通信制高校・高等専修学校ニュース

通信制高校の進路指導・受験対策の事例/酪農学園大学附属とわの森三愛高校

大学進学・就職をかなえる! 通信制高校の進路指導

少人数教育の学校が多く、また、登校日数も様々なコースがあることから、外部からは見えにくい通信制高校やサポート校の「キャリア教育」や「大学受験対策」、「進路指導」。不定期連載で、このテーマを取り上げます。

第1回目の今回は、酪農学園大学附属とわの森三愛高校[通信制課程](北海道江別市)の事例です。同校は、北海道内はもちろん、全国各地から生徒が入学している広域通信制高校です。

さて、今回ご紹介するのは、去る2月18日、同校1・2年生を対象に「職業・学問発見フェア」と名付けた進路行事について。多くの職業を知ることができる機会とするため、16校の大学・専門学校を招きました。

高校生は「職業・学問」を知らない、知る機会がない

「全日制課程の生徒もそうですが、本校通信制課程の生徒たちも職業を良く知りません」同校にて進路指導を担当する大沼桃佳教諭は語ります。本校に限らず高校生の多くは、まずは自分の親の職業、そして、一番身近な職業人である教員、そして職業名からイメージしやすい保育士、美容師、調理師、警察官・・・その程度の職業知識しか持ち合わせていません。しかし、高校3年生の秋には、進学なり就職なり卒業後の進路を決めなければなりません。知識量が少ない中で進路を決めているのが現状です。

そして、その後はどうか。高卒就職者の早期離職の問題しかり、大学・専門学校のミスマッチによる中途退学しかり、中学校でもある程度の職業学習が行われているとはいうものの、高校在学中に必要な情報を早期に、かつ的確に与えなければ(もしくは、自ら得なければ)高校卒業後のその先で「人生の進路変更」を余儀なくされるかもしれません。

ブースで聞ける話は学校の内容ではなく「職業・学問」のこと

専門学校との個別進路相談

そこで同校では、北海道内の高校で進路指導のサポートや進学ガイダンスを数多く実施している「NPO法人高校生進学支援の会」の協力のもと、標記の進路ガイダンスを初開催しました。当ガイダンスの目的は、「職業や学問を知り、幅広い知識を得て、ミスマッチのない進路選択を目指す」こと。そのため、職業・学問説明を担う大学・専門学校へ「学校説明ではなく職業・学問説明に特化」するよう依頼しました。また、職業や学問をイメージできる小道具や教具を用い、視覚的に職業・学問を感じることができる内容としたのも、生徒が話を聞きやすい環境づくりに一役買いました。

外部機関と協力して進路行事を進めるために

進路ガイダンスの模様
進路ガイダンス直前に実施した事前講義の模様

この進路ガイダンスを実施するにあたり、進路指導担当の大沼教諭からNPO法人高校生進学支援の会へ依頼したことがあります。「本校の生徒は比較的おとなしく受け身の生徒が多いです。そのため、職業・学問説明ブースに積極的に着席してもらえるよう、当企画の目的を伝える事前講義をお願いしました」。自校生徒の様子や進路活動の進捗度、さらには生徒の進路希望調査結果などを伝え、どんなコンテンツを加味すべきかを事前協議できたことが今回の目的を達成できた要因だったと振り返ります。

生徒向け講義では、なぜ職業・学問の知識を持つべきか、進路ミスマッチとは、などワークシートを使いながら話を聞いてもらいました。講義中に興味関心のある、または、名前は知っていても仕事や学びの中身まではわからない職種・学問を各自ピックアップ。その職業・学問から手始めに聞いてみよう!と伝え、ブース説明のスタートが切られました。

今回の進路行事で生徒は何を感じたか

上級学校のPRという意図ではなく、職業・職種・学問に特化した説明を受けられること、また、教室での授業とは異なり講師との距離が近いことから、気軽に質問や相談をする姿が多く見られました。この2時間の進路ガイダンスを経て劇的に職業観や学問への興味が高まる、ということはありません。ですが、少なくとも生徒たちの中に「安易な進路選択では将来困る可能性がある」という意識は芽生えたようです。酪農学園大学附属とわの森三愛高校[通信制課程]の生徒は、半数以上が大学・専門学校へ進学します。ミスマッチを起こさない学校選択の重要性を考える良い機会になったことでしょう。

まさに「選ぶために必要なのは『知ること』。知ることで、視野と選択肢をひろげます」

このように通信制高校においても、大学等への進学に備え、さまざまな取り組みを行っています。今後、通信制高校の「進路指導」「受験対策」「キャリア教育」について、できるだけ多くの取材を通してわかりやすくお伝えしていく予定です。

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