不登校経験者の進学率
◆不登校でも進学に希望
中学生約12万人、高校生約5万人――不登校の生徒数は減少の様子を見せません。しかし、そう悲観しなくてもよいと思える材料があります。それは不登校経験者の進学率です。
前に触れた文科省による不登校の中3生の追跡調査(2014年発表)では、不登校経験者の高校進学率が85.1%(前回調査65.3%)と大幅に増加しています。また高校中退率は14.0%(同37.9%)と大幅に下がっています。つまり、中学で不登校になっても、多くの生徒が高校進学をかなえているということです。さらに大学・短大・高専への進学率は合わせて22.8%(同8.5%)と向上していますし、就学も就業もしていない割合は22.8%(同18.1%)と減少しています。どちらも望ましい傾向です。
不登校に対応する国の施策(いじめ防止、中1ギャップ対策、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用事業など)は一定の効果を上げているようですが、問題の根本的な解消には結びついていません。
むしろフリースクールや通信制高校のように不登校生徒に心機一転のチャンスを提供する場が存在感を増しています。とくに通信制高校は、中学校でつまずいた生徒にはハードルが高くなってしまった全日制高校(入試に合格し、そこで勉強を続けること)に代わる大切な進路の選択肢になっています。近年の学校数・在籍生徒数の伸びからも、そのことが分かります。
目次(以下見出しから各ページにリンクしています)
不登校とは何か
◆不登校の前史
◆「年30日以上欠席」が定義
◆「どの児童生徒にも起こりうる」
◆いじめ自殺で意識変化
◆さまざまな原因
◆不登校への対応方針
不登校のタイプ
◆不登校 6つのタイプ
◆「不安など情緒的混乱」型
◆「無気力」型
◆「学校生活上の影響」型
◆「あそび・非行」型
◆「意図的な拒否」型
◆「複合」型
◆不登校は「病気」なのか?
◆不登校の経験で「人に優しくなった」
データで見る不登校
◆不登校の現状
◆将来の見通し
◆不登校でも進学に希望
中学生の不登校
◆不登校でも中学は卒業できる?
◆出席日数・調査書・高校受
◆不登校でも高校受験はできる?
◆「不登校でも出席扱い」になる方法
◆できるだけ学校との関わりを保つ
不登校 早期発見のために
◆前兆を見逃さない
◆子どもが家庭で見せる兆候
◆子どもが学校で見せる兆候
親自身のメンタルケア
◆不登校が長びく覚悟も
◆ストレスをため込まない
◆気持ちをコントロールする
◆段階(1)強い不安
◆段階(2)他者批判
◆段階(3)自責の念
◆段階(4)前向きな姿勢
◆粘り強く対処し続けるために
◆専門家の助けを借りつつ
ストレス・不安を軽くする
◆専門家・経験者の話に学ぶ
◆「うちの子だけ」ではない
◆親だけで頑張らない
◆学校復帰にこだわらない
◆先行きを悲観しない
◆あせらずに待ってみる
◆「親の会」など、話せる場を持つ