通信制高校・高等専修学校ニュース

通信制高校と大学入試(全3回)
②「総合型選抜」とは

新しい学校選びの基準 ニュースクからのアドバイス

卒業見込みの生徒(3年生)が入学試験に合格して大学進学する点で、通信制高校は全日制高校となんら変わりなく、制度のうえで不利になることはまったくありません。

ですから、これから通信制高校へ進もうという人も、すでに通信制高校の生徒である人も、大学へ行ってみたい気持ちが少しでもあるなら、進学を簡単にあきらめないでください。通信制高校の卒業生の5人に1人は、大学・短大へ進学しています。

大学入試の方式は多様化しています。あなたにマッチした方式が見つけて十分な受験準備をすれば、合格・進学の可能性は高まります。

アドミッション・ポリシーを知ろう

先生と生徒

大学入試の主な方法は次の3つです。

 ・一般選抜
 ・学校推薦選抜
 ・総合型選抜

今回は「総合型選抜」、それも私立大学を念頭に解説します。

総合型選抜は、エントリーシート(出願の意思を記した申し込み)のほか、面接や論文、プレゼンテーションなどで、受験生の能力や適性、学習意欲を時間をかけて総合的に評価する入試方式です。

おおまかに言えば、学部のアドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)に示された「思考力」「発想力」「実行力」など、大学が受験生に求める力が、入学判定の基準となります。したがって、自分の資質や能力と合致するようなアドミッション・ポリシーを掲げる学部を見つけ、総合型選抜を実施するかどうかを確かめるところから受験準備はスタートします。

受験情報誌やウェブサイト、あるいは高校の進路相談室などに置かれた大学案内などの各種資料を使って、まずは自分向きの進学先を探してみてください。並行して担任の先生や進路指導の先生に総合型選抜での受験を考えていることを伝え、早めに相談しておくことが大切です。

対話型と体験・実技型

私立大学の総合型選抜では、選抜方法はそれぞれに特徴がありますが、大きく2つのタイプに分けることができます。

ひとつは「対話型」です。エントリー後、受験生と大学が複数回の面談を行い、大学から出願を許可されると合格の内定を得ることができます。学力に偏らず、人物評価や意欲、志望動機などを重視します。

もうひとつは「体験・実技型」です。模擬授業やセミナー、実験などを含んだ入試プログラムへの参加が出願条件となります。それにともない、レポートなどの課題提出があります。

やりがいある受験、早めの準備を

先生と生徒

総合型選抜では、出願・試験は高校3年の9月から10月と早いので、志望校も早い時期に決定しなければなりません。原則として出願校が第1志望校となりますから、慎重な検討が必要です。自分の進路・適性を見定めたうえで、志望する学部のアドミッション・ポリシーや選考方法をよく研究しなくてはなりませんから、十分な準備期間が必要です。

こう聞くと、「総合型選抜なんてハードルが高くて、とても無理」と思えますが、学校での教科テストでは測れないような自分の資質や能力を認めてもらって大学進学できるのであれば、挑戦しがいのある入試方法です。

また、受験を通じて志望する大学・学部のことが一層よくわかるので、入学してから「こんなはずではなかった」というミスマッチが防げます。受験準備が大学での学びの準備にもつながる点もメリットです。

「明確な志望動機」があれば

大手教育情報会社のアンケート調査によると、総合型選抜を実施する大学の多くが受験生に求めているのは、まず「明確な志望動機」、次いで「コミュニケーション能力」「前向きに取り組む姿勢」です。「リーダーシップ」や「受賞歴や資格取得、探究活動の実績」を重視する声は、さほど多くありません。

こう聞くと、今度は「総合型選抜で受験してみようかと」と乗り気になる人もいるのではないでしょうか。

学校の時間割にしばられる全日制高校の生徒に比べて、自由な時間を多く取れる通信制高校の生徒の方が、総合型選抜の受験準備がしやすいようにも思えます。もちろん、学校の先生方から十分な指導を受けられることが前提です。

※次回は最後③「一般選抜」を解説します。

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