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通信制高校-公立と私立の違い

新しい学校選びの基準 ニュースクからのアドバイス

ここでは、公立の通信制高校と私立の通信制高校の違いについて述べます。学費の違いだけで比較しがちですが、私立通信制高校のメリットはどこにあるでしょう。卒業率の高さや大学進学のフォロー体制など、公立にはない大きな魅力があります。

通信制の年齢別生徒数

通信制高校に進むとして、公立と私立、 どちらにするか--。
2つの側面から両者を比較してみます。
第一に生徒の年齢層に大きな違いがあります <図表>。

公立では15歳~17歳の生徒の割合は39%で、18歳を含めても53%。
私立では15歳~17歳が87%を占め、18歳を含めると94%になります。
したがって私立通信制で通学型のスタイルを選択したとしても、 教室に集うのは同世代がほとんどですから、 全日制に近い雰囲気で学ベるわけです。

卒業率が低めな公立通信制

第二に卒業率の違いです。 全日制にくらベて生徒の転編入が多く、3年もしくは4年をかけて卒業する通信制では、 卒業率を正確に算出するのが難しく、 公的な統計もありません。 そこで 「在籍卒業率」 という考え方で公立全体と私立全体を比較してみましよう。

「在籍卒業率」とは、在籍生徒数に対する卒業者数の割合です。大雑把ではありますが、この割合が33%以上、つまり在籍生徒の3分の1以上あれぱその年度の3年生が全員卒業したと見なせます。

令和元年 (2019) 年度間の通信制の生徒の在籍卒業率は公立と私立、それぞれ図表の通りです。私立の在籍卒業率は37%ですから、たいていの生徒が卒業できていると見てよいでしょう。

仮にどの生徒も4年かけて卒業するのであれば、在籍卒業率が25%で全員卒業と見なすことができますが公立の14.2%ではそれにも届いていません。

学校関係者の間では公立通信制を卒業するのは生徒10人のうち4~6人程度と見積もる声が聞かれます。 上記はそれを裏付けるような数字となっています。ここで説明したのは、あくまでも公立と私立、それぞれの通信制高校全体の卒業率の推計です。 当然ながら、卒業率は個々の学校によって異なるはずですから、 学校選びに際して確認する必要があります。

私立通信制が選ばれる理由

公立と私立の違いをさらに挙げると、たいていの私立通信制では、従来からある自宅学習中心の通信型のほかに学校 (学習拠点) へ通う通学型というスタイルを選べます。 これは私立が選ばれる大きな理由のひとつになっています。

あらかじめ 1 週のうちに通う日数を選び、学校では単位修得のうえで必要とされるスクーリング (対面指導) などを受けます。学び方が全日制に近いため 「生活リズムを維持できる」「学習ぺースをつくりやすい」「友だちができる」 といったメリットがあります。 自宅学習中心の従来型よりも、この通学型を選択する生徒が多い通信制高校もあるようです。

芸能・芸術・理美容・調理製菓・ITなどを学ベる特徴あるコ一スを設けているのも長所で、私立を選ぶ理由になっています。
これがあるために卒業まで高校生活を続ける意欲を維持できる生徒もいるでしよう。 好きなことと向き不向きはまた別の話ですから、特徴あるコースで学びながら早めに自己の適性をチェックして将来の進路を見定めることができます。

通信制からの大学進学

大学 ・ 短大への進学率は私立通信制18.5%、公立通信制11.7%、専門学校進率は私立通信制24.9%、公立通信制13.1%で大きく差がついています (図表)。

学業を続けるうえで様々な困難を抱えた生徒も多いことから、進路未決定者の割合は私立で3割、公立で4割を超えています。これをどう減らしていくかが課題です。

日本の大学全般を見ると、AO入試や推薦入試での選考が増え、学力以外の能力や経験、将来の目標なども評価するので、通信制の生徒にとっては、より進学しやすい環境になったといえます。
志望校の入試事情をよく研究し、十分に準備して臨めぱ、 通信制だからといって不利にはならないでしょう。私立通信制の中には難関大学の受験を支援するコースを設ける学校もあり、一般受験で合格できるような学力の養成も図れます。 意欲ある生徒は通信制からの難関大学合格も可能です。

全日制以外の進学先としては、もうひとつ定時制高校がありますが、学習スケジュールの柔軟な設定、同世代の生徒がほとんどという雰囲気の馴染みやすさといった点で、全日制に不適合な生徒は、定時制よりも通信制の方が学びやすいはずです。

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