通信制高校・高等専修学校ニュース
フリースクールで出席日数を増やす
「新しい学校選びフェア」総合相談デスクから⑨
起立性調節障害に悩む中学2年生の男子とお母さんが、総合相談デスクを訪れました。中1の秋から不登校とのことです。やはり「高校進学が心配だ」と話します。
これまでもこのシリーズ記事で述べてきたように、不登校であっても中学2年生までのケースであれば「高校進学は、全日制と通信制の両方の選択肢を残す方向で考えましょう」というのが、私どもの標準のアドバイスです。
中学校への登校が難しいのなら
結果として通信制高校へ進むにしても、最初からそれしか選択肢がなく、仕方なく不本意に行くことにならないようにしてほしいからです。ただし、このアドバイスは、ふたつの条件を前提にしています。
ひとつは、これまでに学校で中間試験や期末試験といった定期テストを受けていること。もうひとつは、午後からの登校でも保健室登校や別室授業でもよいので、これからでも出席日数を増やせる見込みがあること。これらは、全日制高校が受験者の合否を決めるに際して、入試得点とともに判断材料として必要だからです。
しかし、定期テストを受けるために数日登校するのはよいとしても、中学校へ通い続けるのが難しい場合も多いと思います。たとえば、いじめの心配があったり、友人や教員との人間関係の悩みが解消していなかったり。こうした理由から不登校になっている生徒は、(全日制)高校へ進んで環境が変われば、学校へ通えるようになるものと期待していることでしょう。
であれば、なおさら出席日数を増やして、全日制高校受験の選択肢を残しておきたいものです。「そうは言っても、いまの中学へ通うのは難しい」という声も聞こえます。そこで、もし通学できるところにフリースクールがあれば、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
フリースクール出席が中学校の出席日数に
民間のフリースクールは学費がかかりますが、それだけのメリットもあります。
第1に、フリースクールへの出席日数が中学校への出席日数として認めてもらえます。これは文部科学省が「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」で示した方針です。
第2に、フリースクールのように定期的に通う場所があると、生活リズムを正しく保ちやすくなります。生活リズムが整っていると、高校進学後の新しい生活へスムーズに適応できます。
学力やコミュニケーション力のためにも
第3に、基礎学力が身につきます。指導の在り方にもよりますが、たいていのフリースクールは、小中学校の基礎的な学力を身につける場として利用できるはずです。これも、高校レベルの学習へ少しでもスムーズに移行するうえで役立ちます。
第4に、フリースクールでは友人や教員と会話があります。自宅でひとりで過ごしていると、なかなかコミュニケーションの力が育ちません。フリースクールという安心して人と関われる環境なら、コミュニケーションの力を無理なく伸ばせそうです。
※フリースクール以外にも、不登校でありながら中学校への出席日数として認めてもらえる制度・方法があります。本サイト記事〈「不登校でも出席扱い」になる方法〉を参考にしてください。
通信制で自分に適した学び方が見つかるかも
最初に述べたように「全日制と通信制の両方の選択肢を残す」というのが、不登校の生徒・保護者へのアドバイスです。全日制高校を受験できるような条件を整えつつ、通信制高校についても情報集めを進めましょう。学校案内などの資料を請求する。学校説明会や体験授業に参加する。いずれも、すぐに始められます。
最終的に全日制高校へ進学することになりそうだとしても、この機会に通信制を知っておくことは大切です。全日制高校でつまずいた場合に別な道があることを知っていれば、生徒も親もあわてないで済みます。
また、中学生のうちに通信制高校の様々な特徴に触れてみると、そのなかに全日制よりも自分に適した学び方が見つかるかもしれません。
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※この記事は札幌・仙台・大阪にて不登校生等を対象とした合同進学相談会「新しい学校選びフェア」を企画・運営する「特定非営利活動法人高校生進学支援の会」協力のもと作成しております。