通信制高校・高等専修学校ニュース

小中高生の自殺者数から考える
~ピンチの時の学び~

専門家に聞く!統計データから見る!不登校脱却のヒント

最初に深刻な数字を示さなくてはなりません。2022年、小中高生の自殺が過去最多の514人を数えました。厚生労働省などの統計からの集計です。

児童生徒の自殺者は2000年以降、200~300人台で推移してきました。ところがコロナ禍が始まった20年に499人と急増し、翌21年は473人と高止まり。そして22年は初めて500人を超え、統計開始以降最多となりました。

内訳は小学生17人、中学生143人、高校生は前年より38人増えて352人です。

厚労省によると19歳以下の自殺の理由で多いのは順に「学業不振」「進路に関する悩み(入試以外)」「入試に関する悩み」です。

もしあなたが現在の学校生活や将来について死にたくなるような深い悩みや大きな不安を抱いているのなら、通信制高校の存在がなんらかの助けになるかもしれません。

ピンチの時は、ゆったりと

親子

身体や心がピンチの時には「タイム」をとって、いったん休むことが大切です。ひとまず、その場を離れることです。

けれども全日制高校では、それが難しいのではないでしょうか。

休むことが必要とは分かっていても、欠席が出席日数や成績に関わって進級に響くのではないかと心配ですし、かといって休学すると同学年のみんなに遅れてしまう……。どうしたらよいでしょう。

ひとつの解決方法が通信制高校への転入です。

自宅で自分のペースで学習できるのが通信制ですから、まずはゆっくりして身体や心を十分に休め、体力や気力の回復をまって勉強に戻ることができます。全日制のように留年がないので、学習が遅れても挽回を図って3年での卒業も可能です。

もし親を失くしたら…

2022年の全国の自殺者は2万1881人。前年比4.2%増です。女性は7135人で3年連続の増加、男性は1万4746人で13年ぶりの増加となりました。

有職者が前年並みだったのに対し、失業者では約1.8倍に上りました。コロナ禍での経済的困窮が大いに影響したと見てよいでしょう。

もし一家の支え手である親を失ったとしたら、学校どころではなくなる――そう思うかもしれませんが、学業をあきらめなくても済む道があります。

学費減免などの支援制度

もし親を失うようなことになったら、学業の継続については学校に、生活に関しては自治体の福祉関連の窓口に相談してください。適用される支援制度を紹介してもらえるはずです。親が大きなケガや病気で働けなくなった時も同様です。

世帯年収の減少に伴って入学金や授業料などの学費減免が受けられる高校・大学・専門学校がありますから、案内資料などを取り寄せて調べてみましょう。学資については、たとえば「あしなが育英会」の奨学金が利用できます。

親を失くしたり、親がケガや病気で働けなくなったりしたら、家族の生活が大きく変わることは避けられません。

家計を助けるために、アルバイトなどで自分も稼ぎ手になる必要が生じたり、親に代わって小さなきょうだいや祖父母の世話を受け持ったりすることも求められるでしょう。

そうなった場合、朝から夕方まで学校という場に拘束される全日制高校で学び続けるのは、相当に厳しいことになります。

通信制は「持続可能」な学び方

学習

一方、通信制高校なら、あまり無理をせずに学業を継続することができるのではないでしょうか。

通信制の学び方は、従来型なら自宅学習が中心ですから、家に居ながら自分の勉強時間を設定できます。通学型でもスケジュールに合わせて通学日数を選べます。いずれにしても、家事やアルバイトがしやすいのが利点です。

親のケガ・病気・死亡は考えたくない可能性ですが、中学生・高校生にもなれば、万が一の場合に備えて、学業をどうするかシミュレーションしてみるのは、けっして無駄なことではありません。