通信制高校・高等専修学校ニュース
「自信ある自分」に変われる場所
専修学校クラーク高等学院 札幌大通校
何か好きなこと、得意なこと、興味のあることに、じっくりと取り組む時間ほど、心を解きほぐしたり、自信を育んだりするうえで大切なものはありません。それは、つまずきから立ち直るきっかけになり、新しい環境に足を踏み入れる勇気を授けてくれます。
そんな「好き」と「得意」の効用をたっぷりと生かして、中学校から進学してきた生徒たちの成長を力強く応援しているのが、専修学校クラーク高等学院札幌大通校(以下、札幌大通校)です。学校長の中野陽介さんに同校の教育内容を詳しく聞きました。
好きなことを通じて変わる
「学校の勉強に限らず、何かひとつ、生徒が好きなことにとことん取り組める場所が札幌大通校です。理解したり上達したりする喜びが自信になり、その自信が生徒の人間力全般を引き上げてくれます」と中野さんは話します。
そのよい例として、同校のeスポーツコースの生徒のことを挙げてくれました。
中学時代は不登校でほとんど学校へ行かなかったこの生徒は、好きなコンピュータゲームを同校で深く学ぶうちに同級生たちとのコミュニケーションにも慣れていきました。
eスポーツコースでは教材としてゲーム〈リーグ・オブ・レジェンド〉を用いています。生徒は5人1組となって相手チームと競います。勝つためには生徒の間でポジションや役割を決めたり、作戦や方針を立てたりする必要がありますから、自然とコミュニケーションが生まれます。どの生徒にとっても、好きなことが話題ですから、話も弾みます。
そんな楽しく充実した時間を過ごすうちに、中学時代に不登校でこわばっていた気持ちもすっかりほぐれて、この生徒は本来の自分を取り戻していきました。授業の一環で中学生にeスポーツについて解説する機会には、説明役を買って出るほどの積極性を見せたそうです。
「変わる生徒は、保護者もびっくりするくらいに変わりますよ」と中野さん。これだけは自信があるという、自分の芯ができる――それは、とりわけこの年代の子どもにとって重要な体験です。その体験のチャンスを、札幌大通校では数多く用意しています。
興味の入口は、いろいろ
eスポーツの他、国際・総合進学・スポーツ(男子サッカー)と専修学校クラーク高等学院札幌大通校では全部で4つのコースを設けて、生徒の「好き」「得意」「興味」の入口にしています。
国際コースは「英語で話をしてみたい」「様々な国の人と関わってみたい」という夢を持つ生徒のために。毎日の学校生活の中で、段階的に英語の4技能を高められます。入学時の英語のレベルは問わないので、まだ実力はないけれども英語に興味がある人なら、だいじょうぶです。
総合進学コースは、おもに大学進学を希望する生徒のために。コンピュータやコミュニケーションのスキル習得はじめ、多彩な授業で大学での勉強の備えとなるような学習能力を身につけます。
スポーツコースは、サッカーに打ち込みたいプロ志向の男子のために。コンサドーレ札幌のコーチによる指導で技能を向上させることはもちろん、効果的な身体づくりや大会運営への参加など、いろいろな角度からサッカーに関わっていきます。
前述のeスポーツコースは、コンピュータゲームの技能を磨きながらコミュニケーション力を高めたり、ゲーム大会の主催運営といった場づくりのノウハウを知ったりします。ゲームを中心に関心を広げ、様々な能力を磨くことで将来の進路選択に備えることができます。
いずれのコースも基本的に月曜日は一般教科の学習、火曜日以降は午前中に一般教科を済ませ、午後はまるまる各コースの専門学習にあてています。
自信がつくと進路にも意欲
中学校で不登校だった生徒が、学びの再スタートの場として札幌大通校を選ぶ例が多いそうです。その一方で、専門性に特化した教育内容に大きな魅力を感じて、不登校経験者ではない中学卒業者が同校を積極的に選ぶ場合も少なくない、と中野さんは話します。
たとえば、すでに述べたように、スポーツコースの生徒は本気でプロのサッカー選手を目指す男子がほとんどです。また、国際コースにはネイティブ教員による豊富なレッスンを含む週12時間以上の英語授業で英語力をうんと高めたいという、中学での成績上位層の生徒もいます。
このように専門に特化した教育を受けると、その延長線上に将来の進路を決めるのが自然に思えますが、「必ずしも、そうしなくてよい」と中野さんは言います。
「大事なのは、何かひとつでいいから、じっくりと学んで自信をつけること。それによって自分の資質に気づいたり、視野が広がったりします。すると、進路の選択肢も、より柔軟に、より多様に考えられるようになります」
無理なく着実に力をつける
今回紹介する専修学校クラーク高等学院札幌大通校をはじめ、高等専修学校は、週5日の登校です。中学で不登校を経験しても、同校へはほとんど皆勤で通えるようになる生徒が珍しくないといいます。「プレ登校(入学前の登校)など手厚いケアがあるから」と中野さんは説明します。
新入学の4月からいきなり通い始めるのではなく、前年度の学校説明会や体験授業への参加、入学を決めた生徒については入学式前までに複数のプレ登校を経て、気持ちや生活リズムの面で生徒を登校になじませていくそうです。
「ずっと不登校だったけれども、新しい学校へは足が向く。他の生徒と一緒に過ごせるようになった。そんな達成感が、入学後から卒業まで通い続ける意欲や自信につながります」と中野さん。
段階を踏んで着実に力と自信をつけるのは、教科の学習も同様です。同校ではどのコースにおいても英語・数学の授業は習熟度別なので、生徒は自分の学力に応じて無理なく学びながら、実力を伸ばしていける仕組みです。また、パソコンで学習ソフトを活用したり、予備校の授業視聴ができるようにしたり、希望進路に合わせて生徒各自が必要な学力を養えるようにも指導しています。
生徒には各種検定の受検も勧めているそうです。なかでも英検(実用英語検定)は、全生徒が必ず受けることにしています。中野さんは「いちばん下の5級合格から始めてもいいのです。次は4級、それから3級と、勉強を重ねるにつれて実力が上がっていくのを実感することが大切」と話します。
面接で語れる体験ができる
こうして札幌大通校の生徒は、教育内容やカリキュラムが比較的自由な専修学校という制度で伸び伸びと学びながら、思考力・表現力・主体性・協調性といった、将来、社会人として生きていくうえで重要なスキルを身につけていきます。提携する通信制高校(クラーク記念国際高校)の単位も修得し、専修学校と通信制高校のふたつを同時に卒業します。
卒業後の進路は、大学・短大が55.8%、専門学校が26.9%(2020年度の進路決定者)。いずれも高校(全日制・定時制)の全国平均より高い数値になっています。
学力偏重ではなく、受験生の人間力や可能性を広く考慮する方向に大学入試全般が変わってきていることを踏まえ、中野さんは次のように言います。
「専修学校クラーク高等学院札幌大通校での様々な学習は、志望書に記したり、面接で語ったりできるような手応えのある体験になり得ます。とりわけ意欲や経験を重視するような大学入試においては、本校での学習体験が、きっと大きく活きることになるはずです」