通信制高校・高等専修学校ニュース

不登校の生徒の進学 親が率先して情報収集

新しい学校選びの基準 ニュースクからのアドバイス

中学生の娘が不登校になった時、母親がとった行動とは?

以前に取材で聞いた、ある母親の体験報告から始めます。

わが子に合いそうな学校

学生仲間

引きこもりに近い状態のわが子を心配し、自分も不安に押しつぶされそうになりながら、その母親は情報収集を始めました。

何の情報か――通信制高校の情報です。

もう中学校への復帰はあきらめて、その先の進路として高校のことを考えようと決めたのでした。

とはいっても、そう決めたのは母親だけで、子ども本人はほとんど関心を示しませんでした。この時は自分で何かを決める心の状態ではなかったのでしょう。

そこで母親は、わが子に向いていそうな通信制高校、わが子が興味を抱きそうなカリキュラムのある通信制高校など、いくつもの学校から案内資料を取り寄せました。

送られてきた学校案内のパンフレットは「こんなのが届いたよ」といって、子どもに差し出すだけです。押し付けて無理に読ませたりはしませんでした。そうすると逆効果になることは分かっていました。

粘り強く子どもに働きかけ

母親は地元で開催される通信制高校の進学相談会にも足を運ぶようになりました。学校関係者から、じかに話を聞く情報収集です。やはり最初は母親ひとりでの参加でした。その度に子どもを誘ってみるのですが、行きたがりません。

それでも通信制高校の進学相談会で聞いたことを話すうちに、子どもも少しずつ関心を示すようになりました。母親と一緒に進学相談会へ行くこともできるようになりました。

一緒に参加したものの、子どもは進学相談会で十分に話を聞かないまま途中で帰りたがることもありました。そのために親子が口論になったことも何度かあったそうです。

しかし、こうした取り組みを粘り強く続けるうちに、不登校の娘も高校進学を自分のこととして考えはじめ、ついには通信制高校への進学を心に決めるようになりました。

通信制高校へ入学して数か月は学校生活への適応がギクシャクしましたが、子どもが自分に合った学び方と場所を見つけられて、よい選択だったと母親は話しました。

この母親は不登校の子を持つ他の母親たちと知り合い、定期的に集まったそうです。不登校の子を持つ親は心理的に孤立しがちですが、そんな気持ちを分かり合える仲間がいたことが、不登校の子どもの進路選択という長丁場を乗り切る活力のひとつになったはずです。

学校をあてにできない

親と子

別の記事「不登校の子の親は、こう感じている」でも触れたように、ある調査によると、不登校の子を持つ親にとって学校が助けになったのは約4割。残念ながら、学校が不登校の問題解決や現状打開の助けにならない場合が多いようです。

これは不登校の生徒の進学指導についても言えることではないでしょうか。

中学校が地域の公立・私立の全日制高校に関して持っている進学情報にくらべたら、通信制高校についての情報は質・量ともにずっと少ないと考えてよいでしょう。全日制へ進む生徒を進学指導するのと同じくらいの自信を持って、通信制を選ぶ生徒を指導できないのではないでしょうか。

なかにはよく調べていて通信制高校について詳しい中学校の先生もいますが、そんな先生がどの学校にもいるわけではありません。きわめて少数といってもよいでしょう。

不登校の生徒の存在はどの中学校でも珍しくなくなっています。文部科学省による調査の結果を見ると、クラスに1~2人は不登校の生徒がいる計算になります。

にもかかわらず、進路指導のうえではまだ「例外」扱いになっているのが、通信制高校へ進もうとする生徒かもしれません。

したがって、通信制高校に関する情報や判断を中学校に預けていては、満足のいく進路選択にならない心配があります。

思い立ったらすぐにでも

先生の話を聞く親子

ですから、学校(担任の先生)を待たずに自分から動き出すことが大切です。

このサイトの記事で再三、伝えているように、全日制高校→通信制高校への転入はしやすいのですが、その逆に通信制→全日制は、ほぼ無理です。

あとで悔いが残らないよう全日制高校を受験する選択肢をできる限り残しておくよう勧めるのが私どもの標準的なアドバイスです。

しかし、内申点や学力が足りず全日制高校の合格が難しいと考えられる場合や、すでに通信制高校に進路を絞った場合は、すぐにでも通信制高校について情報収集を始めるべきでしょう。

中学卒業が近づいてから焦って始めるより、時間に余裕のあるうちに情報収集する方が必要な情報をとりこぼしなく集められます。そのうえで、どの学校を選んだらよいかじっくりと検討できます。

まずは親が率先して

最初に話題にした母親の例のように、不登校で元気をなくしている子どもは、自分から学校選びに動くことがなかなかできません。親にしてみればじれったいでしょうが、無理に働きかけると、子どもはかえって反発するものです。

それでいて子どもは、内心では学校のこと、進路のことを気にしていないわけではないのです。大いに気にしているのです。ただ潮が満ちるのを待つように、自分の中に気力が戻り、動き出す決心がつくのを待っているのかもしれません。 子どもが自分で進路選択へ動き出す時に、いろいろな選択肢を示しながら考える材料を与えるのが親の大切な役目です。そのひとつ、それも大切なひとつとして通信制高校の情報があります。