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HSP”繊細さん”には通信制高校が合う

新しい学校選びの基準 ニュースクからのアドバイス

「新しい学校選びフェア」総合相談デスクから

「繊細さん」という言葉を聞いたことがありますか。視覚や聴覚が敏感すぎたり、他人の気持ちを察しすぎたりして日常生活でストレスを感じることが多い性質の人を指します。

「新しい学校選びフェア」の総合相談デスクへ訪れる中学生や高校生の中にも、話を聞いてみると「もしかしたら『繊細さん』かな?」という男子や女子がいます。不登校の理由が「なんとなく学校になじめない」「学校でふつうに過ごすだけで、ひどく疲れる」といったように、特定の原因が見当たらない場合です。

通常の学校生活、みんなと一緒の教室という環境になじめない「繊細さん」にとって、学ぶ環境をかなりの程度自分で選べて調整できる通信制高校は、全日制高校にくらべて格段に安心できる進学先になりそうです。

通信制のメリットを述べる前に、「繊細さん」について、もう少し詳しく記しておきます。

繊細さん=HSPという心理学概念

繊細な高校生

「繊細さん」は、正式にはHSP(Highly Sensitive Person、ハイリー・センシティブ・パーソン)という心理学の概念で、次の4つの特徴があります。

①外からの刺激に敏感で、影響されやすい。
②他人が気づかないささいなことにも気づく。
③感情が豊かで共感力が高い。
④物事をていねいに深く考える。

こうしたHSPの特徴は、日常生活では

  • 短い時間内に多くのことを同時に行うのが苦手。
  • 生活の変化によって混乱しやすく、落ち着くまでに時間がかかる。
  • 相手がどういう気分なのか気になってしかたがない。
  • ささいなことに、すごくびっくりする。
  • 空想にふけることが多い。

などの行動・反応に表れます。学校が苦手になる理由につながるところも多いのではないでしょうか。

判断は専門家によるチェックで

ここ数年、HSPに関する書籍を書店で多く見かけるようになりました。読んでみると自分に当てはまる事柄がいくつか見つかるかもしれませんが、HSPかどうかの判断は、臨床心理士などがチェックリストを基に慎重に行います。一説には「5人に1人がHSP」とも言われますが、発達障害など、他の障害とまぎらわしいこともあるので、けっして自分で決めつけず、心療内科やカウンセリングで専門家に判断してもらうことが大切です。

HSPであっても、専門家によるカウンセリングによって、周囲への対処法や物事の考え方を変えていくことが可能です。したがって、自分の心に過度に負担をかけずに生活・勉強・仕事に取り組むこともできるようになります。

ストレスが少ない通信制高校

そのようなカウンセリングの成果がうまく学校生活に生かされ、望み通りに進学した高校で充実した毎日を送ることができれば、理想的です。

しかし、自分の努力だけでは対処しきれない場合、ストレスの少ない学習環境へと移ることを考える必要があるでしょう。具体的には、通信制高校への進学・転入です。

通信制高校の通信コースなら、自宅学習が中心なので、自分の部屋でより勉強に集中しやすい環境を整えられます。HSPで対人関係がストレスになる人に向いている学び方かもしれません。スクーリングでは他の生徒と同じ教室で対面授業を受けなくてはなりませんが、それはカウンセリングで身につけたり、自分なりに学んだりした対人関係の対処法を試してみる機会ととらえてはどうでしょう。

通信制高校の通学コースなら、自分の心の調子やカウンセリングの成果に応じて、週1日から週5日まで登校日数を徐々に増やしていくことが可能です。こちらもやはり、ストレスなく周囲と関わっていく訓練を段階的に重ねるよい機会となります。

HSPのポジティブな面を大切に

HSPが変えることのできない性質であるのなら、それと上手に付き合う方法を、無理をせずに、自分で探りながら見つけていくことが大切です。その場所が全日制高校か通信制高校かは、人それぞれです。ただ、通信制高校がHSPにとって、よりストレスの少ない場所であることだけは覚えておいてください。

最後になりましたが、HSPは、なにもネガティブなことばかりではありません。音楽や美術への関心が高く、感動も大きい人が多いのが特徴ですし、細かなことに気づきやすいという性質も、いろいろな勉強や仕事の場面で長所になります。将来の自分の進路を決めるうえで、選択の軸にすることもできるのではないでしょうか。

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※この記事は札幌・仙台・大阪にて不登校生等を対象とした合同進学相談会「新しい学校選びフェア」を企画・運営する「特定非営利活動法人高校生進学支援の会」協力のもと作成しております。

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