通信制高校はどんな学校?全日制高校との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

教室イメージ

メディアなどでもしばしば話題にあがる通信制高校ですが、意外と詳しくは知らない、という人も多いのではないでしょうか。知っているという人も、過去のイメージ(働きながら高卒を目指す苦学生/不登校生のための学校など)をお持ちの方も多いでしょう。

では、【通信制高校】とは、どんな学校なのでしょうか。

ざっくりお伝えすると、郵送やパソコン、タブレット、スマートフォンを活用してレポートを提出し、学校ごとに定められた日数のスクーリング(登校)とテスト(中間・期末)をこなすことにより、単位を取得していく学校です。

そして、不登校やひきこもりなど何かしらの事情を抱えている人をはじめ、早くから目標(なりたい職業や大学受験)が定まっている人、スポーツや芸能を中心に高校生活を送りたい人など、幅広いニーズに応えている学校です。

ここでは、通信制高校の仕組みをはじめ、細かい特徴やメリット・デメリットも織り交ぜながら、紹介していきます。

もし通信制高校に興味が湧きましたら、ぜひ下記より自身に合った通信制高校を探してみてください。

通信制高校とは?通信教育を使って場所を選ばずに勉強できる高校

通信制高校とは、場所を選ばずに勉強ができる教育機関の一つです。全日制高校と同じように単位を取得し、卒業資格を得られます。

通信制高校の特徴としては、教材や課題が郵送やオンラインで提供されるので通学が必要なく、地理的な制約や交通の問題を気にせずに自由に学べることです。

通信制高校の3つのメリットとは

通信制高校のメリットを3つ紹介します。

 ・自分好みの学び方ができる
 ・通学のストレスがなくなる
 ・入学や卒業といった条件の自由度が高い

順に紹介します。

メリット①自分好みの学び方ができる

通信制高校のメリットの一つは、自分好みの学び方ができることです。通信制高校では、個別の学習計画を立てるので、自分のペースで学習を進められます。

もしもある科目が得意であれば、早めに進めることも可能ですし、苦手な科目に時間をかけることもできます。

これにより、自分の学力や興味に合わせた学び方ができ、より効果的な学習が期待できます。

メリット②通学のストレスがなくなる

通信制高校のメリットとして挙げられるのは、通学のストレスがなくなるという点です。通常の学校では、毎日の通学が必要ですが、通信制高校ではその必要がありません。

自宅や図書館など、自分が学習に集中できる場所で勉強できます。また、交通費や通学時間の節約もできるため、経済的な面でもメリットがあります。

通学にかかるストレスを軽減することで、学習に集中できる環境を整えられるでしょう。

メリット③入学や卒業といった条件の自由度が高い

通信制高校のメリットとしては、入学や卒業といった条件の自由度が高いという点が挙げられます。通信制高校では、一般的な学校よりも入学試験や卒業条件が緩やかです。

特に、学習の遅れがある場合や学校に通うことが難しい状況にある場合でも、通信制高校ならば柔軟な対応が可能です。

また、卒業後も進学や就職に制約が少なく、自分の進路を自由に選べるでしょう。

通信制高校の3つのデメリットとは

次に通信制高校のデメリットを3つ紹介します。

 ・計画性を持って学習しなければならない
 ・友人や先生との交流が少ない
 ・「進学には不利」というマイナスの偏見が多い

それぞれ紹介しますので、メリットと一緒に押さえておきましょう。

デメリット①計画性を持って学習しなければならない

通信制高校では計画性を持って学習しなければなりません。通常の学校と異なり、自宅や図書館などで自主的に学習するため、自己管理能力が求められます。

自分自身でスケジュールを立て、学習時間を確保する必要があります。そのため、計画性を持って学習することが重要です。

計画を立てずに学習を先延ばしにしてしまうと、学習の遅れや成績の低下につながる可能性があります。

デメリット②友人や先生との交流が少ない

通信制高校では他の生徒や先生との交流が少ないというデメリットもあります。通常の学校では、クラスメートや先生とのコミュニケーションを通じて学びや成長を促せますが、通信制高校ではそれが難しい場合があります。

学校に通わずに学習するため、他の生徒との交流機会が限られることもあるので、友人関係や学校生活の一部を経験する機会が少なくなるかもしれません。

デメリット③「進学には不利」というマイナスの偏見が強い

通信制高校には進学に対するマイナスイメージもあります。

一部の人々は、通信制高校の卒業生が進学する際に不利になると考えていたり、一般的な高校と比較して、学校の評判やカリキュラムの内容に対する偏見が存在したりしています。

これは、通信制高校の学習スタイルが一般的な学校と異なるため、進学先の大学や専門学校での入学審査においてマイナスになる可能性があるという誤解に基づいています。

全日制高校・定時制高校・通信制高校の違いは?

登校タイプ

そもそも日本の高校には【全日制】【定時制】【通信制】、3つの教育課程があります。そして、どの教育課程を卒業してもまったく同じ『高校卒業資格』となります。では、何が違うのかを見ていきましょう。

違い①登校回数

全日制高校は基本的に平日の昼間に登校し、時間割に沿って1日おおよそ5時限~7時限の授業を受けます。定時制高校は夜間もしくは昼間に登校し、授業時間は4時間となります。

一方、通信制高校は学校・コースによっても大きく異なります。全日制タイプといわれる週5日登校もあれば、週1日~3日の登校、年1回の長期合宿に参加するなど、登校形態もさまざまです。

ちなみに通信制高校への登校は『スクーリング』と言います。スクーリングについては、次章で詳しく説明します。

違い②授業レベル

全日制高校は基礎学習から大学受験まで対応していることがほとんどです。一方、定時制高校、通信制高校ともさまざまな事情を抱える生徒を対象としていることから全日制と比べると学習内容が平易なものになっています。

ですから、大学進学を第一の目標に掲げる生徒にとっては、定時制高校や通信制高校の学習内容だけでは決して十分とは言えません。

しかしながら、授業で足りない分は自学自習で補えば問題はありませんし、通信制高校の場合、大学受験に特化した進学コースを設置している学校も多いため、自分自身の目的にあわせて学校・コースを選べば大丈夫でしょう。

また、難関大学を目指すなら全日制高校と比べると時間的には余裕があるでしょうから予備校に通う手もあります。

仮に全日制の進学校に在籍していたとします。でも、ロクに勉強もせず下位の成績だとしたら、希望の大学には進めないでしょう。

要するにどの教育課程に進学しても自分の努力次第で道は開けるということです。

違い③在籍期間

全日制高校では、通常、3年間の在籍期間が設けられています。

これは、一般的な高校生活の期間であり、学年ごとに進級し、卒業まで進学を続けることが求められます。この在籍期間は、一般的には4月から始まり、3月に卒業式が行われる形式です。

一方、通信制高校では、在籍期間はより柔軟です。通信制高校では、学習の進み具合に応じて個別のスケジュールを組めますので、通信制高校の在籍期間は、個人の学習ペースによって異なります。

よって、通常最低でも3年以上の在籍が必要ですが、一部の生徒は4年以上通学することもあります。

通信制高校の特徴/仕組みとは

本章では通信制高校の特徴/仕組みを紹介します。

 ・入学者選抜試験・入学時期
 ・レポート
 ・スクーリング
 ・単位制
 ・卒業要件
 ・授業料

順に紹介します。

特徴①入学者選抜試験・入学時期

通信制高校の多くは、2学期制を採用しているため、入学時期を4月と10月の2回に設定しています。また、『単位制』を採用しているので、転・編入学の場合、随時入学が可能です。

 ・新入学:4月と10月
 ・転入学:基本的に随時
 ・編入学:4月と10月、学校によって随時

上記のような特徴となっています。

特徴②レポート

レポート提出

通信制高校の学習には、レポート(課題の添削)の提出が欠かせません。

これは、生徒が毎日登校して授業を受けることが少ないことから、教職員が生徒の学習進捗度を把握する役割を担っています。

《レポート作成の難易度》

通信制高校のレポートは学校ごとに定められた回数を科目ごとに作成・提出し、添削指導を受けることになります。

ただし、レポートと言っても、みなさんがイメージする大学などの論述形式の報告書とは異なり、支給された教科書を見ながら穴埋めできる問題形式のようなものが多いようです。

ですから、単位取得のためのレポート作成は、それほど難易度は高くないと言えるでしょう。

しかし、大学受験を目指す場合には別途、学習計画を立てる必要があることも申し添えておきます。

《レポートの提出方法と頻度》

郵送での提出を求める学校もありますが、eラーニングを実施している学校も増えているので、みなさんが使い慣れているスマートフォンや、パソコン、タブレットでの提出も可能となります。

では、頻度はどうでしょうか。

通信制高校の卒業要件の一つである74単位を3年間で均等に取得することとします。

その場合、年間25単位を取得することになりますが、1単位あたり2~4枚程度のレポート提出が必要になると考えてください。(教科により異なります)

この条件で算出すると、年間50枚~100枚になります。年間48週ありますので、ならすと週あたり最大2枚程度しかない計算になります。

よって、全日制高校の宿題と比べてもそこまで大変ではないと思います。

個人差はありますが、レポート1枚あたり30分~1時間程度の所要時間と学校関係者から聞きます。

特徴③スクーリング

前項で触れた「スクーリング」ですが、ここでは通信制高校のスクーリングに絞って説明します。

通信制高校は「レポートの提出」「スクーリング(登校)」「テスト(中間・期末)」を繰り返すことで、単位の取得をおこないます。

その積み重ねで、卒業に必要な74単位を取得し、高校卒業の資格を取得できます。よって、卒業するためにはこの「スクーリング(登校)」が欠かせません

通信制高校の本校や、キャンパス・学習センター等と呼ばれるスクーリング会場に登校して、教員から対面式の指導(授業)を受けることを指します。

スクーリングの回数は単位(科目)ごとに決まっており、単位の取得には定められた回数をこなす必要があります。

また、スクーリングの方法は主に3通りとなります。

・集中型スクーリング(長期休暇を利用)
・合宿型スクーリング(宿泊施設を利用)
・登校型スクーリング(週1日~5日の登校)

上記のようなスクーリングで通信制高校に登校するとイメージしておきましょう。

《スクーリングに参加しなくてよい方法はある?》

通信制高校の卒業要件のひとつに『スクーリング参加』という条件があるため、残念ながらスクーリングへの参加は欠かせません。

ですが、特別な事情でスクーリングに参加できない生徒を対象に放送視聴教材やオンライン授業の報告レポートにより、スクーリングの時間数を減免対応している学校もあるようです。

また、どうしてもスクーリングに行きたくない人は、スクーリングの日数が少ない学校を検討してみるとよいかもしれません。

●不登校でも通いやすい!自宅学習型で学費が安い通信制高校
ID学園高等学校 通信型フレックスコース
(入学可能都道府県:東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,茨城県,群馬県,栃木県,静岡県,山梨県,長野県,京都府,奈良県,大阪府,兵庫県)

特徴④単位制

ほとんどの通信制高校が採用している『単位制』について、文部科学省のホームページには下記の通り掲載されています。

“単位制高等学校は、学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる高等学校です。
昭和63年度から定時制・通信制課程において導入され、平成5年度からは全日制課程においても設置が可能となっています“

引用:文部科学省

単位制を導入している高校の特色としては、下記が挙げられると文部科学省よりわかります。

 ・自らの学習計画に基づいて、自分の興味や関心のある科目を選択し、学ぶことができる。
 ・学年の区分がないことから『留年』がない。自分のペースで学習に取り組むことができる。

(一部表現を変更してあります)

要するに単位制・通信制高校のメリットは、『留年』という概念がないため、学年を意識せずに自分のペースで科目を履修できること。

よって、「働きながら高卒資格を取りたい」「スポーツに専念したい」「不登校だけど学校に通いたい」という人に向いているといえます。

また、全日制や定時制高校から通信制高校に転・編入学する場合、在籍校(退学の場合は前籍校)で取得した単位を通信制高校の判断によりそのまま引き継げます。

前籍校での努力がムダにならずに済むのでうれしい制度であり、転入学の場合は通算3年で卒業できる可能性も大いに残ります。

特徴⑤卒業要件

通信制高校の多くは在籍期間が3年以上であれば、所定の単位を修得し卒業ができるでしょう。単位を修得するためには、年間約50~60回のレポート提出とスクーリング、そして単位認定試験の合格が必要です。

学年がないため、単位を取れなかったとしても、基本的には留年することはありません。

特徴⑥授業料

地域や学校によって異なりますが、例えば都立の通信制高校では、通信教育の授業料が1単位あたり約336円かかります。

卒業には74単位以上が必要ですので、卒業までに必要な受講料は約2万4,864円になります。

さらに、年間165円の日本スポーツ振興センター共済掛金や、実習のための教材費、レポート提出のための郵送費も必要になることがあります。

制服は一般的には存在しませんが、私立の通信制高校の場合、例えば明聖高校の通信コース・WEBコースでは、年間の授業料が18万円、施設費が1万円となっています。

通信制高校に関するよくある質問

最後に通信制高校に関するよくある質問を紹介します。

 ・通信制高校が人生終わりって言われるのはなんで?
 ・通信制高校とサポート校の違いとは?
 ・広域通信制高校と狭域通信制高校の違いはなに?
 ・効率通信制高校のメリットとデメリットはなに?
 ・私立通信制高校のメリットとデメリットはなに?

それぞれ紹介しますので、同じような疑問をお持ちの方はぜひ参考にしてください。

通信制高校が人生終わりって言われるのはなんで?

通信制高校が「人生終わり」と言われる理由としては下記が挙げられます。

 ・全日制高校に通うのが「普通」という認識が広がっているから
 ・進学や就職に不利という思い込みが強いから
 ・マイナス・ネガティブな偏見が多いから

多くの学生が全日制高校に通っているため、「全日制高校が普通」という認識が広がってしまっているが故に、「人生終わり」とマイナスなイメージがあるようです。

通信制高校とサポート校の違いとは

通信制高校とサポート校の違いとしては、「高等学校であるかないか」です。

通信制高校の場合、学校教育法により高等学校と定められていますが、通信制サポート校に関しては、学校教育法では高等学校と定められていません。

よって、サポート校で勉強をしていても高校卒業資格をの取得はできないので注意しましょう。

広域通信制高校と狭域通信制高校の違いはなに?

お住いの都道府県によっては入学できない通信制高校も存在するので注意が必要です。

通信制高校には「広域」と「狭域」が存在します。

 ・広域通信制高校:入学可能エリアは3~47都道府県
 ・狭域通信制高校:入学可能エリアは本校所在地+1都道府県

公立の通信制高校は基本的に狭域です。(大分県立爽風館高校を除く)一方、私立の通信制高校は広域・狭域ともに多く存在しています。公立・私立、いずれにせよ検討している学校が広域・狭域のどちらなのか、自分が入学可能都道府県に住んでいるのかをパンフレットや公式サイトで良く調べることをオススメします。

公立通信制高校のメリットとデメリットはなに?

公立通信制高校のメリットとデメリットは下記が挙げられます。

メリットデメリット
・学費が安い・卒業率が低い
・サポートが手薄
・スクーリングの融通が効かない

私立通信制高校のメリットとデメリットはなに?

私立通信制高校のメリットとデメリットは下記が挙げられます。

メリットデメリット
・卒業率が圧倒的に高い
・サポートが手厚い
・スクーリングの設定が柔軟
・学校行事が豊富
・生徒がほぼ同年代
・学費が高い
(ただし、高等学校等就学支援金や自治体の支援制度を利用すればかなり安くなる可能性が高い)

まとめ

本記事では、通信制高校に通うメリット・デメリットや、全日制高校・定時制高校との違い、通信制高校の仕組みについて詳しく紹介しました。

「通信制高校は人生終わり」といわれることもありますが、それは偏見でしかありません。無理して全日制の高校に通うのではなく、自身に合った学び方で勉強するのが重要です。

本記事を読んで全日制高校と通信制高校との違いを把握し、自分に合った学習スタイルで高等学校を卒業してください。

また、本記事を読んで通信制高校にご興味を持った方は下記より各通信制高校の資料を見ていただけたらと思います。

エリアややりたいこと別に多くの通信制高校の資料を取り扱っていますので、ぜひお問い合わせください。

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