通信制高校・高等専修学校ニュース
高校生の10人に1人が通信制高校を選択!注目される理由とメリットを解説!
近年、通信制高校を選ぶ高校生が増えています。
文部科学省の調査によると、高校生の約10人に1人が通信制高校に通っています。今後も通信制高校の人気はますます高まるでしょう。
この記事では、通信制高校が選ばれる理由や全日制高校や定時制高校との違いをお伝えするとともに、学校選びのポイントを解説します。
自分らしい学び方を見つけたい人や、お子さんの進路で迷っている保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
通信制高校とは?全日制高校や定時制高校との違い

通信制高校とは、生徒が自宅学習を中心にレポート提出やスクーリング(登校日)を通じて学ぶ高校教育のしくみです。
文部科学省の「高等学校通信教育の現状について」では、通信制高校は「自学自習を基本とし、必要に応じて面接指導や通信指導を行う高校」とされています。
全日制高校と定時制高校では、毎日の登校が基本です。一方で、通信制高校では自分で登校回数を決められるため、無理のないペースで勉強ができます。
また、通信制高校の授業はレポート提出や授業、スクーリングを組み合わせて行われるため、自身の体調や生活スタイルに合わせて学習を調整できるのが特徴です。
さらに、定時制高校と異なり、多くの通信制高校では時間割が固定されていません。そのため、アルバイトやスポーツ、芸能活動との両立もできます。
なぜ高校生の10人に1人が通信制を選ぶのか
通信制高校の在籍者数の現状と推移
文部科学省の「2025年度学校基本調査(速報値)」によると、通信制高校の在籍者数は10年連続で増加しています。その結果、今年は、過去最多の30万5221人を記録しました。なお、高校生全体に占める割合は9.6%で、約10人に1人が通信制高校の生徒です。
一方で、高校生全体の人数はこの10年で約32万人減っています。全日制は約43万人減、定時制は約2万人減と、通信制以外は減少傾向です。
また、通信制高校の学校数も増えており、25年4月には公立4校、私立26校が新設されました。これまで認可校のなかった群馬県や富山県、徳島県にも認可校が新設されたため、全エリアに通信制高校が設置されています。
なお、認可校とは、学校教育法に基づいて国や都道府県などの公的機関から正式に認可を受けた高校です。
通信制高校が選ばれる背景
通信制高校は、不登校や高校中退などの問題を抱える子どもたちを受け入れる場所にもなっています。
文部科学省が令和6年10月に公表した「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、令和5年度の小・中学校における不登校児童生徒は、34万6,482人です。
通信制高校では、子どもの状況や希望にあわせて、学習管理や心理面でのサポートを実施しています。そのため、不登校経験のある子どもでも安心して高校生活を送れるでしょう。
また、コロナ禍では、感染リスクを下げるための手段として通信制高校への入学を希望する人も増えました。通学が不要なコースを選択すれば、多数の生徒が集まる全日制高校よりも感染リスクを抑えられます。通信制高校では、授業のオンライン化も進んでいたため、緊急事態宣言にも柔軟に対応できました。
さらに、通信制高校の柔軟な時間割は、芸能活動やスポーツでプロを目指したい子どもにとって大きな魅力です。
実際に、フィギュアスケートの紀平梨花選手はN高等学校を、サッカー日本代表選抜経験のある香川真司選手は第一学院高等学校を卒業しています。
通信制高校のメリット
通信制高校には、全日制高校や定時制高校にはないメリットが多くあります。
- 1.自分のペースで学習できる
- 2.手厚いサポートが受けられる
- 3.専門分野が学習できる
実際の事例も含めて詳しく解説します。
自分のペースで学習できる
通信制高校の最大のメリットは自分のペースで学習できる点です。
通信制高校では、単位修得のためのレポート提出やスクーリング以外の時間は自分のペースや理解度にあわせて学習します。
中学校内容の学び直しに注力したり、1年生から大学進学を目指したりと、全日制高校よりも自由なカリキュラムでの学習が可能です。
また、登校頻度を途中で変更できる学校もあります。体調面や精神面の状況変化にあわせ、年度替わりや年度の途中であっても登校日数を変更できます。
さらに、通信制高校は全日制高校と比較して、自由な時間がたくさんあります。アルバイトや留学など、さまざまなチャレンジができるのも大きな魅力です。
手厚いサポートが受けられる
通信制高校では、学習面だけでなく、メンタル面でも充実したサポートが提供されています。
例えば、松陰高等学校では、入学希望時に知能検査(WISC)が受けられます。自分の苦手や得意を知り、学校生活や勉強法についてアドバイスを受けられるのは大きな魅力です。入学後も、在籍している看護師や作業療法士が、学校と連携して家庭での学習習慣や生活習慣の改善を行っています。
通信制高校では、さまざまな事情を抱える生徒たちが安心して高校生活を送れる環境が整っています。
専門分野が学習できる
近年では、専門分野が学べる通信制高校が増えています。
例えば、鹿島山北高等学校では、音楽コースやファッション・デザインコース、海外留学コースなど、さまざまなオプションコースを設置し、生徒の学びをサポートしています。
高校に通いながら、プロの講師から本格的な指導を受ける中で自分のやりたいことや目標を見つけるきっかけにもなるでしょう。
また、専門分野の知識を身につけることで、大学進学や就職活動でも自分の強みを伝えやすくなります。
通信制高校を選ぶ際のポイント

進学先に通信制高校を選ぶ際は、以下の3点を意識して学校探しをしましょう。
- 1.無理なく通学できるか
- 2.充実したサポート体制があるか
- 3.希望する分野の学習ができるか
通信制高校は全国に数多く存在しているため「どこが自分に合う学校か判断できない」と感じる方も多いでしょう。
保護者の方は、お子さんの目的や状況に合った学校を選択するための参考にしてください。
無理なく通学できるか
通信制高校では、単位取得のためにスクーリングを受ける必要があります。
スクーリングとは、学校に登校して先生から直接指導を受けることをいいます。スクーリングの時間数は単位ごとに決まっており、その時間数の授業を受けなければいけません。
そのため、スクーリングの際に無理なく通学できる範囲であるかは、通信制高校を選ぶ際の重要なポイントです。自宅から学校までの通学方法や通いやすさなどは事前に確認しましょう。
なお、スクーリングは主に以下の形式で実施します。
- 通学型:定期的に登校して授業を受ける
- 集中型・合宿型:夏休みなどの長期休暇を利用して、数日間連続で集中的に授業を受ける
また、ふだんの登校頻度も学校によってさまざまです。
- 年に数回で自宅学習がメイン
- 全日制高校と同じように週5日登校可能
計画的に勉強を進めるのが苦手な場合は、登校して学習習慣を作れる通学型の学校がおすすめです。
充実したサポート体制があるか
学習面での不安がある人でも、サポート体制が整っている通信制高校であれば安心して卒業を目指せます。
通信制高校のレポートは、単位取得のためには不可欠です。しかし、自力で取り組むのが難しい生徒も少なくありません。
例えば、トライ式高等学院であれば、専任の講師がマンツーマンで授業をし、レポート作成をサポートしています。
また、中央高等学院では、複数の先生がチームで担任する「チーム担任制」を採用しています。複数の職員で生徒の日頃の悩みや不安にきめ細かく対応しています。
上記のような手厚いサポート体制を希望する場合は、通信制サポート校の利用がおすすめです。通信制サポート校とは、通信制高校の卒業のために、学習面や精神面などにおいて生徒をサポートしている教育機関です。
希望する分野の学習ができるか
通信制高校には、大学進学を目指すコースや資格取得をサポートするコース、専門分野を学べるコースなど、学校ごとにさまざまな学び方があります。
しかし、同じコースでも学校によって学べる内容は少しずつ違います。
例えば、同じイラストのコースでも、デッサンを中心に基礎から学ぶ学校もあれば、iPadなどを使ってデジタルイラストを学ぶ学校など、さまざまです。
そのため、ホームページの情報を見るだけでなく、実際に学校を訪れて授業の雰囲気を体験し、自分の学びたい内容に合っているか確認してみましょう。
まだ興味のある分野がはっきりしていない場合でも、いくつかの学校を比較したり体験授業に参加したりすることで、新しい興味を見つけられるかもしれません。
なお、全国で開催中の「新しい学校選びフェア」では、複数校の模擬授業を無料で体験できます。各学校に出向かなくても、会場で学校の雰囲気が体験できる、魅力的なイベントです。
まとめ|通信制高校で自分に合った学びを!
通信制高校は、自分のペースで学び、夢や目標に向かって成長できる新しいスタイルの学校です。
全日制高校や定時制高校にはない柔軟な仕組みや手厚いサポートにより、不登校経験のある生徒や、スポーツ・芸能などに打ち込みたい生徒にも門戸が開かれています。
また、専門コースやオンライン学習の拡充など、通信制高校の選択肢はますます広がっています。
進学や就職に向けて自分らしい学びを実現するためにも、学校ごとの特色をしっかり比較し、自分に合った通信制高校を見つけてください。
多くの通信制高校から効率よく自分に合った学校を探すには「ニュースク」の活用がおすすめです。
通信制高校での学びは、あなたの可能性を大きく広げるきっかけになるでしょう。