通信制高校・高等専修学校ニュース

大学進学を考えているなら
「新しい学校選びフェア」総合相談デスクから⑬

新しい学校選びの基準 ニュースクからのアドバイス

両親と一緒に総合相談デスクを訪ねてきたのは、中学3年生の女子。起立性調節障害(略してOB)のために学校を休みがちだといいます。そのため、各種の提出物が締め切りに間に合わないことが多々あり、それが内申点に響いていそうだと心配します。

OBに悩む生徒は学業不振であるケースが多いのですが、この女子は自分からすすんで自宅学習をするとのことで、定期試験の成績は悪くないそうです。

彼女には大学進学の希望もあり、全日制高校へ進学したいが、それが可能かどうか。一方で、全日制高校に進学してもOBの症状が改善しないと通えなくなるので、はじめから通信制高校を選択した方がいいのか。この2つが相談のポイントでした。

全日制と通信制、2本立てで

進路決め

以前の記事でも述べたように、私どものアドバイスの基本は「進路の選択肢をできるだけ多く持ちましょう」です。

私どもの主催する〈新しい学校選びフェア〉は主に通信制高校を紹介するイベントですが、だからといって、何が何でも通信制高校への進学を勧めているわけではありません。生徒本人に全日制へ行ってみたい気持ちが残っているなら、まずは全日制高校受験の可能性を十分に探るよう話しています。

というのも、全日制高校から通信制高校への転入(転校)は容易ですが、その逆はほとんど無理だからです。

今回相談のあった中3女子の場合、全日制高校を受験してみたいという意思があったので、出願先を選ぶうえでの考え方を整理して伝えることにしました。

後悔を残さない高校受験を

全日制高校の受験では、学力試験と内申点の両方を総合して合否を判定します。内申点に不安のあるこの女子と両親には、次のように話しました。

生徒の中学校生活を評価する内申点を入試でどれだけ重視するかは、たとえば学力7に対して内申点3のように、公立高校ではおおまかには都道府県ごとに基準が決まっています。ただ内申点のウエイトは、大きくてもせいぜい学力と同等です。

私立高校では学校ごとに独自の基準があります。なかには、ほとんど学力試験のみで合否を判定する学校もあったりします。

一概には言えませんが、内申点がやや低くても、志望する高校の受験者が定員を下回るような場合は、学力試験で十分に得点できれば合格の可能性があります。逆に入試倍率が1.1倍以上になると、学力試験の出来は良くても内申点の低さのために不合格になることが考えられます。

内申点のウエイトについては、中学校の先生か志望する高校の入試課に問い合わせてみるとよいでしょう。出願資格を満たすのであれば、公立でも私立でも、全日制を受験してみてはどうでしょうか。

たとえ不合格となっても、それはそれであきらめがつき、かえって気持ちの切り替えができるものです。大切なのは「やっぱり全日制を受験しておけば……」と悔いが生じないことです。

進路内訳を調べてみる

調べている画像

この中3女子のように、全日制高校での就学がうまくいかなかったときのために、いまから通信制高校について調べておくのは、とてもよいことです。通信制へ転入することになっても、学校選びを白紙の状態から始めなくてもよいので、きっとよりスムーズに新しい学校へ移行できるでしょう。

その学校選びなのですが、彼女の場合は、大学進学を希望していることが選択にあたって判断の軸になります。学校案内の資料を調べたり、入学相談会などの場で質問したりして、その通信制高校の進路内訳を知るのが第一歩です。

例年、一定数の大学進学者を出している通信制高校なら、進学先の候補に入れてよいでしょう。自分の志望大学に合格実績がある通信制高校も、候補としてよいかもしれません。ちなみに通信制高校全体の平均では、大学・短大進学者の割合は卒業者の20%程度です。

大学の入試方式にも注意して

大学を進学する生徒の通信制高校選びでは、大学入試の方式も関係してきます。学力勝負の一般選抜で受験するのか。基準をクリアすればまず合格できる学校推薦選抜で受験するのか。

出願できる大学の選択肢が多くなる一般選抜で受験するなら、志望校に応じた学力養成が最重要です。ふだんの学習を通じて学力の底上げができる通信制高校を選ぶとよいでしょう。大学受験に特化したコースのある学校や、進学塾などが母体で大学受験に強い学校について調べてみてください。

一般的に受験を念頭に置いたカリキュラムの全日制にくらべて、通信制は大学受験に不利なように思えますが、そうとばかりも言えません。時間の使い方に融通の利く通信制の方が、受験勉強に力を注ぎやすい面があります。

学校推薦選抜での大学進学を希望するなら、気になっている通信制高校がどんな大学の推薦指定になっているか調べてみましょう。逆に、関心のある大学や学部の推薦指定がある通信制高校を選ぶという方法もあります。 志望校合格に必要な学力などが身につくかどうかは、本人の努力次第です。高校での勉強だけで足りるのかどうか。自学自習でも間に合うのか。塾や予備校へ通わなければならないのか。それを見極めて適切に対処することが大切なのは、通信制も全日制も同じです。

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※この記事は東京・大阪・名古屋など、全国8都市にて不登校生等を対象とした合同進学相談会「新しい学校選びフェア」を企画・運営する「特定非営利活動法人高校生進学支援の会」協力のもと作成しております。

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