通信制高校・高等専修学校ニュース
【2023年最新版】2022年度 都道府県別「不登校生徒数」と年度別不登校人数の推移
コロナ禍が尾を引き不登校増加
昨年度(2022年度)の不登校の小中学生は29万9048人で過去最多。小学生10万5112人(前年度比2万3614人増)、中学生19万3936人(前年度比3万494人増)です。
どちらも10年連続の増加で、不登校の小中学生数は30万人に迫っています。小学生の不登校は10年前(平成24年度)の約5倍、中学生は約2倍に増加しました。
小中学校の不登校は前年度に引き続き2割以上も増えています。その理由としてコロナ禍が尾を引き、児童生徒の登校意欲が低いままであることが考えられます。
長期欠席の高校生は12万2771人を数えました。前年度にくらべて4千500人以上も増加し、こちらも過去最多となりました。そのうち不登校を理由とする生徒は6万575人で、前年度より9590人多くなっています。
いじめの認知件数は小中高校など合わせて68万1948件で前年度から1割増。このうちパソコンやスマホで中傷・いやがらせをする「ネットいじめ」は2万3920件で、いずれも過去最多です。ネットいじめの件数は、2013年度の2.7倍になっています。
ここで不登校者数の推移と、都道府県ごとの不登校の児童・生徒の数と割合を見てみます。以下、データの出典は文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(令和5年10月4日発表)です。
不登校生徒(児童)数の年度別推移
平成17年度以降の全国の小中学校と高校の不登校児童生徒数は、下表のとおりです。
平成23年度までは小中学校ともに不登校者の数は、おおむね横ばいか若干の減少傾向でしたが、平成24年度を境に増加に転じます。以降令和4年度まで10年連続の増加です。小中学校いずれも平成28年度から不登校の児童生徒数の伸びが大きくなっています。
高校生の不登校者数は大きく見るとゆるやかな減少傾向でしたが、令和2年度の約4万3千人から翌3年度には5万人超と急増。さらに4年度は6万人を超え、近年、増加の幅が大きくなっています。
【年度別の不登校生徒数・割合(小学校・中学校・高校)】
年度 | 小学校の不登校 児童数と割合 | 中学校の不登校 生徒数と割合 | 高等学校の不登校 生徒数と割合 |
---|---|---|---|
平成17年度 | 22,709人 (0.32%) | 99,578人 (2.75%) | 59,680人 (1.66%) |
平成18年度 | 23,825人 (0.33%) | 103,069人 (2.86%) | 57,544人 (1.65%) |
平成19年度 | 23,927人 (0.34%) | 105,328人 (2.91%) | 53,041人 (1.58%) |
平成20年度 | 22,652人 (0.32%) | 104,153人 (2.89%) | 53,024人 (1.58%) |
平成21年度 | 22,327人 (0.32%) | 100,105人 (2.77%) | 51,728人 (1.55%) |
平成22年度 | 22,463人 (0.32%) | 97,428人 (2.73%) | 55,776人 (1.66%) |
平成23年度 | 22,622人 (0.33%) | 94,836人 (2.64%) | 56,361人 (1.68%) |
平成24年度 | 21,243人 (0.31%) | 91,446人 (2.56%) | 57,664人 (1.72%) |
平成25年度 | 24,175人 (0.36%) | 95,442人 (2.69%) | 55,655人 (1.67%) |
平成26年度 | 25,864人 (0.39%) | 97,033人 (2.76%) | 53,156人 (1.59%) |
平成27年度 | 27,583人 (0.42%) | 98,408人 (2.83%) | 49,563人 (1.49%) |
平成28年度 | 30,448人 (0.47%) | 103,235人 (3.01%) | 48,565人 (1.46%) |
平成29年度 | 35,032人 (0.54%) | 108,999人 (3.25%) | 49,643人 (1.51%) |
平成30年度 | 44,841人 (0.7%) | 119,687人 (3.65%) | 52,723人 (1.63%) |
令和元年度 | 53,350人 (0.83%) | 127,922人 (3.94%) | 50,100人 (1.58%) |
令和2年度 | 63,350人 (1.0%) | 132,777人 (4.09%) | 43,051人 (1.39%) |
令和3年度 | 81,498人 (1.3%) | 163,442人 (5.0%) | 50,985人 (1.7%) |
令和4年度 | 105,112人 (1.7%) | 193,936人 (5.98%) | 60,575人 (2.0%) |
都道府県別の不登校生数と1000人あたりの割合
都道府県別に不登校児童生徒数をみると、小中学校と高校いずれも、東京・神奈川・愛知・大阪といった大都市圏を抱える都府県が上位になる傾向は変わっていません。
【都道府県別の不登校生徒数】
順位 | 小学校 | 中学校 | 高等学校 |
---|---|---|---|
1位 | 東京都 10,911人 | 東京都 18,335人 | 大阪府 6,452人 |
2位 | 神奈川県 8,076人 | 大阪府 13,651人 | 東京都 5,568人 |
3位 | 愛知県 7,408人 | 愛知県 13,367人 | 神奈川県 4,381人 |
4位 | 大阪府 7,153人 | 神奈川県 13,104人 | 埼玉県 3,328人 |
5位 | 福岡県 5,813人 | 埼玉県 9,946人 | 千葉県 3,295人 |
6位 | 兵庫県 4,961人 | 兵庫県 9,642人 | 愛知県 2,908人 |
7位 | 千葉県 4,618人 | 福岡県 9,418人 | 福岡県 2,641人 |
8位 | 埼玉県 4,408人 | 北海道 8,591人 | 兵庫県 2,024人 |
9位 | 北海道 3,729人 | 千葉県 7,703人 | 静岡県 1,705人 |
10位 | 静岡県 3,340人 | 静岡県 6,303人 | 広島県 1,693人 |
11位 | 茨城県 3,288人 | 茨城県 5,289人 | 宮城県 1,552人 |
12位 | 広島県 2,759人 | 広島県 4,678人 | 新潟県 1,225人 |
13位 | 沖縄県 2,567人 | 宮城県 4,122人 | 栃木県 1,216人 |
14位 | 長野県 2,125人 | 京都府 3,657人 | 三重県 1,193人 |
15位 | 宮城県 2,066人 | 長野県 3,610人 | 京都府 1,189人 |
16位 | 京都府 1,970人 | 栃木県 3,604人 | 北海道 1,119人 |
17位 | 熊本県 1,914人 | 熊本県 3,439人 | 鹿児島県 1,112人 |
18位 | 岐阜県 1,879人 | 岐阜県 3,376人 | 沖縄県 1,091人 |
19位 | 新潟県 1,621人 | 沖縄県 3,195人 | 滋賀県 1,086人 |
20位 | 栃木県 1,563人 | 新潟県 3,138人 | 群馬県 1,035人 |
21位 | 群馬県 1,500人 | 群馬県 2,932人 | 岡山県 1,034人 |
22位 | 岡山県 1,389人 | 三重県 2,590人 | 長野県 949人 |
23位 | 三重県 1,368人 | 鹿児島県 2,565人 | 奈良県 876人 |
24位 | 滋賀県 1,270人 | 福島県 2,497人 | 岐阜県 855人 |
25位 | 鹿児島県 1,256人 | 岡山県 2,279人 | 石川県 817人 |
26位 | 奈良県 1,145人 | 奈良県 2,229人 | 熊本県 777人 |
27位 | 福島県 1,049人 | 滋賀県 2,194人 | 長崎県 720人 |
28位 | 石川県 1,024人 | 長崎県 2,100人 | 茨城県 686人 |
29位 | 長崎県 981人 | 山口県 2,060人 | 和歌山県 640人 |
30位 | 山口県 973人 | 石川県 1,918人 | 山形県 588人 |
31位 | 愛媛県 891人 | 大分県 1,887人 | 岩手県 583人 |
32位 | 富山県 856人 | 愛媛県 1,837人 | 大分県 582人 |
33位 | 大分県 816人 | 青森県 1,638人 | 愛媛県 538人 |
34位 | 島根県 791人 | 宮崎県 1,631人 | 富山県 483人 |
35位 | 宮崎県 768人 | 岩手県 1,388人 | 宮崎県 471人 |
36位 | 山梨県 696人 | 山形県 1,388人 | 福島県 430人 |
37位 | 山形県 685人 | 佐賀県 1,341人 | 佐賀県 429人 |
38位 | 和歌山県 671人 | 富山県 1,336人 | 島根県 421人 |
39位 | 佐賀県 669人 | 香川県 1,283人 | 福井県 414人 |
40位 | 岩手県 617人 | 山梨県 1,261人 | 青森県 407人 |
41位 | 青森県 611人 | 和歌山県 1,260人 | 香川県 393人 |
42位 | 香川県 558人 | 島根県 1,146人 | 山口県 345人 |
43位 | 鳥取県 492人 | 徳島県 1,088人 | 秋田県 331人 |
44位 | 秋田県 480人 | 秋田県 1,086人 | 鳥取県 301人 |
45位 | 徳島県 477人 | 高知県 994人 | 高知県 292人 |
46位 | 高知県 469人 | 福井県 963人 | 山梨県 229人 |
47位 | 福井県 441人 | 鳥取県 877人 | 徳島県 171人 |
次いで1000人あたりの不登校生徒の割合を見てみましょう。小学校では全国平均が17.0人(前年度13.0人)、中学校59.8人(同50.0人)、高校20.4人(同16.9人)です。いずれも前年度にくらべて大きく増えています。
小学校で1000人あたりの不登校者数が多いのは、順に沖縄・茨城・島根・長野です。中学校では栃木・北海道・宮城=熊本・茨城と続きます。また高校では大阪・滋賀・宮城・石川=和歌山が不登校者の割合の大きい府県です。大都市圏のある都道府県よりも、いわゆる地方の県の方が割合の高い傾向が見られます。
小学校から中学校へ変わると不登校者数の割合が大きくなるのは、どの都道府県にも見られる全般的な傾向です。これが高校へ変わると、不登校者数の割合の差が都道府県ごとに大きくなります。
【都道府県別 1,000人当たりの不登校生徒数】
順位 | 小学校 | 中学校 | 高等学校 |
---|---|---|---|
1位 | 沖縄県 25.3人 | 栃木県 70.3人 | 大阪府 31.8人 |
2位 | 茨城県 23.4人 | 北海道 70.2人 | 滋賀県 29.9人 |
3位 | 島根県 23.3人 | 宮城県 70.0人 | 宮城県 28.5人 |
4位 | 長野県 21.0人 | 熊本県 70.0人 | 石川県 28.3人 |
5位 | 福岡県 20.8人 | 茨城県 69.6人 | 和歌山県 28.3人 |
6位 | 熊本県 20.0人 | 兵庫県 67.0人 | 奈良県 27.5人 |
7位 | 広島県 18.8人 | 福岡県 66.6人 | 三重県 27.4人 |
8位 | 岐阜県 18.6人 | 長野県 66.3人 | 鹿児島県 26.9人 |
9位 | 宮城県 18.5人 | 島根県 65.6人 | 沖縄県 25.5人 |
10位 | 静岡県 18.5人 | 静岡県 64.8人 | 広島県 25.1人 |
11位 | 愛知県 18.4人 | 愛知県 64.0人 | 栃木県 25.0人 |
12位 | 石川県 18.3人 | 沖縄県 63.9人 | 島根県 24.8人 |
13位 | 富山県 18.2人 | 石川県 63.8人 | 千葉県 23.7人 |
14位 | 山梨県 18.2人 | 大分県 63.4人 | 新潟県 23.7人 |
15位 | 神奈川県 18.0人 | 岐阜県 62.5人 | 神奈川県 22.5人 |
16位 | 兵庫県 17.9人 | 奈良県 62.1人 | 山形県 22.1人 |
17位 | 奈良県 17.6人 | 徳島県 61.9人 | 群馬県 21.6人 |
18位 | 鳥取県 17.4人 | 大阪府 61.7人 | 福岡県 21.6人 |
19位 | 東京都 17.3人 | 広島県 61.4人 | 長崎県 21.5人 |
20位 | 大阪府 17.0人 | 山梨県 61.3人 | 鳥取県 21.4人 |
21位 | 栃木県 16.6人 | 山口県 61.0人 | 岡山県 21.2人 |
22位 | 北海道 16.3人 | 鳥取県 60.6人 | 埼玉県 20.6人 |
23位 | 群馬県 16.2人 | 高知県 59.9人 | 大分県 20.5人 |
24位 | 京都府 16.2人 | 長崎県 59.3人 | 福井県 20.2人 |
25位 | 滋賀県 15.9人 | 群馬県 57.5人 | 岩手県 20.1人 |
26位 | 新潟県 15.8人 | 新潟県 57.5人 | 佐賀県 19.6人 |
27位 | 三重県 15.4人 | 神奈川県 57.4人 | 富山県 19.2人 |
28位 | 和歌山県 15.4人 | 東京都 57.3人 | 静岡県 19.0人 |
29位 | 千葉県 15.2人 | 青森県 56.4人 | 東京都 18.4人 |
30位 | 山口県 15.2人 | 鹿児島県 56.1人 | 長野県 18.4人 |
31位 | 高知県 15.1人 | 佐賀県 55.6人 | 京都府 18.0人 |
32位 | 佐賀県 14.9人 | 京都府 55.5人 | 熊本県 18.0人 |
33位 | 岡山県 14.4人 | 福島県 54.8人 | 高知県 17.6人 |
34位 | 長崎県 14.4人 | 三重県 54.5人 | 岐阜県 17.3人 |
35位 | 大分県 14.4人 | 滋賀県 53.3人 | 愛媛県 16.7人 |
36位 | 鹿児島県 14.2人 | 和歌山県 53.3人 | 宮崎県 16.6人 |
37位 | 徳島県 14.1人 | 埼玉県 53.2人 | 香川県 16.4人 |
38位 | 山形県 14.0人 | 宮崎県 52.8人 | 兵庫県 16.1人 |
39位 | 愛媛県 13.7人 | 愛媛県 52.6人 | 愛知県 15.9人 |
40位 | 宮崎県 13.1人 | 山形県 51.9人 | 秋田県 15.7人 |
41位 | 秋田県 12.6人 | 富山県 51.7人 | 青森県 14.0人 |
42位 | 福島県 12.3人 | 秋田県 50.5人 | 山口県 11.4人 |
43位 | 埼玉県 12.2人 | 香川県 50.4人 | 山梨県 10.4人 |
44位 | 香川県 11.5人 | 千葉県 48.7人 | 徳島県 10.3人 |
45位 | 青森県 11.4人 | 岩手県 46.5人 | 北海道 9.9人 |
46位 | 福井県 11.4人 | 福井県 45.3人 | 福島県 9.8人 |
47位 | 岩手県 11.3人 | 岡山県 44.8人 | 茨城県 9.6人 |
不登校は将来を考えるチャンス
あせらずに、まずは情報収集を
在籍する児童生徒全体に占める不登校児童生徒の割合(令和4年度)は、全国平均で小学校1.7%(約59人に1人)、中学校6.0%(約17人に1人)です。計算上は中学校ではクラスに2人程度は不登校の生徒が存在することになります。すでに不登校は珍しいケースではなく、誰にでも起こりうるものと考えておいた方がよいでしょう。
「まさか自分が…」「どうして自分の子が…」――不登校になれば、子も親も動揺したり、悩んだりして当然です。出口の見えないトンネルの中をさまよっているようで、焦りがつのる人、やがてあきらめに襲われる人がたくさんいます。
しかし、出口はきっと見つかります。
たとえば、いま悩んでいること、心配していることの多くは、進学に関係していませんか。全日制高校だけが正規のルートではありません。通信制高校という道、もしかすると、より自分に適した道があることを知っておけば、それだけでずいぶんと気持ちが軽くなります。
もし今、あなたが不登校でいるなら、この経験はけっしてマイナスばかりではないことを知ってください。不登校を経験したからこそ、じっくりと自分の将来を考える時間を持てた――そう言う先輩方もたくさんいます。つまずきは、成長の機会にもなるのです。
進学が気になったら、通信制高校について少し調べてみましょう。中学校の先(もしくは今の高校とは別の道)に、あなたの個性を生かしたり、あなたの能力を伸ばしたりできる、多様な可能性が広がっていることが感じられるはずです。
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