通信制高校・高等専修学校ニュース

うつ症状と高校進学

新しい学校選びの基準 ニュースクからのアドバイス

高校生の30%、中学生の24%、小学4年から6年生の15%に中等度以上のうつ症状がある――そんな調査結果があります。2021年2月に国立成育医療研究センターが発表した「コロナ×こどもアンケート」第4回調査報告です。

同センターでは2020年11月~12月に調査を実施し、子ども924人と保護者3,705人の計4,629人から回答を得ました。実施時期は新型コロナウイルス感染者数の増加傾向が顕著となった感染流行の第3波にあたり、結果にはコロナ禍の影響が反映されていると見てよいでしょう。

「反抗期」「怠け」と誤解されやすい

悩む女子生徒

子どものうつ病は、重苦しくふさいだ気分の他にも様々なかたちで現れます。たとえば、イライラです。また、学校へ行きたがらなくなったり、好きなゲームをして遊ばなくなったりといった、意欲・興味・喜びの喪失があります。食欲の減退や不眠・睡眠不足、頭痛や腹痛といった症状となることもあります。

ただし、こうした症状は子どもの場合には軽いことが多く、そのため気づかれにくいようです。本当はうつ病なのに「反抗期」や「怠け」と思われやすく、周囲が気づかないうちに悪化してしまうことがあります。

インターネット上には、うつ症状のセルフチェック表などがあります。しかし、一般の人がそれらで安易に自己診断をすることはできません。別な疾患や障害によって、うつに似た症状が出る場合もあります。

上に挙げたような心の不調が見られた時は、必ず専門医にかかって診断を受けてください。

学校生活のストレスが不安なら

学校に行きたくない生徒

うつ病は多くのケースで休養と薬物療法によって快方に向かいます。うつ病の経験者の中には「必ず治る病気」と断言する人も少なくありません。しかし、心身に大きなストレスかかる環境におかれると、症状改善が思うように進まなかったり、再発したりする心配があります。

うつに苦しむ・苦しんだことのある中学生にとっては、高校進学に際して入学試験や入学後の新生活への適応が大きなストレスになるかもしれません。全日制高校では、学習内容は高度になり、進度も早まります。その間に学校行事があり、進路選択がありで、全日制高校のペースにあわせていくのは、なかなか大変なようです。

うつ症状があると、仮に勉強・作業に取り組めたとしても、健康時の数倍も気力や時間が要り、そのこと自体がさらに自分の気持ちを落ち込ませます。

症状改善を図りながら、全日制高校でがんばることはもちろん可能です。ただ、卒業までの学習ペースが決まっているのが全日制です。そのペースにうまく乗れないと、成績不振や出席日数不足などで留年の不安、焦りを抱えることになります。

ストレス少なく学ぶ通信制という道

先生と生徒

一方、(私立)通信制高校であれば、そうした不安を減らせます。

学校によっては、体調に応じて学び方(自宅学習を中心にするか、通学での学習を中心にするか)や時間割を調整できる利点があります。

たとえば、うつ症状がまだ重い1年次は自宅学習中心の「通信型」を選び、うつ状態を脱した2年次から「通学型」へ切り替えるなど、かなり自分のペースで学習を進められるのです。

学年ごとに修得単位数が決まっている全日制では留年の心配がありますが、通信制高校にはそれがありません。通常3年間で74単位を修得していれば卒業できます。これも安心材料です。うつ症状でつらい時は心身を休ませて、気力の回復を待って学習の挽回を図ることができます。

とりあえずは進級できる。ひとまず3年間という枠のなかで勉強の計画を立てられる。だから、まずはひと息ついて、ゆっくりと歩き出しながらこれからのことを考えられるのが、通信制高校ではないでしょうか。

以上、うつ症状に悩む人・悩んだことのある人が、できるだけ不安なく学べる環境として通信制高校を紹介しました。

週あたりの通学日数やカリキュラム、コース変更などは、それぞれの通信制高校によって異なります。学校案内の資料を取り寄せて、見くらべてみてください。 また、メンタル面に心配を抱えていても通信制だから就学・卒業できた例が、在校生・卒業生のコメントのなかに見つかるかもしれません。