通信制高校・高等専修学校ニュース

通信制高校の多くが採用している「単位制」とは?

特色ある科目、ユニークな授業 通信制・高等専修学校の強み

ほとんどの通信制高校が、単位制の高校です。「単位制」とは、単位修得、簡単に言えば、高校での学習成果の認定方法です。

話を分かりやすくするため、単位制の説明をする前に「学年制」について触れておきましょう。

全日制の多くは学年制

小学校や中学校までは、同じ学年の児童・生徒が一緒に進級・卒業するのがふつうです。高校でもほとんどの場合は、みんな一緒に進級・卒業するのですが、同じ学年をやり直す「留年」の可能性があります。試験の成績がよくなかったり、授業への出席数が少なかったりした場合です。

どれかひとつの科目でも成績がひどく悪かったり、授業への出席数が足りなかったりすると、規定の通りにその科目を勉強したとは認めてもらえません。これが「単位を落とす」ということです(単位については、あとで詳しく説明します)。ひとつでも単位を落とすと、次の学年に進めないのが「学年制」です。ほとんどの全日制高校は、この学年制を採用しています。

学年制では、学年ごとに修得する単位数がほぼ決められています。つまり、学ぶべき科目や1週間の授業数などが、あらかじめ定められています。選択科目など、生徒が進路や興味に応じて決めるものもありますが、時間割の自由度はごく小さいと言えます。

通信制の多くが単位制

では「単位制」は「学年制」と、どう違っているでしょうか。

大事な点から説明すると、単位制は学年制と違って、進級と単位修得が結びついていません。つまり、単位を落としても留年にはならず、次の学年に進めます。その学年でやり直して、落とした単位を修得すればいいのです。単位制の高校では、その高校に在籍できる期間(最長48か月)のうちに、必要な単位(74単位以上)を修得すれば卒業できます。

少ない単位で卒業できる

学年制にくらべて、自分の時間を多く持てるのが単位制です。

というのも、単位制の通信制高校では、一般に修得単位の数が全日制や定時制にくらべて少ないからです。全日制・定時制・通信制、いずれの高校でも74単位を修得すれば卒業できますが、カリキュラムが定まっている全日制で学ぶと3年間で90~100前後の修得単位数になるのがふつうです。単位制なら、多く単位を取ることもできますが、最低限の単位で卒業することも可能です。

自分らしく柔軟に学べる

学年ごとの修得単位数は全日制では31か32単位くらいになります。もっと多い高校もあるようです。それが通信制では25単位程度で済ませられます。修得単位数が少ないので、それだけ勉強以外のことに時間をさくことができます。将来の夢や目標に向けて活動したり、アルバイトと両立させたりしやすいのが単位制の高校、通信制高校の特長です。

1年次に多めに単位を取って、2年・3年では少なめにしてゆとりをもたせる。逆に1年次に少なめの単位で学習に慣れてから、2年・3年でがんばって多めに単位を取る。もしくは4年かけてゆっくりと74単位を取る。――通信制高校なら、取り組み方はいろいろです。自分の学力やライフスタイル、体調などに応じて3年間もしくは4年間の学習計画を立てられるのも、単位制である通信制高校の長所です。

一方で通信制高校の「多く学べる」面にも注目したいものです。芸術・芸能・美容・コンピュータ・機械・農業など、専門性の高いカリキュラムを用意した通信制高校も数多くあります。学ぶ楽しさを実感できたり、将来の進路につなげたりできるメリットがあります。また、手厚い受験指導のある通信制高校なら、難関大学の合格をねらえる学力を身につけることも可能です。

単位について――全日制と定時制

ここで「単位」について詳しく説明します。

ある科目の単位は、その科目の週あたりの授業回数だと考えておけばよいでしょう。

全日制では、たとえば、ある科目が2単位だとしたら、週2回の授業を1年間(通学期間としては35週)受け、定期試験(各期の中間試験や期末試験)で及第点をとると単位修得となります。

では、学校での授業がない通信制の場合、単位修得はどのようにして認められるのでしょうか。

通信制で単位を修得するには、その科目についてレポート提出(添削指導)とスクーリング(登校して授業を聞く面接指導)をこなしたうえで、単位認定試験にパスすることが必要です。レポートとスクーリングの回数は、下のように決められています。

【1単位に必要なレポート(添削指導)とスクーリング(面接指導)の回数】

◎国語、地理歴史、公民及び数学に関する科目: レポート 3 スクーリング 1
◎理科に属する科目: レポート 3 スクーリング 4
◎保健体育に属する科目のうち「体育」: レポート 1 スクーリング 5
◎保健体育に属する科目のうち「保健」: レポート 3 スクーリング 1
◎芸術及び外国語に属する科目: レポート 3 スクーリング 4
◎家庭及び情報に属する科目及び専門教科・科目: レポート 2~3 スクーリング 2~8
※『高等学校学習指導要領解説 総則編』(文部科学省)

上の規定によると、たとえば、国語4単位を修得するには、レポート12回、スクーリング4回が求められます。

通信制高校で学ぶとしたら、年間ではレポート提出50~60通、スクーリング20~25日、単位認定試験あわせて2~4回、というのが勉強量の平均的なところです。レポートの数が多いように思えますが、全日制と同じく1年間を35週とすれば、4~5日に1通を仕上げる割合ですから、そう重い負担でもありません。それに、まったく一人で勉強するのではなく、レポート提出にあたっては、学校のサポートが受けられます。

高校の卒業条件

ここで、高校卒業に必要な条件を確認しておきます。全日制・定時制・通信制のいずれでも、高校卒業の要件は次の通りです。
 ◎高等学校への3年以上の在籍
 ◎74単位以上の修得単位数
 ◎必修科目の履修
ただし、通信制高校の場合、卒業にはもうひとつ条件が加わります。
 ◎30時間(3年間合計)以上の特別活動への出席
特別活動とは、ホームルーム活動や運動会、文化祭などの学校行事のことです。スクーリングの機会などに、あわせて行うことが多いです。

資料請求で通信制高校をよく知ろう

スクーリングやレポートは、実際どんなものか。自宅学習のサポートはどうなっているか。みんなはどんなカリキュラムで学習しているのか。――通信制高校によって違いがあり、特色があります。具体的に知るには、資料請求をするのがいちばんです。気になる通信制高校があったら、ぜひ学校案内を取り寄せてみてください。