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通信制高校の「中等部」とは?仕組みや学び方・費用を解説

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通信制高校の「中等部」という言葉を聞いたことはありますか?お子さんが不登校や学校生活での悩みを抱えている場合などに、新たな選択肢として注目されているのが通信制の中等部です。

この記事では、通信制高校が運営する中等部の基本的な仕組みや費用などを解説します。お子さんの進路選択の参考にしてください。

中等部の定義と位置づけ

この章では、通信制高校が併設している「中等部」が、学校教育法上どのような位置づけにあるのか、中学校と異なる点を明確に解説します。

特に、義務教育との関係や学籍の扱いといった、保護者が最も気になる法的な側面について詳しく見ていきましょう。

通信制「中等部」の概要

通信制の中等部とは、主に私立の通信制高校が併設する、中学生の子どもたちを対象とした教育プログラムです。全日制中学校のように毎日登校する必要がなく、自宅での学習を進めながら、定期的なスクーリング(登校日)で対面指導を受けるスタイルが一般的です。

通信制高校と同様に、場所や時間にとらわれない柔軟な学び方が特徴で、不登校の生徒や特別なニーズを持つ生徒に対応した教育環境を提供しています。また、学習サポートはもちろん、社会性や自立心を育むための体験学習ができます。

さらに、同じ法人が運営する通信制高校への進学がスムーズにできる点もメリットです。実際に、第一学院高等学校やN高等学校など多くの通信制高校で、中等部を設置しています。

義務教育との関係や法的扱い

通信制の中等部は法的には「フリースクール」や「教育支援施設」に分類される場合が多く、学校教育法上の正式な「中学校」ではありません。

したがって、中等部に在籍する生徒は、中学校に在籍したまま中等部で学ぶことになります。

また、文部科学省では、学校外の施設での学習を一定の条件のもとで出席扱いにすることを認めているものの、在籍中学校の校長の判断に委ねられます。

出席扱いとなるための主な条件は、以下の通りです。(文部科学省「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」より)

  1.  1.保護者と学校の間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
  2.  2.当該施設は教育委員会等が設置する公的機関であること。ただし、公的機関の通学が困難で保護者と本人の希望がある場合、校長に適切と判断されれば民間の相談・指導施設も考慮される。
  3.  3.当該施設に通所または入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること。
  4.  4.学校外の施設で行われた学習内容が、在籍校の教育課程に適切と判断された場合。


中等部への入学を検討する際は、在籍中学校との連携体制について確認しましょう。

中等部の学びの仕組み

通信制高校の中等部では、生徒一人ひとりの状況に合わせた柔軟な学びを提供しています。この章では、中等部での学習の進め方やカリキュラムの柔軟性、生徒の心身を支えるための手厚いサポート体制について解説します。

「学び直し」を重視した学習スタイル

中等部の学習スタイルは、通信制高校と同様の仕組みです。自宅での学習が基本で、レポート学習といわれる教材やワークシートを使った課題学習が中心です。レポート学習では、提出された課題に対して先生からの添削指導があり、理解を深めます。

定期的なスクーリング(登校日)では、対面での授業や面接指導が行われます。スクーリングの頻度は学校によって大きく異なり、週に1回から月に1〜2回程度まで幅があります。

また、中等部では、現在の学年にとらわれず、小学校の内容や中学校の基礎的な内容から復習する「学び直し」が可能です。不登校のお子さんでも、基礎学力の定着と自信の回復を目指せます。一方で、学習意欲が高い生徒に対しては、高校の学習内容の一部を先取りして学ぶ機会を提供している学校もあります。

学習支援・カウンセリング体制

多くの中等部では、担任教員だけでなく、スクールカウンセラーが人間関係の課題や進路への不安など、専門的な観点で支援をしています。また、定期的な保護者面談や、メール・チャットツールを使い、家庭と学校が協力して生徒を支える体制も必要不可欠です。

発達特性を持つ生徒に対しては、個別の支援計画を作成し、必要に応じて医療機関や専門機関と連携するケースもあります。この手厚いサポートこそが、中等部が不登校の生徒にとって大きな居場所となる理由です。

入学方法・入学時のチェックポイント

中等部への入学は、一般的な中学校の受験とは異なります。ここでは、中等部への入学方法やお子さんに最適な学校を選ぶために保護者が確認すべきチェックポイントについて解説します。

入学ルートと出願・選考

中等部へは、在籍中学校に籍を置きながら、並行して中等部に通う形が一般的です。

入学にあたっては、お子さんの学力よりも、学習意欲や中等部の環境への適応性を重視します。そのため、入学前には、お子さんと保護者の面談が実施され、以下を確認されます。

  • 入学を希望する理由
  • 現在の学習状況
  • 家庭での学習環境
  • 将来の進路希望

面談では、お子さんの現状を正直に伝えてください。

学校選びで見るべきポイント

中等部を選ぶ際には、スクーリングの頻度と場所を必ずチェックしてください。

  • 週何回登校するのか
  • 登校日は固定されているのか、選択できるのか
  • 通学にかかる時間や交通手段

また、教員やカウンセラーによるサポート体制も重要な判断材料です。個別指導やカウンセラーの有無、保護者との連携方法などを確認しましょう。

さらに、進学実績も重要なポイントです。中等部修了後には、同じ法人の通信制高校や他の高校への進学を検討する生徒が多くいます。お子さんの希望に合った進路指導の体制の有無を把握しておきましょう。

なお、近年ではICTを活用した学習を提供している中等部も増えてきています。オンライン授業の実施状況や使用する学習システム、タブレットやパソコンの貸与・購入なども確認が必要です。

中等部の費用

通信制高校の中等部は、在籍中学校に籍を置きながら通学するため、別途授業料が発生します。

費用の具体的な内訳と、経済的な負担を軽減するための補助・助成制度について解説します。

費用の内訳と総額の目安

中等部の費用は、公立中学校とは異なり、授業料が発生します。費用の主な内訳と目安は以下の通りです。

  • 授業料:年間20万円〜60万円程度
  • 入学金(初年度のみ):5万円〜15万円程度
  • 教材費:年間2万円〜5万円程度
  • 施設利用料や維持費:年間1万円〜3万円程度

その他、オプション講座や専門コースを選択する場合は、追加費用が発生します。また、個別指導や補習授業、資格取得講座などを受講する場合も別途料金がかかるケースがあります。

なお、2015年に文部科学省が実施した「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」では、フリースクールの入会金は5万3,000円ほど、月額の授業料は3万3,000円ほどと報告されました。

ただし、中等部や登校頻度によって費用は大きく異なるため、事前に確認しておきましょう。

補助・助成制度

中等部のほとんどは私立として運営しています。そのため、公立中学校のように授業料無償化の対象にはなりません。ただし、近年では、不登校支援の重要性が高まっており、経済的負担を軽減しようとする自治体の動きがみられます。

東京都では、2024年度から「フリースクール等利用者支援事業(助成金)」を開始しました。フリースクールなどに通う不登校の義務教育段階の児童生徒の保護者を対象に、利用料に対して、月額最大20,000円の助成金を支給しています。

なお、助成金の支給を受けるためには、申請書類の審査を通過しなければいけません。また、助成の対象は中等部等の利用料であり、入会金や施設維持費・教材費などの経費は対象外です。

中等部に通うメリットとデメリット

通信制高校の中等部を選択することは、お子さんにとって大きなメリットをもたらす一方で、保護者として認識しておくべきデメリットや注意点も存在します。

ここでは、中等部の利点と課題の両方を客観的に整理し、リスクを軽減するための具体的な対策について解説します。

中等部に通うメリット

中等部の最大のメリットは、一人ひとりに合わせた柔軟な学びができる点です。

中等部には、不登校で学校に行けなかった生徒が、自分のペースで学習を再開できる環境が整っています。毎日の登校によるプレッシャーがないため、心理的な負担が軽減され、学習意欲を取り戻しやすくなります。

学び直しや先取り学習ができる点も大きな利点です。小学校の内容からの復習や、中学校の範囲の先取りも可能なため、基礎学力に不安がある生徒も学習意欲が高い生徒も、それぞれに適した学習ができます。

また、芸能活動やスポーツ、芸術分野で活躍している生徒も、練習や仕事のスケジュールに合わせて学習計画を調整できるため、どちらも諦めずに続けられます。

中等部に通うデメリット

中等部は、自宅学習が中心になります。そのため、スムーズな学習を行うには自己管理能力が重要です。

また、登校頻度が減るため、友人関係を築きにくくなります。特に、スクーリングが少ない場合、同世代との交流機会が限られ、社会性やコミュニケーション能力を育む機会が少なくなります。

さらに、経済的な負担も考慮しなければいけません。公立中学校なら義務教育で授業料は無料ですが、中等部は私立のため費用が発生します。家庭の経済状況によっては継続が難しくなるリスクがあります。

ただし、中等部の授業料を塾代としてとらえれば、実はそれほど大きなデメリットにはなりません。

全日制中学校への生徒の大多数は中学校3年生までに高校受験や学校の授業の補習のために塾へ通います。毎月の塾代は、数万円もの出費となるでしょう。

中等部であれば、授業料に塾代が含まれており、以下のような工夫ができれば、必ずしも高額な出費ではありません。

  • 毎日決まった時間に学習する「学習ルーティン」を設定し、生活リズムを整える
  • スクーリングには積極的に参加する
  • 地域の習い事やスポーツクラブなどで学校以外での居場所を作る

お子さんの学習をサポートしつつも、過度に依存させず、自立心を育むバランスを意識してください。

お子さんに合った中等部の選び方

お子さんに合った中等部を選ぶためには、親子で見学や体験入学会、オープンキャンパスなどに参加しましょう。

その際、以下の点を確認してください。

  • スタッフに子どもを尊重する姿勢があるか。
  • 通っている生徒たちがリラックスして過ごしているか。
  • 休息できるスペースはあるか、通学経路に無理はないか。

また、お子さんが希望する進路に合ったサポートが整っているかも重要です。中学校を卒業した後のステップとしては、通信制高校や単位制高校や全日制高校への進学が考えられます。

中学校卒業後の進学を考えている場合は、在籍校の「出席扱い」になる中等部を選びましょう。そのため、フリースクールへの通学を決める際には、在籍中学校への報告が必須です。

ただし、何よりも大切なのはお子さんの感覚です。特に、不登校を経験したお子さんにとって、中等部は落ち着いて過ごせる居場所でなければいけません。

学習面のサポートやカリキュラムの充実度だけでなく、興味や適性に合った学習ができ、将来の目標が叶えられる中等部を選びましょう。

まとめ

この記事では、通信制高校が運営する中等部の基本的な仕組みや費用などを解説しました。

通信制の中等部は、不登校や芸能活動、スポーツ活動との両立などの理由で全日制中学校に通うことが難しい生徒にとって、有効な選択肢です。柔軟な学習スタイルと手厚いサポート体制により、一人ひとりのペースで学びを継続できます。

「出席扱い制度」の対象となれば、在籍中学校の出席日数として認められる場合もあります。

中等部を選ぶ際は、スクーリングの頻度やサポート体制、費用、進路実績などを総合的に判断しましょう。

中等部は民間施設であるため、一定の費用負担が必要です。ただし、自治体による補助も広がりつつあります。

まずは、気になる学校の説明会、オープンキャンパスなどに参加し、実際に施設を見学してみてください。体験入学があれば参加し、お子さん本人がその環境になじめるかを確認しましょう。

お子さんが生活習慣や学習習慣を身につけ、他者とのコミュニケーションや社会性を学べる第三の居場所を探しましょう。

中等部は、お子さんの可能性を広げる新しい学びの形です。慎重に検討し、お子さんと家族にとって最適な選択をしてください。

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