通信制高校・高等専修学校ニュース

子どもが不登校になったら
原則②「コミュニケーションを保つ」

新しい学校選びの基準 ニュースクからのアドバイス

※前記事:子どもが不登校になったら_原則①ふつうの生活リズムを保つ

不登校が増え続けています。

小学生8万人、中学生16万人――不登校の児童生徒が2021年度、過去最多の24万人を超えました。

では自分の子どもが不登校になったら、どうすればよいか。

過去に本サイトの記事「子どもが不登校になった時、親ができること――3つのアドバイス」で、不登校期間の過ごし方で意識してほしい3つの原則を示しました。

不登校の実態の調査結果を紹介しつつ、3回にわたって不登校期間の過ごし方について改めて詳しく述べたいと思います。

第2回は「コミュニケーションを保つ」です。

問題があっても相談しない生徒

悩む学生

不登校の始まりと長期化には、コミュニケーションの問題が大きくかかわっています。

まずは不登校の始まりの方から見てみます。不登校が始まりかけた時に、誰にも相談しないでいる中学生が多いのです。

不登校になる前に、学校へ行きづらいことを先生や学校のカウンセラーに相談した中学生の割合は、先生もカウンセラーもそれぞれ1割程度。中学生の約42%が「誰にも相談しなかった」と答えています。家族に相談した割合は45%でした(複数回答)。

これは文科省が2000年度に発表した「不登校児童生徒の実態調査の結果」の一部です。

相談や声かけも効果なしか

この回答結果から、相談体制の充実が必要に思えますが、不登校を経験した中学生自身は、そう思っていないようなのです。

というのも、同調査で「学校を休みたいと感じ始めてから実際に休み始めるまでの間に、どのようなことがあれば休まなかったと思うか」を尋ねたところ、中学生の答えは「特になし」が57%でした。

かなり有効に思える「学校の友だちからの声かけ」も、それがあったら休まなかったと思う中学生は、せいぜい17%です。スクールカウンセラーや学校以外の相談窓口の利用は、すべて合わせても10%に達しませんでした。

どうやら「話しても仕方がない」「どんな相談も無駄」という思いが強いようで、これが思春期の心のありようと重なり、相談=コミュニケーションによる不登校の予防・解決を難しくしていると考えられます。

会話では子どもの先回りをしない

生徒と家族

そのようにして始まった不登校が長引くと、どうなるでしょう。

子どもは家族以外の人と話をする機会がほとんどなくなります。しかも、家族との会話すら極端に少なくなりがちです。

子どもを気づかうあまり、食事や体調などについて先回りして「○○は、こうする?」「□□は、こうしておいたよ」などと、親が本人のかわりに前もって言葉にしてやると、子どもはただ「うん」とか「いや」と言うだけで用事が足ります。

子どもがそれすら面倒な顔を見せると、やがて親も黙って食事を置き、黙って洗濯物を集め、黙っておこづかいを渡すようになってしまいます。

そんなことが習慣になっては、コミュニケーション力が弱まる一方です。気持ちや意思を言葉で伝える力が未熟なままだと、他人と話をしたりして一緒に時間を過ごすことが不安になったり、面倒に感じたりするものです。

それは学校復帰の妨げになりますし、もう学校復帰は目指さないにしても、次の高校進学に際して問題になるかもしれません。

通信制高校という道があるので、不登校の生徒にとって高校進学そのものは、もはや困難ではありません。しかし、コミュニケーション力が乏しいと、高校進学後の新しい環境に適応するのに苦労する心配があります。

日常の会話をおろそかにしない

内面が複雑微妙に成長していく年代である思春期の子どもですから「何を考えているのか、腹を割って素直に話せ」「いまの自分の状態をどう思っているのか言ってみろ」と親が迫るのは、まずい手ではないでしょうか。子どもだって、話せるものなら、とっくに話しています。

ならば保護者は子どもにどう接したらよいでしょうか。

家庭でのふつうのコミュニケーションを保つことです。日常生活での用事については周囲があまり気を回さずに、子どもには本人や親にとって必要事柄を自分から言葉させるようにしましょう。

といっても、改まるほどのことはありません。簡単なことでよいのです。たとえば、子どもが出かけるなら帰宅の予定時刻、料理の塩加減、明日の天気など、日常のごく普通のことをおろそかにしないで話せば十分です。あとは話の展開次第です。

子どもがふさぎ込んで話をしたがらなくても、そう気にしないでください。話すばかりがコミュニケーションではありません。掃除でも、買物でも、ゲームでも、何でもよいので、子どもと一緒に過ごす機会を持つとよいでしょう。たとえ黙っていても、同じ場所で同じ時間を過ごすことができれば、それもコミュニケーションです。

このように、ふだんからのコミュニケーションを絶やさずに保つことは、前回述べた「ふつうの生活リズムを保つ」ことにもつながります。

不登校でもどんどん出かけよう

中学校へは不登校でもフリースクールへ通うことができれば、コミュニケーションの機会は確保されやすいのですが、誰もがフリースクールを利用できる環境にいるわけではありません。そこで、「コミュニケーションを保つ」ために、いま不登校の生徒に向けて、さらにいくつかの提案をしてみます。

たまにでも遊びに来てくれる友だちがいるなら、そんな友だちと話す機会を失わないようにしましょう。学校復帰の励みになるかもしれませんし、そうならないにしても、楽しく話す時間を持てること自体が大切です。

ここでもやはり、正しい生活リズムを保つこと肝心です。生活リズムが乱れたままで体調がすぐれないと、友だちと会う気も起らないでしょうし、そんな相手だと友だちの方も来づらくなります。

メールやLINEのやり取りもよいのですが、本当にコミュニケーション力を養うなら、同じ場所と同じ時間を共有する、顔の見えるコミュニケーションこそが基本です。

プチ・ポランティアで人と関わる

不登校になると自分の世界が急に縮まって、もう自分の家、自分の部屋しか居場所がないような感覚におちいるかもしれませんが、そんなことはありません。ちょっと外に目を転じてみましょう。

別に悪いことをしたわけではないのですから、不登校でも引け目に感じず、どこへでも出かけてみてはどうでしょうか。おつかいを頼まれて、途中、近所や商店の人にあいさつするだけでも、ずいぶんと気持ちが違ってきます。

中学生であれば正式なアルバイトというわけにはいかないでしょうから、代わりに何か気軽に手伝える仕事で人と関わるのもよいと思います。

たとえば、ご近所で飼っている犬の散歩を引き受けるとか、歩道や公園のゴミ拾いに参加してみるとか。ちょっと探してみれば、不登校の自分でも関われる場面や人々が見つかるものです。

いきなり一人では無理なら、はじめは親かきょうだいと一緒に参加して慣れていけばよいのです。

図書館を自分の学校にする

学校ばかりが勉強の場ではありません。みんなが教室で授業を受けている時間に、図書館へ出かけてみてはいかがですか。近所の図書館でもいいし、少し遠くの大きな図書館へ行ってみるのもおすすめです。

ゆっくりと気の向くままにたくさんの書棚を見て回り、面白そうな本、自分に関係のありそうな本があれば、どんどん手に取ってみましょう。

貸出カードを作ってもらい、読みたい本を借りられるだけ借りて帰りましょう。読んでみると自分には合わなかったり、難しすぎたりした本はおいて、読みやすい本を集中して読んでいけばよいのです。貸出期間中に読み終えられなければ、図書館で延長の手続きをします。その際にまた、新しい本を探して帰りましょう。

こうして読書習慣が身についたとしたら、それは大きな達成です。もしかすると、ふつうに中学校へ通っていたら得られなかったかもしれない貴重な財産が身についたことになります。

通信制高校の見学会へ出かけてみる

もう中学校へ行く気がなくなっても、高校にまで関心を失ってはもったいない。とくに学び方のスタイルを選べる通信制高校のことを知っておくと進路についての不安がうんと軽くなります。

見学会や相談会、体験授業など、通信制高校をよく知るためのイベントに出かけてみてください。中学時代は不登校だった先輩方が楽しく学校生活を送っている姿を見ると、あなたの中で何かが変わるかもしれません。

はじめは親子どちらか一方でもかまいません、このサイトでイベント情報を検索したり、学校案内の資料請求をしたり、まずは小さな一歩を踏み出してください。

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