です。

そして、不登校やひきこもりなど何かしらの事情を抱えている人をはじめ、早くから目標(なりたい職業や大学受験)が定まっている人、スポーツや芸能を中心に高校生活を送りたい人など、幅広いニーズに応えている学校です。

ここでは、通信制高校の仕組みをはじめ、細かい特徴やメリット・デメリットも織り交ぜながら、紹介していきます。

全日制高校・定時制高校・通信制高校の違いは?

そもそも日本の高校には【全日制】【定時制】【通信制】、3つの教育課程があります。そして、どの教育課程を卒業してもまったく同じ『高校卒業資格』となります。では、何が違うのかを見ていきましょう。

登校の回数と授業レベルが違う

登校タイプ

《登校回数》

全日制高校は基本的に平日の昼間に登校し、時間割に沿って1日おおよそ5時限~7時限の授業を受けます。定時制高校は夜間もしくは昼間に登校し、授業時間は4時間となります。一方、通信制高校は学校・コースによっても大きく異なります。全日制タイプといわれる週5日登校もあれば、週1日~3日の登校、年1回の長期合宿に参加するなど、登校形態もさまざまです。ちなみに通信制高校への登校は『スクーリング』と言います

スクーリングについては、次項で詳しく説明します。

《授業レベル》

全日制高校は基礎学習から大学受験まで対応していることがほとんどです。一方、定時制高校、通信制高校ともさまざまな事情を抱える生徒を対象としていることから全日制と比べると学習内容が平易なものになっています。ですから、大学進学を第一の目標に掲げる生徒にとっては、定時制高校や通信制高校の学習内容だけではけっして十分とは言えません。

しかしながら、授業で足りない分は自学自習で補えば問題はありませんし、通信制高校の場合、大学受験に特化した進学コースを設置している学校も多いため、自分自身の目的にあわせて学校・コースを選べば大丈夫でしょう。また、難関大学を目指すなら全日制高校と比べると時間的には余裕があるでしょうから予備校に通う手もあります。

仮に全日制の進学校に在籍していたとします。でも、ロクに勉強もせず下位の成績だとしたら、希望の大学には進めないでしょう。要するにどの教育課程に進学しても自分の努力次第で道は開けるということです。

通信制高校の仕組みをご紹介

新入学と転・編入学の時期・卒業時期

通信制高校の多くは、2学期制を採用しているため、入学時期を4月と10月の2回に設定しています。また、『単位制』を採用しているので、転・編入学の場合、随時入学が可能です。

区分:入学時期
新入学:4月と10月
転入学:基本的に随時
編入学:4月と10月、学校によって随時

一方、卒業時期については、どの区分(新入学・転・編入学)で入学しても、2学期制を採用している学校の場合、3月と9月の卒業となります。もちろん、卒業に必要な74単位を取得していることが前提です。

多くが採用している『単位制』とは

ほとんどの通信制高校が採用している『単位制』について、文部科学省のホームページには下記の通り掲載されています。

“単位制高等学校は、学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる高等学校です。
昭和63年度から定時制・通信制課程において導入され、平成5年度からは全日制課程においても設置が可能となっています“

文部科学省

単位制を導入している高校の特色としては、

・自らの学習計画に基づいて、自分の興味や関心のある科目を選択し、学ぶことができる。
・学年の区分がないことから『留年』がない。自分のペースで学習に取り組むことができる。

が挙げられる、と文部科学省は言っています。(一部表現を変更してあります)

要するに単位制・通信制高校のメリットは、『留年』という概念がないため、学年を意識せずに自分のペースで科目を履修できること。ですから、「働きながら高卒資格を取りたい」「スポーツに専念したい」「不登校だけど学校に通いたい」という人に向いているといえます。

また、全日制や定時制高校から通信制高校に転・編入学する場合、在籍校(退学の場合は前籍校)で取得した単位を通信制高校の判断によりそのまま引き継ぐことができます。前籍校での努力がムダにならずに済むので非常にうれしい制度であり、転入学の場合は通算3年で卒業できる可能性も大いに残ります。

通信制高校のスクーリングとは?

前項で触れた「スクーリング」ですが、ここでは通信制高校のスクーリングに絞って説明します。

通信制高校は「レポートの提出」「スクーリング(登校)」「テスト(中間・期末)」を繰り返すことで、単位の取得をおこないます。その積み重ねで、卒業に必要な74単位を取得し、高校卒業の資格を得ることができるのです。ですから、卒業するためにはこの「スクーリング(登校)」が欠かせません

《通信制高校のスクーリングとは》

通信制高校の本校や、キャンパス・学習センター等と呼ばれるスクーリング会場に登校して、教員から対面式の指導(授業)を受けることを指します。スクーリングの回数は単位(科目)ごとに決まっており、単位の取得には定められた回数をこなす必要があります。また、スクーリングの方法は主に3通りとなります。

集中型スクーリング(長期休暇を利用)
合宿型スクーリング(宿泊施設を利用)
登校型スクーリング(週1日~5日の登校)

《スクーリングに参加しなくてよい方法はある?》

通信制高校の卒業要件のひとつに『スクーリング参加』という条件があるため、残念ながらスクーリングへの参加は欠かせません。

ですが、特別な事情でスクーリングに参加できない生徒を対象に放送視聴教材やオンライン授業の報告レポートにより、スクーリングの時間数を減免対応している学校もあるようです。

また、どうしてもスクーリングに行きたくない人は、スクーリングの日数が少ない学校を検討してみるとよいかもしれません。

●不登校でも通いやすい!自宅学習型で学費が安い通信制高校
ID学園高等学校 通信型フレックスコース
(入学可能都道府県:東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,茨城県,群馬県,栃木県,静岡県,山梨県,長野県,京都府,奈良県,大阪府,兵庫県)

レポートとは ― 難易度は?提出方法と頻度は?

レポート提出

通信制高校の学習には、レポート(課題の添削)の提出が欠かせません。これは、生徒が毎日登校して授業を受けることが少ないことから、教職員が生徒の学習進捗度を把握する役割を担っています。

《レポート作成の難易度》

レポートは学校ごとに定められた回数を科目ごとに作成・提出し、添削指導を受けることになります。ただし、レポートと言っても、みなさんがイメージする大学などの論述形式の報告書とは異なり、支給された教科書を見ながら穴埋めできる問題形式のようなものが多いようです。ですから、単位取得のためのレポート作成は、それほど難易度は高くないと言えるでしょう。しかし、大学受験を目指す場合には別途、学習計画を立てる必要があることも申し添えておきます。

《レポートの提出方法と頻度》

郵送での提出を求める学校もありますが、eラーニングを実施している学校も増えているので、みなさんが使い慣れているスマートフォンや、パソコン、タブレットでの提出も可能となります。

では、頻度はどうでしょうか。

通信制高校の卒業要件の一つである74単位を3年間で均等に取得するとします。
その場合、年間25単位を取得することになりますが、1単位あたり2~4枚程度のレポート提出が必要になると考えてください。(教科により異なります)

この条件で算出すると、年間50枚~100枚になります。年間48週ありますから、ならすと週あたり最大2枚程度しかない計算になりますので、全日制高校の宿題と比べてもそこまで大変ではないと思います。

個人差はありますが、レポート1枚あたり30分~1時間程度の所要時間と学校関係者から聞きます。

広域通信制高校と狭域通信制高校の違い

お住いの都道府県によっては入学できない通信制高校も存在するので注意が必要です。

通信制高校には『広域』と『狭域』が存在します。

広域通信制高校:入学可能エリアは3~47都道府県
狭域通信制高校:入学可能エリアは本校所在地+1都道府県

公立の通信制高校は基本的に狭域です。(大分県立爽風館高校を除く)一方、私立の通信制高校は広域・狭域ともに多く存在しています。公立・私立、いずれにせよ検討している学校が広域・狭域のどちらなのか、自分が入学可能都道府県に住んでいるのかをパンフレットや公式サイトで良く調べることをオススメします。

公立通信制高校と私立通信制高校のメリット・デメリットは?

公立・私立、それぞれにメリット・デメリットが存在しますが、結論から言うと私立通信制高校のほうがあらゆる面で優位といっても良いと思います。

《公立通信制高校》

・メリット
学費が安い

・デメリット
卒業率が低い
サポートが手薄
スクーリングの融通が利かない

《私立通信制高校》

・メリット
卒業率が圧倒的に高い
サポートが手厚い
スクーリングの設定が柔軟
学校行事が豊富
生徒がほぼ同年代

・デメリット
学費が高い(ただし、高等学校等就学支援金や自治体の支援制度を利用すればかなり安くなる可能性が高い)

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