通信制高校・高等専修学校ニュース

退学や休学は待って!通信制高校へ転入・編入で高校生を続ける道

専門家に聞く!統計データから見る!不登校脱却のヒント

「もう高校を辞めてしまいたい」「人間関係に疲れてしまい、しばらく学校を休みたい」「留年が確実となったので、学校には通いたくない」。そんなギリギリの段階にいる高校生と保護者に、ぜひとも知ってもらいたいことがあります。それは――

○自分にとって、いまの高校は、心を沈ませる、苦しい場所かもしれませんが、退学や休学を早まらない。
○高校と関係が切れる期間をできるだけ作らない。
○はっきり言えば、別の高校への転校を先に決める。
○やむなく退学や休学をするにしても、タイミングをよく見計らう。

その理由は? そしてタイミングとは? 答えは以下を読んでください。

 


立ち直り、再出発をスムーズにするために

 

結論を先に述べると、退学や休学を早まらないでほしいのは「通信制高校での立ち直りや再出発を少しでもスムーズにするため」。もし、いまの学校を辞めるとしたら、タイミングは「修得単位の引き継ぎ」に無駄が生じない時期に。

 

順を追って、詳しく説明しましょう。

 

全日制高校にくらべて学び方がとても柔軟な通信制高校。その数が増えています。以前であれば高校中退のままアルバイトを探すか、やむなくニートでいる他なかったような人も、通信制高校という選択肢が利用しやすくなった現在では、高校卒業はもちろん、その先の進学・就職にも希望が持てるようになっています。

何より、ほとんどの通信制高校のコースでは、それまでの学業成績で入学者を選別しませんから、勉強の面で立ち遅れてしまった人にとっても、やり直しの大きな機会になります。

この機会を、より効果的に生かすために、まずは通信制高校への「転入学」と「編入学」の違いを理解しておきましょう。退学や休学とも関わる大切なポイントです。

 


退学せず、転入学で状況を変える

 

通信制高校の生徒募集によく見られる「転入学」と「編入学」の違いが分かりますか(表1)。

 

対象となる人 通信制高校への入学時期 学年途中の単位の引継ぎ
転入学 現在、高校に在籍している人 随時受付で、3月/9月が多い 学年途中でも引き継がれる
編入学 既に高校を辞めた人 4月/10月が多い 原則、引き継がれない

 

 

転入学は、いま在籍する高校から別な高校へ移ること現在休学中の人も学校に籍はある(=高校生の身分である)ので、他の高校へ移る場合は転入学となります。全日制高校の間では転入学の条件や手続きが面倒なことがありますが、通信制高校のへの転入学は比較的容易で、ほとんどの学校で随時受け付けています。

 

編入学は、すでに高校を退学した人(=高校生ではない)が、あらためて高校に入り直すことふつう編入試験がありますが、これも上記の転入学と同様、通信制高校への編入学の場合は比較的容易です。多くの通信制高校では、学業を続ける意思を本人に確認する面接を重視しています。編入の受付時期は春と秋の2回とする学校が多いようです。

退学せずに転入学で学校を変える。やむをえず先に退学するにしても、早い時期に新しい高校に編入する。そう強く勧めたいのは、学校へ通わない期間が長くなると、その分、高校卒業の時期が延びてしまうことになるからです。進学や就職へも影響します。

 


修得した単位の引き継ぎはどうなるか

 

「単位数が足りないから進級できない。このままでは留年だ」。出席日数が少なかったり、テストの成績がよくなかったり…こんな時、おそらく高校生になって初めて耳にするのが「単位」という用語ではないでしょうか。

全日制、通信制を問わず、高校を卒業するには、一定の修得単位(注1)と在籍日数が必要です。転入学も編入学もしやすい通信制高校ですが、いずれも学業の途中で学校を変えることになります。前の高校でそれまでに勉強してきたことや通った日数はどうなるのでしょうか。転入や編入をすると、一からやり直しなのでしょうか。

 

(注1)単位……たとえば2単位の科目では、50分の授業を週2回、1年間(35週)受けると単位修得となる(あわせて試験で合格点をとることも条件)。高校卒業には74単位以上の修得が必要。

 

それまでに修得した単位や在籍日数は引き継がれます。転入学の場合は、そのまま新しい学校で同じ学年に移行することができます。

しかし、編入学の場合は、注意すべき点があります。それは退学する時期です。

 


学年途中の退学では単位が認められない

 

たとえば(全日制の)高校2年の10月に退学したとしましょう。新しく通信制高校に編入学した場合、引き継がれる修得単位は、高校1年生までのものです。2年生になってからの分は、引き継ぎが認められません。なぜでしょうか。

通信制高校のほとんどが単位制なのに対して、全日制高校の多くは学年制をとっています(表2)。学年制では、それぞれの学年末に1年間の成績や出席日数などをもとに単位修得の認定が行なわれます。また、この認定によって進級・卒業が決まります。

単位の修得 進級・卒業 留年
学年制 修得が必要な単位が学年ごとに定められる 単位の認定と進級要件が一体 学年ごとの必要単位がすべて修得できないと留年。その学年で修得した分は無効に。
単位制 原則3年の間に、必要な単位をすべて修得する 学年ごとの進級認定を行わない 未修得の単位は残るが、留年はない

 

 

ですから、この例のように学年の途中で学校を辞めてしまうと、せっかく学校に通った期間があるのに単位修得が認められません。高校1年生の途中で退学なら、1年生を最初からやり直しです。

こんな無駄を避けてほしいからこそ「退学を早まらない」「タイミングを考えて」とアドバイスするわけです。

ちなみに学年途中の休学も、単位修得に関しては、退学と同様に考えることができます。

高校に籍はあるのですが、出席日数が足りなかったり、試験を受けないために成績が付かなかったりして、単位修得の認定がされません。したがって、復学するのは原則として休学した学年の年度初めから。つまり、同学年のやり直しになります。

 


通信制高校が困難脱出の手がかりに

 

「もう学校に通えない」「辞めてしまいたい」――せっぱつまったギリギリの状態にある高校生と保護者にとって、通信制高校のように単位制をとる学校への転編入は状況を打開するチャンスとなります。

大きな利点のひとつに、ひとまず留年という事態を避けられることがあります。

単位制の高校にも学年はありますが、学年制のように単位修得と進級要件が結びついているわけではありません。したがって、成績不振や出席日数不足による留年は原則としてありません(ただし、3年の間に所定の単位が修得できなかったり、通算の在籍日数が足りなかったりすると、卒業時期は延びます)。

通信制高校のもうひとつの利点に、サポート校(注2)の利用があります。ていねいな学習支援を受けられるので、遅れを挽回することが可能です。

 

(注2)サポート校……通信制高校の生徒が3年間で卒業ができるよう、学習面や生活面で支援を行う。学習塾や予備校・専門学校などの教育機関が運営することが多い。

 

学校生活の中で心身ともに疲れると、生徒本人は高校のことや将来のことを考えたくなくなります。そんな時は、ひと息つくことが大切です。気力を取り戻すことを第一にし、「周囲から遅れてしまう」とあせらないことです。

立ち直り、再出発のチャンスはあります。退学や休学を早まらず、通信制高校へ転入学。それが、いまの苦しい状況を変える転機となります。