通信制高校・高等専修学校ニュース
対人恐怖症と高校進学
人間関係のトラブルや無気力などが不登校の原因となることがあります。
しかし、表面上はそう見えていても、なかには本当の原因として身体や心の不調が潜んでいるケースも考えられます。
たとえば、思春期に発症しやすい対人恐怖症がそのひとつです。
強い不安や緊張で学校が居づらい場に
対人恐怖症は、近年では社会不安障害あるいは社会不安症と呼ばれることが多いようです。思春期、中学生や高校生の時に現れやすい障害です。
たとえば、学校で授業中に発言するのが苦手な人は珍しくありませんが、対人恐怖症の生徒にとっては、その際の不安や緊張、恐怖の強さは並みではないのです。
手が震える、動悸が激しくなるなどの身体症状はよく知られていますが、不眠や気分の落ち込みなど心に症状が出ることもあります。
強い不安を感じるのは、多くの人の前で話すような時に限りません。クラスメートと休み時間に雑談したり、昼食を一緒に食べたりするような何でもないことでも著しい緊張や恐怖の原因になります。別にいじめや中傷、からかいを受けているわけではなくてもです。
対人恐怖症であっても、自分の家族や、まったく関わりのない他人の前なら大丈夫なのがふつうです。症状が現れた当初は、生徒本人も親も、対人恐怖症を単なる性格の問題と考えてしまいがちです。
対人恐怖症の生徒は、気まぐれ、変わり者、引っ込み思案などと誤解されやすいようです。周囲に自分の苦しみが理解されず、ますます学校が居づらい場所になっていきます。
充実させたいと思っている学校生活が、自分にとっては逆に強い不安や恐怖の理由となっているのであれば、はやく専門医に相談すべきでしょう。一般的には薬物療法や精神療法を組み合わせた治療で改善が図れます。
心の負担が少ない通信制という学び方
治療の効果があって、中学校・高校へ通えるようになればよいのですが、学校生活には心配がつきまとうかもしれません。
とくに全日制高校であれば、登校できない日が積み重なって出席日数が足りなくなったり、そのために成績不振で進級が危うくなったりする可能性は否定できないからです。
また、やはり全日制高校では、グループ学習やプレゼン授業、インターンシップ体験など、対人恐怖症の生徒にとっては心理的に過大な負担となる学習活動が多いのも心配のタネです。
しかし、通信制高校であれば、その心配をぐっと減らすことができそうです。
なにより、安心できる自宅・自室で学習を進められるのが利点です。対面授業であるスクーリングがありますが、負担の少ない日程で調整が可能かもしれません。
治療の効果があがって自信がついてきたら、週に何日か登校する「通学コース」へ切り替えることも可能です。
対人恐怖症(社会不安障害、社会不安症)に悩む人は、通信制高校という進路を知っておくと勉強を断念しなくてすみます。いま人と関わる場面で感じる不安や恐怖から少しずつ脱しながら、大学や専門学校への進学、あるいは就職へとつながる道を歩んでいけます。
自分に適した学び方を探るために、ぜひ通信制高校の資料を集めて比較検討してみてください。