通信制高校・高等専修学校ニュース
チャレンジスクールと通信制高校の特徴を徹底比較!失敗しない進路選択をしよう
学習習慣への不安や人間関係の悩みを抱えている中学生には、全日制高校以外の選択肢を検討している人もいるでしょう。たとえば、通信制高校・通信制サポート校や定時制高校、チャレンジスクールなどが進学先として候補に挙がります。
しかし、チャレンジスクールは定員や入試倍率が高く、必ずしも希望通りに進学できるとは限りません。
一方、通信制高校やサポート校は学習スタイルの自由度が高く、学び直しや自分のペースでの高校生活を実現しやすい点が魅力です。
この記事では、チャレンジスクールと通信制高校の特徴や違い、メリット・デメリットを比較します。また、チャレンジスクールに不合格だった場合にそなえ、通信制高校について知っておくべき理由と、失敗しない進路選択についても解説します。
チャレンジスクールとは

チャレンジスクールとは、小・中学校での不登校経験や高校での中途退学により、能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒を受け入れる東京都の都立高校です。なお、チャレンジスクールは東京都立高校であるため、東京都にのみ設置されていますが、東京都以外にもチャレンジスクールに近い教育機関があります。
この章では、チャレンジスクールについてメリットやデメリットをふまえて解説します。
- 1.チャレンジスクールの特徴
- 2.チャレンジスクールのカリキュラム
- 3.チャレンジスクールの入試制度
ひとつずつみていきましょう。
チャレンジスクールの特徴
チャレンジスクールは、昼夜間の定時制・総合学科・単位制の高校です。生徒が自身のライフスタイルや学習ペースに合わせて午前・午後・夜間の三部から選んで入学できます。
チャレンジスクールは定時制高校であるため、基本的に入学から4年間での卒業をめざします。高校卒業時に、同級生と同じスタートを切りたい人にとってはデメリットになるかもしれません。ただし、単位修得の仕方によっては、3年間での卒業も可能です。
また、定時制高校は、毎日通学しなければいけません。登校に不安がある人は注意が必要です。
チャレンジスクールは、生徒たちが自分の目標を見つけ、目標の実現に向かってチャレンジできる支援をしています。スクールカウンセラーやソーシャルワーカーによるカウンセリング・教育相談が充実している点は大きなメリットです。
チャレンジスクールのカリキュラム
チャレンジスクールは単位制の高校です。そのため、生徒たちが自身の興味関心や適性、能力を考慮しながら、教員やスクールカウンセラーと相談しながら時間割を組みます。
国語・数学・英語などの必修科目では、理解度や学習レベル別の授業が実施されます。「わかる国語」など、中学校の学習内容や基礎基本の復習も可能です。
また、ボランティアやインターンシップなどの体験を重視した授業のほか、言葉遣いや社会のマナーに関する授業もあります。コミュニケーション能力や社会性を身につけることも可能です。
たとえば、東京都立立川緑高校の場合、高校卒業に必要な74単位のうち、必履修科目や学校必履修科目が40単位を占めます。残りは、生徒自身が自由選択科目や教養科目から選択し、自分なりの時間割を作ります。
チャレンジスクールの入試制度
チャレンジスクールは以下の3点で合否を判定します。
- 小論文(作文)
- 面接
- 志願申告書
学力考査や内申書の提出は不要です。チャレンジスクールでは、生徒の過去よりも未来を評価しています。
また、午前部・午後部・夜間部から第一希望、第二希望を選んで受験をします。合格した場合も試験の結果によっては第一志望に入れない可能性もあるため、注意が必要です。
なお、既卒生の入試も実施しています。以前に1年以上高校に在学し、出願時に高校に在籍しておらず、過去に19単位以上修得している人であれば受験が可能です。
通信制高校とは

通信制高校とは、通信教育を主体とした教育課程です。添削指導や面接指導、試験を受け、必要な単位を修得して高校卒業資格の取得をめざします。
この章では、通信制高校についてメリットやデメリットをふまえて解説します。
- 1.通信制高校の特徴
- 2.通信制高校のカリキュラム
- 3.通信制高校の入試制度
通信制高校の特徴
通信制高校は、自宅学習にスクーリング(通学機会)を組み合わせて単位を取得し、3年以上の在籍を経て卒業資格が得られる高校です。通学型やオンライン型などさまざまな学習スタイルがあり、自身のペースや体調に合わせた学習ができます。
アルバイトや趣味と学習を両立したい人や、自分のペースでじっくり学習したい人には通信制高校がおすすめです。
さらに、通信制高校と提携するサポート校では、進路相談や学習計画などの手厚い支援が受けられます。高校卒業のために継続して学習できる環境が整っています。
通信制高校の学び方
通信制高校では、単位制を採用しています。そのため、自分のペースで学習を進めながら3年での卒業も可能です。
通信制高校の授業は、添削指導(レポート)による自宅学習が中心です。リアルタイムでのオンライン授業や、録画された動画を見て課題を進める自宅学習などの形態があります。自宅など、安心できる環境でストレスに悩まされずに学習が可能です。
ただし、全日制高校やチャレンジスクールと比較して登校日数が少なくなるため、先生や友人などと過ごす時間が減ってしまいます。
通信制高校によっては週3日登校型や週5日登校型といったコースもあり、キャンパスライフを充実させることもできます。
- 通学型通信制高校
週3〜5日登校し、授業や友人との交流も全日制に近いスタイル。
- オンライン型通信制高校
インターネットを利用して授業を受け、全国どこからでも学習可能。
- サポート校を利用
学習管理や精神的サポートを受けられ、継続的に通学できるしくみ。
また、専門学校やその道で活躍するプロと提携して専門分野を学べる通信制高校もあり、幅広い学習が可能です。
通信制高校の入試制度
通信制高校では、書類選考や面接、作文のみの入試が一般的です。学科試験は簡易的に実施するか、学科試験を課さない高校がほとんどです。過去の成績は判断基準ではないため、学習に不安がある人でも基本的に不合格にはなりません。
通信制高校は、中学校からの進学はもちろん、転入学・編入学も随時可能であるため、自身のタイミングでの転校が可能です。また、以前の高校で修得した単位や在籍期間も原則引き継ぐことができます。
チャレンジスクールと通信制高校を比較
自分に合った進路選択をするためには、チャレンジスクールと通信制高校の違いを正しく理解しなければいけません。
この章では、以下の観点から両者の特徴をまとめます。
- 1.通学スタイルの違い
- 2.学費の比較
- 3.サポート体制の違い
- 4.人間関係の築き方
- 5.卒業後の進路
実際に通学しているイメージを持って学校を選びましょう。
通学スタイルの違い
チャレンジスクールは、基本的に毎日通学します。午前・午後・夜間から通学時間を選ぶことができますが、いずれの時間帯でも定期的な登校が求められます。そのため、学校に通う習慣を取り戻したい人や、毎日友人と顔を合わせて生活を送りたい人におすすめです。
一方で通信制高校は、自宅学習を中心に必要に応じてスクーリング(登校日)を組み合わせる学び方で高校卒業をめざします。月数回の登校から週5日の通学型までスタイルは多様で、自分の体調やライフスタイルに合わせて選べる点が大きな魅力です。不登校経験のある人や、通学に不安を感じる人でも続けやすい柔軟なしくみがあります。
通学スタイルでは、通信制高校よりもチャレンジスクールの方が全日制に近くなります。ただし、通信制高校でも、通学日数を増やせば全日制に近い環境での学習が可能です。
また、通信制高校であれば、万が一通学が難しくなった場合でも、単位制を採用しているため、出席日数へのプレッシャーはありません。さらに、週5日コースを週1日コース等へ年度の途中で変更できる柔軟性もあります。
学費の比較
チャレンジスクールと通信制高校では、費用面でも違いがあります。チャレンジスクールは東京都立の定時制高校です。そのため、基本的に授業料は安くおさえられます。経済的な負担を最小限にしながら学び直しをしたい家庭には大きなメリットです。
通信制高校は私立が多く、チャレンジスクールよりも高額です。ただし、授業料の中には豊富なカリキュラムや専門分野の学習、進学支援のためのプログラムなどが含まれており、投資に見合った環境が整っています。
ただし、私立通信制高校でも高等学校等就学支援金制度を利用すれば、公立に近い学費で通えます。
高等学校等就学支援金制度とは、授業料の全額または一部を国が支給する制度です。国公私立を問わず支給され、卒業後の返還は必要はありません。
また、高校生等奨学給付金制度も利用し、学費をおさえることもできます。高校生等奨学給付金制度とは、国からの補助を受けて都道府県が実施する返還不要の給付金制度です。授業料以外の教育費負担を軽減するために、低所得世帯を対象に実施しています。
サポート体制の違い
チャレンジスクールにはスクールカウンセラーやソーシャルワーカーが常駐し、日常的に生徒の悩みや課題をサポートする体制が整っています。学習面や人間関係の不安に対して、専門家が相談にのってくれるのは大きな安心材料です。
通信制高校でもサポートは充実しています。特に、サポート校と連携している学校では、一人ひとりの学習計画や進路相談がていねいに行われます。日々の学習管理や精神的な支えを受けながら高校生活を続けられるため、自主学習が苦手な生徒でも安心です。
人間関係の築き方
チャレンジスクールでは、クラスごとに授業が行われるため、自然に友人関係や仲間づくりの機会が生まれます。部活動や学校行事もあるため、全日制高校に近い生活を送りながら人間関係を築ける点が特徴です。
一方で通信制高校は登校日数が少ないケースが主流なため、日常的に大勢と関わる機会は多くありません。自分のペースを大切にしたい人や、静かな環境で学びたい人には心地よい学習環境です。また、通学型のコースやサポート校を利用すれば、友人との交流も増やせます。
卒業後の進路
チャレンジスクールの卒業生は、専門学校への進学や就職を選ぶケースが比較的多く見られます。高校生活を通して社会性や実践力を身につけられるため、すぐに社会に出たい生徒には適した環境です。
通信制高校は、大学進学や専門学校進学を目指すカリキュラムが整っている学校も多く、幅広い進路選択ができます。
学習スタイルの自由度を活かし、予備校に通いながら勉強を進める生徒や、芸能・スポーツ活動と両立させながら卒業を目指す生徒もいます。通信制高校ならではの柔軟性が、将来の選択肢を広げています。
チャレンジスクールの不合格にそなえて通信制高校の情報を得ておこう

チャレンジスクールは人気が高く、競争率も上昇しています。
実際に、2025年度の東京都立高校入学者選抜における全日制の最終応募倍率は1.29倍と過去最低となりました。一方で、チャレンジスクールの新設校である都立立川緑高校の1年生相当の倍率は2.55倍と、高倍率でした。
なお、都立高校一般入試の合格発表は、例年3月上旬頃です。3月になってからあわててほかの進学先を探しても、募集が終了しているかもしれません。
そのため、チャレンジスクールに出願する前から、通信制高校やサポート校の情報を収集しておきましょう。
ニュースクの資料請求サービスを使えば、エリアや興味ジャンルで学校をしぼり、一括で資料を集められます 。
実際の学校の雰囲気を知りたい場合は、学校説明会やオープンキャンパス、合同相談会へ参加しましょう。ニュースク主催の「新しい学校選びフェア」は、不登校経験者や進学希望者が多数参加し、情報収集と学校との接点づくりに最適です。
通信制高校は、さまざまなスタイルの学びを提供しています。サポート校併設校であれば、自主学習が苦手な生徒も安心して学習できます。事前準備を出願前に進めて、万が一チャレンジスクールが不合格になった際も、通信制高校にスムーズに切り替えましょう。
まとめ
この記事では、チャレンジスクールと通信制高校の特徴や違い、メリット・デメリットを比較しました。通信制高校について早期から調べておくべき理由と、失敗しない進路選択についても解説しました。
チャレンジスクールは、全日制に近い学校生活を重視したい生徒に適しています。毎日の登校を通じて生活リズムを整え、人間関係を築きたい人に最適です。
一方、通信制高校は、柔軟な学習スタイルを重視したい生徒におすすめです。自分のペースで学びながら、大学進学や専門分野の学習にもつなげられるため、将来の可能性も広がります。
ただし、進路準備では、チャレンジスクールと通信制高校のどちらかにしぼるのではなく、複数の選択肢を検討しましょう。チャレンジスクールと通信制高校の情報を事前に収集しておけば、不合格の際にも落ち着いて次のステップへ進めます。
ニュースクを活用して「どの学校に進学するか」だけではなく「自分らしい高校生活を送れるか」を考えて進路選択をしてください。