通信制高校・高等専修学校ニュース

通信制生徒の8割は通って学ぶ
「通学型コース」を選ぶ意味

新しい学校選びの基準 ニュースクからのアドバイス

子どもの高校進学が心配になって、はじめて通信制高校について調べてみる保護者は多いのではないでしょうか。

調べてみると、多くの通信制高校に「通学型コース」のあることにすぐに気が付くはずです。

いまの親世代(と、その上の世代)にとって、通信制高校といえば、社会人が自宅に届いた教材で勉強して、なにか答案のようなもの書いて学校へ郵送するイメージではありませんか。

現在ではほとんどの通信制高校でインターネットを活用していますが、もちろん、自宅学習を中心に勉強して高校を卒業する人は多くいます。

しかし、しばらく前から通信制では「通う学校」が主流になっています。通信制高校の生徒の半数が、なんらかの「通学型コース」を利用しているのです。

通信制の生徒の8割は「通学型」

授業を受ける生徒

平成29年の文部科学省の調査によると、私立の通信制高校の8割以上が「自校通学型コース」を設けています。公立では5割程度です。

サポート校のように通信制高校の提携先に通学する場合を含め、そうした通学型コースを利用している生徒の割合は、通信制で学ぶ生徒全体の53.0%です。

ただし、この数字は学校の運営主体によって差があります。株式会社立の通信制高校では通学型の生徒は52.7%、学校法人立では67.0%です。

さらに学校法人立でも都道府県を越えて生徒募集ができる広域制の通信制学校では通学型の生徒が占める割合は63.6%、1都道府県に限られた狭域の通信制高校では83.6%にも上ります。

これらに対して公立の通信制高校では26.7%にとどまっています。

以上は少し古いデータですが、私立の通信制高校の生徒の7~8割は、自宅学習型ではなく「学校に通うスタイルで学んでいる」といってよいでしょう。

すでに「通信制」という呼び方が現状とかけ離れるくらいに、生徒は通学型コースを利用しています。逆にいえば、通学型コースがあるからこそ、通信制高校を選択したくなるのではないでしょうか。

週5日登校で全日制に近く

友達

週あたりの通学日数を選べるのも、通学型コースが利用しやすい大きな理由でしょう。

私立の通信制高校(学校法人立)では、通学型コースの利用日数ごとの生徒の割合は次のようになっています。

   週1日 19.3%

 週2~4日 35.5%

   週5日 45.1%

いかがですか。半数に近い割合の生徒たちは、全日制と同様に週5日の通学をしています。

学習面や精神面で私立の通信制高校らしい手厚い支援を受けながら、制服を着て登校したり、友だちと休み時間におしゃべりしたり、部活に取り組んでみたり、全日制とあまり変わらない学校生活を送りたい生徒、送らせたい保護者の気持ちに応えるのが「(毎日)学校へ行く通信制」です。

通学日数を柔軟に変えられる

ほとんどの通信制高校の通学型コースでは、最初に選んだ通学日数を途中で変えられます。

生徒の心身の状態や修得単位などを考えあわせて、前期・後期の変わり目に、あるいは進級の時期に変えることが多いのですが、それを待たずに変えられる学校も多いようです。

たとえば不登校の期間が長く、新しい学校生活への適応に自信がない生徒なら週1日から始め、学校に慣れるにつれて週3日へ、週5日へと増やしていく方法があります。いわゆる「ふつうの高校生活」へ近づいていくことが、学校へ通う励みになります。

反対に学校生活への適応や学力に問題がない生徒なら、週5日から始めて単位をできるだけ多く修得し、2年生、3年生にかけて週1日に減らすというやり方もあります。余裕のできた時間は、将来のための自分の勉強にあてたり、アルバイトにあてたりできます。

通信制高校という理解者を得る

親と子

勤労者が自分で学費をまかないながら高校での学習内容を身につけるのを支援するのが、通信制高校の制度のもともとの趣旨です。

この役割は今も変わらずにあるのですが、さまざまな理由で全日制高校へ移行・適応しにくい生徒のための学びの場という役割がずっと大きくなってきました。その役割を担っているのが、とくに私立の通信制高校です。さらに言えば、通学型コースです。

通信制高校は、全日制高校への進学が難しい不登校経験者にとって頼りになる進路ですが、それだけにとどまりません。

保護者も味方を得ることになります。

子どもが不登校になれば、親も不安です。自分を責めたりもします。周囲に理解者が見つからず孤立感を抱えたまま、どんよりと心の曇った日々を過ごすこともあります。

親が変わり、子が変わる好循環

しかし、私立の通信制高校とつながりができれば、そんな生徒と保護者に、これまで多く接してきた教職員が味方になってくれます。ときに厳しい意見があるにしても、それは豊富な経験と深い理解にもとづいたアドバイス。きっと親として成長するための糧になります。

むろん進学先を通信制高校にすれば、たちどころに問題解決というのではありません。おそらくは紆余曲折があります。

けれども、通信制高校という子どもの居場所ができると、なにより親が安心できます。親が安心すると、子どもの態度もよい方向に変わってくるものです。

通信制高校、とくに通学型コースのある通信制高校は、そんな好循環が生まれるきっかけになります。