通信制高校・高等専修学校ニュース

通信制高校を選ぶ理由と入学までの流れ|失敗しない学校選びのポイント

特色ある科目、ユニークな授業 通信制・高等専修学校の強み

通信制高校に通う生徒は、年々増加しています。

ひと昔前までは、通信制高校は、不登校経験がある人や高校を中退した人が通っているというイメージが強くありました。

しかし、近年は高校の多様化が進み、さまざまな生徒が通信制高校を選択するようになりました。

文部科学省の「令和6年度学校基本調査」では、2024年度に通信制高校に通う生徒は、29万87人です。今では高校生の10人に1人が通信制高校の生徒です。

通信制高校を選ぶ生徒には「専門分野を学びたい」「自分のペースで学びたい」という前向きな理由も増えています。

この記事では、通信制高校を選ぶ理由を多角的に解説し、失敗しない学校選びのコツや、入学までの手順を解説します。

進路に迷う中学生や保護者の方にとって、通信制高校という選択肢を前向きに検討してください。  

通信制高校を選ぶ理由

通信制高校を選ぶ主な理由は以下の5点です。

  1.  1.不登校や学力不安だから
  2.  2.人間関係の悩みが少ないから
  3.  3.専門分野を学びたいから
  4.  4.自分のペースで学びたいから
  5.  5.学業以外の活動と両立させたいから


自分らしい学び方を望む生徒にとって、通信制高校は魅力的です。ここでは、代表的な理由について、それぞれの背景と意義を解説します。  

不登校や学力不安だから

学校に通うこと自体がつらかったり授業のペースについていけなかったりする中学生は少なくありません。

特に、不登校を経験している生徒にとって、全日制高校での学校生活は大きなハードルになるでしょう。

通信制高校は、自宅学習とスクーリング(登校日)を組み合わせて高校卒業をめざす高校です。登校日数は、月数回〜週5日まで自分の体調やライフスタイルに合わせて選べます。そのため、不登校経験のある人でも充実した高校生活を送れるでしょう。

また、学習進度が個別に調整できる学校もあり、基礎学力に不安がある人でも無理なく学習が進められます。通信制高校は、学び直しや社会復帰の第一歩として大きな役割を果たしています。  

人間関係での悩みが少ないから

人間関係で悩む機会が少ないのも、通信制高校が選ばれる要因です。

全日制の高校では、すべての生徒に同じ学習を提供しています。人間関係でストレスを抱えやすい人や、集団行動が苦手な人は、全日制高校での学校生活を苦に感じるでしょう。

通信制高校では、毎日登校する必要がありません。「人との関わりを最小限にしたい」「対人関係に不安がある」と思っている人には、通信制高校が最適です。

なお、もう少し人と関わりたいと感じたときには、登校日数を増やしたり、積極的に行事に参加したりと、柔軟に調整できます。

実際に、中学校不登校だった生徒でも通信制高校では気の合う友達ができ、積極的に登校するようになるケースも少なくありません。

専門分野を学びたいから

近年では「自分の興味がある分野を学びたい」「将来の職業につながるスキルを身につけたい」といった前向きな理由で通信制高校を選ぶ生徒も増えています。

たとえば、以下のような専門分野が通信制高校で学べます。

  • おおぞら高校:子ども・福祉コース
    保育や福祉のプロフェッショナルを育成
  • ID学園高等学校:起業・ビジネスコース
    マーケティングや戦略、利益の出し方などのビジネスの基本を学習


高校生でも専門的な知識にふれられるのは、通信制高校ならではの強みです。

早期から専門分野について学んでいれば、大学進学や就職活動の際に明確なアピールポイントとなります。自分の強みを活かした進路選択もしやすいでしょう。

近年の通信制高校は「不登校の生徒の受け皿」ではなく、未来を切り拓くための学び場となっています。  

自分のペースで学びたいから

通信制高校は毎日通学する必要がありません。そのため、自分に合ったペースでカリキュラムを組み立てて学習できます。

高校を卒業するためには、必履修科目を含めて74単位以上の修得が必要です。単位修得のためのレポートの提出やスクーリングへの出席は必須ですが、それ以外の時間は自分のペースや理解度にあわせて学習します。

そのため、周りのペースを気にせずに苦手分野の克服に注力したり、1年生から大学進学を目指したりと、学習の自由度が高いのも特徴です。

実際に、N高等学校第一学院高等学校など、大学進学コースを設置している通信制高校では、大学受験に必要な科目を重点的に学べる環境が整っています。

学業以外の活動と両立させたいから

「学業以外の活動と両立させたい」といった希望は、高校選択の新たな選択肢になりつつあります。

たとえば、フィギュアスケート選手の紀平梨花はN高等学校出身です。

全日制高校では、毎日の授業に出席しながらスポーツ選手を目指さなければいけません。試合が続いて出席日数が足りなくなるケースもあるでしょう。

一方、自分の好きな場所で勉強ができる通信制高校であれば、遠征が続いたり遠方へ練習拠点を移したりしても、勉強が継続できます。

また、高卒資格を取得していれば、大学の受験資格を得られます。通信制高校で高卒資格を取得することは大きな意義があるでしょう。

失敗しない通信制高校の選び方

通信制高校を検討する際、多くの家庭が「選択肢が多すぎてどこを選べばよいのかわからない」と感じるでしょう。

ここでは、失敗しない学校選びのために重要な3つの視点を紹介します。

  1.  1.カリキュラムやサポート体制
  2.  2.学費や通学スタイル
  3.  3.卒業後の進路実績


通信制高校は全国に数多く存在しており、学習内容や通学頻度、サポート体制は学校ごとに大きく異なります。

ご自身の「通信制高校を選ぶ理由」を明確にしたうえで、目的や状況に合った学校を選択しましょう。  

カリキュラムやサポート体制

通信制高校の学習スタイルは、自宅学習が中心であるものの、学校によって学習の特色が大きく異なります。

たとえば、英語の専門コースを設けている学校でも、英会話の実践を重視する学校や、大学進学の勉強をする学校、英検やTOEICなどの資格取得を目指す授業を行う学校もあります。

自分の学びたい専門分野のコースがある場合は、学習内容やカリキュラムを調べて比較しましょう。

また、学習不安がある場合でも、サポート体制が整っていれば安心して卒業を目指せます。通信制サポート校と連携している通信制高校であれば、生徒一人ひとりに合わせた学習管理や精神的なサポートをていねいに行っています。

通信制サポート校とは、通信制高校の卒業のために、学習面や精神面など、多方面で生徒をサポートする教育機関です。

自分の目的に合った学びを提供しているかを見極め、学校を選びましょう。  

学費や通学スタイル

学費は学校によって大きく異なるため、保護者にとってもっとも気になる要素のひとつです。

通信制高校では、授業料以外に教材費や施設費、スクーリングにかかる交通費などが発生します。私立の通信制高校の場合、1年間の学費の目安は20万円〜100万円程度です。

専門分野を学べるコースを選ぶ場合、受講料や実習費用などが追加で必要になるため、学費も高額になるでしょう。

ただし、高等学校等就学支援金制度を活用すれば、学費をおさえて通学できます。高等学校等就学支援金制度とは、授業料の全額または一部を国が支給する制度です。卒業後の返還は必要ありません。

また、通学スタイルも重要です。週に数日の通学が必要な学校もあれば、ほとんど自宅学習で完結する学校もあります。自宅から学校までの距離や交通手段を考慮し、無理なく通える環境であれば、学習を継続しやすくなるでしょう。

単に学費が安い学校を選ぶのではなく、学費と通学スタイルや学ぶ目的を総合的に考え、安心して学びを続けられる環境を整えてください。  

卒業後の進路実績

高校卒業後の進学実績や就職支援体制も重要なポイントです。

たとえば、大学や専門学校への進学実績が豊富な学校は、進学希望者にとって大きな安心材料になります。希望の大学がある場合は、指定校推薦枠があるかどうかも確認しましょう。なお、指定校推薦とは、大学が指定した高校の生徒のみが出願できる選抜方法です。高校で実施される評定平均や書類審査などの選考に通過できれば高い確率で大学に合格できます。

一方で、就職希望者にとっては、企業との連携やキャリア教育が充実している学校を選ぶことが有効です。

進路指導が手厚い学校であれば、履歴書の書き方や面接対策、進学相談まで幅広くサポートしてもらえるため、生徒一人ひとりの将来に寄り添った支援が受けられます。全日制高校よりも自由な時間が作りやすいため、アルバイトやインターンシップにも挑戦できます。

今学びたいことを学べるだけでなく、自分が希望する進路や将来の目標がかなえられる学校を選びましょう。

通信制高校に入学するまでの流れ

新入学の人が、通信制高校に入学するためには以下の手順をふむ必要があります。

  1.  1.資料請求・説明会への参加
  2.  2.出願
  3.  3.入学試験
  4.  4.入学手続き・入学

なお、新入学とは、現在中学3年生の人や中学校卒業後に高校に一度も入学したことがない人を指します。

資料請求・説明会への参加

まずは、インターネットや学校のパンフレットなどで、気になった学校についてしっかりと調べましょう。近年では、XやInstagramなどのSNSで生徒の様子をリアルタイムで発信している学校もあります。

気になる学校がしぼりきれない場合は「ニュースク」を活用しましょう。やりたいことや特色、登校スタイルなどの希望を選択し、あなたの希望に合った学校を探せます。

また、資料を見るだけでは、実際の学校の雰囲気はわかりません。説明会やオープンキャンパス、体験授業などのイベントなどに参加しましょう。説明会は個別で対応してくれる学校も多くあります。

実際に通っている生徒や保護者の声を聞ける機会もあり、リアルな情報を得られる点も大きなメリットです。

説明会などのイベントには「思っていたのと違った」というミスマッチを防ぐために必ず参加しましょう。

出願

通信制高校は、11月~12月頃から出願を開始するケースが多くあります、

ただし、出願時期は学校ごとに異なります。たとえば、N高等学校では、9月19日より2026年度4月入学生の出願がスタートしました。また、飛鳥未来高等学校では、9月1日から出願を開始しています。

そのため、志望校が複数ある場合は各校の募集要項を早めに確認し、スケジュール管理をしなければいけません。  

また、志望校に出願するためには、主に以下のものが必要です。

  • 入学願書:受験生自身で用意
  • 入学検定料の納入
  • 調査書:出身中学校が用意

詳しい出願方法は学校によって異なるため、説明会や募集要項で確認をしておきましょう。

また、第一志望が全日制高校でも、併願として通信制高校の受験もできます。第一志望の全日制高校が不合格だった場合でも、通信制高校を併願していれば、4月からの進学先を確保できます。

ただし、高校によっては併願を認めていない場合があるため、事前に各学校の入試制度を確認しておきましょう。

入学試験

通信制高校の入試は、書類選考や面接、作文のみの実施が一般的です。過去の成績は判断基準ではないため、学習に不安がある人でも不合格にはなることはほとんどありません。

通信制高校では、受験生の人柄を確認するために面接を実施しています。以下のような、よくある質問へは、事前に回答を準備をしておくと安心です。

  • 志望動機
  • 将来の夢・希望進路
  • 中学校生活について
  • 高校生活でがんばりたいこと


志望動機や高校生活でがんばりたいことなどは、作文でも問われる可能性があります。面接と作文で一貫した回答を準備しておきましょう。

なお、ご家庭で入試対策を行う際は、お子さんの体験や気持ちを一緒に整理してあげましょう。保護者が内容を一方的に作成したり、大幅に書き換えたりしてはいけません。

入学手続き・入学

入試日から7日~10日前後で、本人か在籍している中学校へ合否通知が郵送されます。

合格した場合は、入学手続きに関する書類や学費を納入するための振込依頼書などが同封されます。

期日までに手続きをしないと入学の意志がないと判断され、入学取り消しとなる可能性もあるため注意しましょう。

教育ローンの申請などで学費納入が期日に間に合わない場合などは、必ず高校に相談してください。

まとめ|通信制高校を選ぶ理由を明確にして準備を進めよう

この記事では、通信制高校を選ぶ理由を多角的に解説し、失敗しない学校選びのコツや、入学までの手順を解説しました。

通信制高校を選ぶ理由は、不登校や学力不安といった課題を解決するためだけでなく、専門分野を学びたい、自分のペースで学びたいといった前向きな動機も大きな割合を占めています。

それぞれの理由に応じた学校選びができれば、充実した高校生活とその先の未来の選択肢が広がります。

高校選びに失敗しないためには、カリキュラムやサポート体制、学費や通学スタイル、進路実績といった要素をしっかり確認しなければいけません。

多くの通信制高校から自分にあった学校を選ぶのが難しいと感じたら「ニュースク」を活用しましょう。

くわえて、主要な通信制高校やサポート校が一堂に会し、その場で複数校の学校説明を聞くことができる「新しい学校選びフェア」の会場へ足を運べば、志望校の情報がいっきにそろいます。

また、出願が早く始まる学校もあるため、準備はできるだけ早めにはじめると安心です。進路に悩む中学生や保護者の方は、まず、通信制高校を選ぶ理由を明確にしてください。

通信制高校を選ぶ理由が明確になれば、面接や作文に困ることもありません。

多様な進路を見据えられる通信制高校は、現代では「自分らしい学び」を実現する有力な選択肢となっています。

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