不登校 早期発見のために ~「不登校問題」と親(保護者)のメンタルケア~

不登校 早期発見のために

前兆を見逃さない

親(保護者)にとっては、ある日突然のことかもしれませんが、子どもが学校へ行かなくなる前には、多くの場合、なんらかの予兆があります。ひとつひとつをとれば小さなサインで、それだけ見ると何でもないようでも、それは子どもの心が発したSOSだったりします。

不登校の前兆を察知できれば、問題を未然に防げるかもしれませんし、たとえ不登校になったとしても、早めの対処によって問題が長引かずに済むかもしれません。

では、子どもが見せるどんなサインに注意したらよいでしょうか。子どもが家庭で見せる不登校の兆候を以下に挙げます。当てはまるものがあって「何かおかしい」と感じたら、学校の担任教員や養護教員と連絡をとって学校での子どもの様子を聞いてみましょう。学校で見せる兆候もあります。

子どもが家庭で見せる兆候

不登校の前兆として次のような様子を見せることがあります。ただし、たとえば起立性調節障害やネット依存などから生じる心身の不調であることも考えられます。しかし、その場合でも、やはり不登校の要因になりえますので注意が必要です。

◎食欲がない。
◎顔色が悪い。
◎夜更かしをする。
◎不眠を訴える。
◎自分の部屋に閉じこもる。
◎家族との会話を避ける。

不登校の予兆が顕著に表れるのは朝の様子です。たとえば――

◎前の晩、学校へ行く準備はするが、翌朝なかなか起きてこない。
◎朝食や身支度にぐずぐずして、遅刻することもある。
◎朝、腹痛や頭痛などの不調を訴えて休みたがる。親が学校に欠席を伝えると安心する。欠席したがるのは休日の翌日や特定の教科がある日に多い。

子どもが学校で見せる兆候

学校での様子は親には分かりませんが、担任教員や養護教員から次のような連絡があるかもしれません。あるいは友だち経由で耳に入ることもあります。

◎休み時間も一人で過ごすことが多くなる。
◎身体の不調を訴え、保健室に行くことが多くなる。
◎部活動や委員会活動を休みがちになり、辞めたがる。

注意深く観察して、このようなサインが単に一過性のものではなく、不登校につながると心配されるようなら、親が積極的に動いてください。子どもと話ができて、解決策が探れるのならよいのですが、子どもが話したがらないのなら、スクールカウンセラー、あるいは地域の相談・支援機関と話をし、不登校の子どもとの関わり方についてアドバイスを求めみましょう。

親自身のメンタルケア

不登校が長びく覚悟も

子どもが不登校になると、親(保護者)は「まずは親である自分がしっかりしなくては」と思い、子どもとの関わり方を工夫してみたり、不登校に関する心理学書などを買い求めてみたり、いまご覧のようにインターネットのサイトで情報を集めてみたりと、子どもの立ち直りのために手を尽くすものです。

そうした努力によって問題が早期解決できれば、こんなによいことはありません。しかし、親や学校の働きかけがなかなか功を奏さず、不登校の状態が長引いて、もう打つ手がないように思えるところまで来てしまう例も多いのです。これは不登校の児童生徒数が年々増え続けていることからも分かります。

ストレスをため込まない

思春期特有の心理もあって、子どもが簡単に気持ちを打ち明けなかったり、口ごたえをしたり、ものを投げつけたりして、親の神経をすり減らすこともあるでしょう。子どもの様子が一向に好転しないと、将来の不安(「進学はできるだろうか」「ひきこもりにならないだろうか」)や自責の念(「自分の育て方が悪かったかも」「親として力不足かも」)、周囲の無理解(「誰もこの悩みを分かってくれない」「役にも立たない気休めばかり言われる」)などが重く心にのしかかって、親の方も精神的につらくなっていきます。

不登校の解決がままならないのに、そのうえ親の自分までがストレスに押しつぶされるかと思うと、先行きが真っ暗に見えても仕方ありません。でもこれは不登校の子を持つ親なら、きっと誰もが通る道です。トンネルの先にきっと明かりが見える日が来ます。

そうは言っても、この暗い道をどう歩いていけばよいのでしょうか。親子ともどもストレスをため込まず、できれば問題解決の希望をもって、せめて穏やかに不登校の日々を過ごす方法はないものでしょうか。

気持ちをコントロールする

どんな場合にも保証付きで即効性のある方法は残念ながら見当たらないようですが、ひとつだけ確かなのは、困難に対処するにあたって親ができるだけ自分の気持ちを整理することの大切さです。

とりわけ不登校初期の親子の気持ちの混乱は、合わせ鏡のようだと言われます。つまり、子どもの戸惑いが親の心を乱し、親の困惑が子どもの不安に輪を掛けることになります。だからこそ、まずは親が自分の気持ちをコントロールすることが大切なのです。以下に、その方法を述べていきます。

不登校の期間を心身ともにストレスをため込まずに過ごすには、親が自分の気持ちを客観視してみることです。怒りや嘆きなどの気持ちに振り回されず、自分の心の状態を一歩引いて眺めてみましょう。といっても、怒りや嘆きなどを無理に抑え込むのではなく、そんな気持ちが湧いてくる理由や状況を認識すればよいのです。

「この怒りは、出口が見えない不安から生じているのかも」「過去の子育てにとらわれているのは、いま具体的にできることが見つかっていないからだろう」など、気持ちに筋道を立ててみると、ネガティブな感情に振り回されたり、沈み込んだりすることが避けられそうです。少なくとも気持ちのコントロールが効いて、過度に振り回されたり、いつまでも沈み込んだりはしなくなるのではないでしょうか。

では具体的に述べていきましょう。不登校の子どもをもつ親の気持ちには変化のパターンがあるといいます。それは以下の(1)~(4)の段階を追って変化します。ただし、状況によっては行きつ戻りつすることが当然あります。いま自分の気持ちがどの状態にあるのかを自己診断できれば、必要以上に動揺せず、ネガティブな思いをこじらせずに心の落ち着きを取り戻せるのではないでしょうか。

段階(1)強い不安

とくに子どもが不登校になり始めた時の親の反応です。学校へ行かない/行けない理由が分からず、不登校という現実がにわかに受け止められなくて大いに困惑します。次のような疑問や不審が心に渦巻きます。

「 毎日ふつうに学校へ行っていたのに、急にどうしたのか」
「どこか身体の具合が悪いわけでもないのに……」
「勉強も部活も嫌がる様子はなかったのに……」
「今まで特に問題もなかったのに、どうして私の子が……」
「もしかしたら、 いじめにあっているのか……」

この段階でも、たとえば、いじめやからかい、部活の先輩との人間関係など、学校へ行きたくない理由が子ども本人にはっきりしているのなら、解決の手がかりはそこに見つかりそうです(主に人間関係が不登校の要因となる「学校生活上の影響」型」の例)。あせらずにじっくりと子どもと話し、不登校の要因が特定できるようならば、必要に応じて担任の先生や学校と相談して解決を図りましょう。

段階(2)他者批判

親は不登校の原因を何かあるいは誰かにかぶせたくなります。まるっきり本心ではないにしても、批判の矛先が他者に向きがちです。不登校のはっきりとした原因がつかめない時によく見られる反応です。

「担任の先生の指導がなっていないから、こんな事態に……」
「お父さん(おばあちゃん他、誰でも)が甘やかすから……」
「(子ども本人を責めて)親をこんな目に遇わせて……」
「友だちからのいじめがあるに違いない」
「学歴社会だから/校則が厳し過ぎるから/子どもの個性を尊重しないから……」

漠然とした不安や不調を訴えて登校したがらない「不安など情緒的混乱」型の不登校や、ただなんとなく登校する気持ちになれない「無気力」型の不登校の場合は、何が不登校の根本原因かを確かめるのが難しいため、つい親は上のような他者批判の反応をしがちになります。それは仕方がない面もありますが、他者批判の度が過ぎて周囲と摩擦を引き起こすと、それがまた親の(しばしば子にとっても)ストレスになり、不登校の解決を妨げます。それに他者批判にとどまっていては、本当の問題解決には至りません。

段階(3)自責の念

おそらくは他者批判の裏にあるのが自責の念、つまり親である自分が不登校の原因をつくったに違いないと自身を責める思いではないでしょうか。端的に言えば「私の育て方が間違っていたから」という気持ちです。これまでの子育てを振り返って、いろいろあった失敗や後悔の中に不登校の原因を求めたくなります。

「時々甘やかしてきた結果が、こうなったのかも……」
「仕事が忙しくて子どもの話を聞いてやらなかったから……」
「親の考えを押し付けて、子ども気持ちを聞かなかったから……」
「ひとりっ子で過保護にしてきたから……」
「親としての自分が未熟だから……」

不登校解決のための具体策が見出せず、何をどうしてよいか分からない日々が続くと、どうしても上のような思いにとらわれて気持ちがふさぐことになります。一度は通過しなくてはならない心理段階かもしれませんが、過去の自分の子育てに原因を求めてもあまり建設的な結果にはつながらないようです。

それよりも、そんな反省を通じて、子どもとの関わり方、あるいは親本人の生活の仕方で改めたいことが見つかったら、ひとつずつ実践してみてはどうでしょうか。過去に原因を探って後ろ向きになるのではなく、これからのために前向きな態度でいる方が、親子ともどもストレスが少なく過ごせるのではないでしょうか。それは次の第4番目の段階にも関係してきます。

段階(4)前向きな姿勢

上記(1)~(3)の段階を経過して、親子ともに最初の困惑が収まり、不登校という事態を受け入れられるようになると、問題にまっすぐ対処する気持ちが生まれてきます。まだ具体策がないにしても「これからどう行動しようか」「どう子どもに働きかけようか」と考える、前向きな姿勢になります。

「子どもだってつらい思いをしている。それをちゃんと受け止めよう」
「子どもはきっと立ち直る。それを信じて、一緒にできることを探そう」
「親が変われば、子どもも変わるかもしれない」
「相談・支援機関へ行ってアドバイスを聞いてみよう」
「学校復帰だけが解決策ではない。他の道も探ろう」

子どもの心の状態、そして自分の心の状態、どちらも親が落ち着いて眺められるようになると、不登校に対処するエネルギーが湧いてきます。スムーズに解決へと至らず、他者批判や自責の念が再び出てしまうことがあるかもしれませんが、いったんこの段階に来たことがあれば、体勢を立て直しやすくなりそうです。

粘り強く対処し続けるために

子どもの不登校という、たいていの親にとっては初めての困難にぶつかって、誰もがすぐに気持ちをコントロールできるわけではありません。できる場合もあれば、うまくいかない時もあるはずです。

しかし、上手にコントロールできないことが一度や二度、いや三度や四度あっても、気持ちに筋道を立ててみることを意識し続けることが大切です。不登校が長丁場になることがよくあるからです。少し長い目で、気持ちのコントロールを自己訓練していってはどうでしょうか。子どもの変化に注意深く目を向けつつ、粘り強く問題に対処するうえで、その自己訓練はきっと役に立つはずです。

専門家の助けを借りつつ

ここまで述べてきたのは、ごく一般的な説明です。より詳しく専門的なアドバイスを求めるのなら、臨床心理士などの専門家や支援経験の豊富なアドバイザーが書いた、不登校やひきこもりに関する本が役立つでしょう。不登校の子どもとの関わり方や子どもが立ち直るための方策を数多く知ることができるので、それぞれに有益だと思います。

その一方で、なんとか家庭だけで解決しようと試行錯誤が長引くうちに、問題が悪化し、もう親に打つ手が無くなるケースもあります。不登校がこじれて、そのために親がうつになったりすると、問題解決への行動のエネルギーを回復するのに時間がかかります。

「不登校の子を持つことを他人に話すのが、はばかられて」という思いも分かりますが、不登校の初期のうちにスクールカウンセラーや地域の相談・支援機関のカウンセラーなど専門家から対処方法を聞いてみるのも大切です。

それまでの親子関係や家庭事情によって、不登校の根深さや解決の方向も様々に異なります。相談・支援機関などのカウンセラーは、状況に応じて、親子いっしょに、あるいは親だけ、もしくは子だけと面談のしかたも変えてくれるはずです。まずは電話などで事情を詳しく伝えてみましょう。

ストレス・不安を軽くする

専門家・経験者の話に学ぶ

本サイトには不登校やひきこもりに関する講演の採録記事を掲載しています。不登校に対処するうえで大切な考え方や取るべき態度、問題解決のポイントなど、専門家・識者が親の悩みや迷いに応える話が揃っています。ぜひご一読ください。

ここでは、それらの講演や、不登校経験者とその親(保護者)の話の中から、不登校の子どもを持つ親にとって悩みを少し軽くしたり、不安を取り除いたりするポイントをいくつかピックアップしてみました。

「うちの子だけ」ではない

不登校はすでに特別なことではなくなっています。統計数字に基づいてごく大雑把に割り出せば、中規模の中学校と高校なら、どちらも10人前後は不登校の生徒が在籍している計算になります。ですから「うちの子だけが……」と、ことさらに悲観することはありませんし、不登校=異常と決めつけることも正しくありません。子ども一人ひとりの事情をよく調べて、不登校の態様をつかむことが大切です。

親だけで頑張らない

親(保護者)だけで解決しようと頑張りすぎないでください。とくに母親は「自分が何とかしなくては」と気負いがちです。たしかに親は子どもの支えではありますが、家庭の力だけで不登校を解決できないこともずいぶんと多いのです。ためらわずに外部に助けを求めましょう。できるなら長期化する前に、地域の相談・支援機関のカウンセラーなどに専門的なアドバイスを求めてください。

学校復帰にこだわらない

休んでいた学校に子どもが再び通えるようになればよいのですが、何が何でも学校復帰にこだわらないことです。学校復帰が解決策とは限らないからです。調査によると、学校による再登校の働きかけもうまくいかない例が多いようです。文科省から学校へ向けた通知の中にも、学校復帰を第一にしない旨が記されています。中学生ならフリースクールなど、高校生なら全日制から通信制へなど、学校を変えてみるという手立てもあります。

●不登校でも通いやすい!自宅学習型で学費が安い通信制高校
ID学園高等学校 通信型フレックスコース(入学可能都道府県:東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,茨城県,群馬県,栃木県,静岡県,山梨県,長野県,京都府,奈良県,大阪府,兵庫県)

先行きを悲観しない

じつは不登校になった中学生のかなり多くが高校に進学できています。さらには大学進学の希望をかなえる生徒も多くいます。高校へ進学しなかった子でも正社員として就職し、自活できるくらいに稼いでいるケースがあります。10年前、20年前に不登校だった人たちが、いまは仕事に打ち込み、家庭を支え、不登校ではなかった人と何ら変わらずに暮らしています。――支援団体などが開催する不登校に関する講演会や相談会などのイベントがあれば、そんな話をじかに聞いてみてください。経験者の声に安心し、励まされます。

あせらずに待ってみる

不登校のすべてのケースに当てはまるわけではありませんが、子どもが暴言を吐いたり、壁や物を壊したり、攻撃的な態度を見せて親をひどく心配させる時期があったかと思うと、穏やかだけれども無気力に毎日を過ごす時期が来たりします。じつはこの無気力でいる期間に、子どもは精神を安定させて回復へのエネルギーを蓄えたり、「学校へ行きたい」「元の自分に戻りたい」という思いと「不登校のままの方が楽でいられる」という思い、ふたつの思いの葛藤の中にいたりします。この段階まであせらずに見守り、学校復帰か学校を変えての再スタートか、子どもの意欲が高まるのを待ってみることも必要でしょう。

「親の会」など、話せる場を持つ

不登校やひきこもりの子を持つ「親の会」などの支援団体が各地にあるようです。わが子の不登校が長引いて、なかなか出口が見えない時は、ネットや地域の相談・支援機関などから情報を得て、そうした会に加わってみるのもよいでしょう。同じ悩みを抱える親たちだからこそ、分かり合える話や的を射たアドバイスがあるものです。プロのカウンセラーに話すのとは違って、プライバシーの守秘や会の中の人間関係など注意すべき点はありますが、「親の会」へ行けば気持ちが通じる仲間がいるという心強さは、不登校に対処し続けるための活力となります。

不登校でお悩みの方へ
~不登校について知っておいてほしいこと~

目次 (各記事にリンクしています)

不登校とは何か ~はじめの一歩~
不登校の前史/「年30日以上欠席」が定義/「どの児童生徒にも起こりうる」/いじめ自殺で意識変化/さまざまな原因/不登校への対応方針


不登校のタイプ
不登校 6つのタイプ/「不安など情緒的混乱」型/「無気力」型/「学校生活上の影響」型/「あそび・非行」型/「意図的な拒否」型/「複合」型/不登校は「病気」なのか?/不登校の経験で「人に優しくなった」


データで見る不登校

不登校の現状/将来の見通し/不登校でも進学に希望


中学生の不登校 ~不登校でも中学は卒業できる?~
不登校でも中学は卒業できる?/出席日数・調査書・高校受験/不登校でも高校受験はできる?/「不登校でも出席扱い」になる方法/できるだけ学校との関わりを保つ


不登校 早期発見のために【現在のページ】
・不登校 早期発見のために(前兆を見逃さない/子どもが家庭で見せる兆候/子どもが学校で見せる兆候)
・親自身のメンタルケア(不登校が長びく覚悟も/ストレスをため込まない/気持ちをコントロールする/段階(1)強い不安/段階(2)他者批判/段階(3)自責の念/段階(4)前向きな姿勢/粘り強く対処し続けるために/専門家の助けを借りつつ)
・ストレス・不安を軽くする(専門家・経験者の話に学ぶ/「うちの子だけ」ではない/親だけで頑張らない/学校復帰にこだわらない/先行きを悲観しない/あせらずに待ってみる/「親の会」など、話せる場を持つ)

ID学園高等学校 通信型オンライン学習コース

完全オンラインで、自分のペースで学ぶ「時間」と「場所」は自由。 年間6日間程度のスクーリングのみで高校卒業可能。 気になる学費は、通信型(自宅学習タイプ)の通信制高校で「国内最安値」クラス!

不登校からの脱却ー再進学ー不登校はマイナス体験じゃない。立ち上がることで、つまずきの意味が変わる

つまずいた子どもに親や先生、友だちは言うかもしれません。早く立ち上がりなさい、と。でも、そんなことは彼らにも分かっています。原因はどうあれ、いつまでもこうしてはいられないと、みんな内心は焦っているのです。でも、立ち上がるには、少しの勇気と何かのきっかけが必要です。

不登校からの脱却ー葛藤を乗り越えるー不登校・引きこもりの子を持つ親たちへ

本当は学校へ行きたいけれども、このまま引きこもってもいたい――このように相反する二つの気持ちを抱える状態が葛藤です。葛藤を抱える本人は、どっちつかずで心が晴れず、とても苦しいのですが、それを前向きにとらえることが大切です。なぜなら、葛藤を建設的に乗り越えることは、不登校・ひきこもりからの脱却につながるからです。逆に、心に葛藤が生じていなければ、現状を変えようという気持ちは生じません。

不登校からの脱却ー失敗や挫折も自信の素になるー思春期の子を持つ親へ

小学校高学年から中学校にかけては思春期の入り口です。この時期に子どもは大きな環境変化を迎え、それが不登校をはじめとするいろいろな問題のきっかけになりやすいことはご存知かと思います。いま講演をお聞きいただいているお母さん方、お父さん方も、もちろん思春期を体験したはずですが、昔のことでもありますし、子どものことを理解するうえで大切な前提ですから、ここで一緒に思春期の環境変化を振り返ってみましょう。

不登校からの脱却ー若者の心理と不登校・引きこもり

現在、不登校や引きこもりの状態にある人だけでなく、日本の若者全般に巣くっている感情は次のようなものではないでしょうか。「自分は落伍者かもしれない」「自分は周囲に嫌われているかもしれない」「自分には能力がないのではないか」
ただし、本人にストレートに尋ねてみても、はっきりとそう認める人は少ないでしょう。というのも、上に挙げたような感情にとらわれていても、それを隠して生活しているからです。学校や友人の間では、なおさらです。ここにある感情は何でしょう?

不登校 体験談ースムーズな進学にこだわらない 不登校の後、自分で歩み始めた2人の体験談

不登校を経験した若者が、その困難をどのように乗り越え、いま成長を続けているか――。当時の心境と現在の思いについて、不登校経験者の若者2人に体験談を聞きました。聞き手は、かつて2人が相談に訪れた〈札幌市若者支援総合センター〉館長の松田考さん。2019年12月7日、札幌市で保護者らを前に行われた公開インタビューの一部を採録してお届けします。

不登校・引きこもりからの脱却ー高校進学が、大きなきっかけに

18歳のT君は、小学校の高学年から中学校にかけて不登校や引きこもりを経験。しかし、母親が中学生のための進学説明会に参加したことが、変化のきっかけとなりました。いろいろな学校のなかから自分に適した場所(通信制高校)を見つけたT君は卒業して、就職活動をするところまでたどり着きました。不登校・引きこもりの日々に何を思い、どう過ごしていたか。親との関わりはどうだったか。そして、何を機会に自分が変わったか。経験者であるT君本人に体験談を語ってもらいました。

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