通信制高校・高等専修学校ニュース
発達障害・グレーゾーンの生徒の高校選択
公立高校 通級指導に立ち遅れ
公立高校に通う生徒の2.2%に発達障害の可能性――2022年12月公表の文部科学省の調査報告で、そんな推計が発表されました。
発達障害には主に次のようなものがあります。
・こだわりが強かったり、対人関係を築くのが苦手だったりする「自閉スペクトラム症(ASD)」
・落ち着きがなく、注意が持続しにくい「注意欠如・多動性障害(ADHD)」
・知的発達に問題はないものの、読み書きや計算が困難な「学習障害(LD)」
とくにASDとADHDの人は、自分の感情を抑制したり、他人とコミュニケーションをとったりするのが困難になりやすく、そのために同級生との対人関係がうまくいかずに教室で孤立し、やがて不登校や中退に至るケースがあります。
発達障害は、精神科や心療内科で専門医による診察や検査のうえで診断されます。発達障害と同様の症状があっても診断基準を満たさない状態なのが、いわゆる「グレーゾーン」です。
通級指導は教員不足
同じ文科省の調査では発達障害の可能性がある小中学生は8.8%と推計されています。小中学校では通常学級に在籍する発達障害の児童や生徒が週に1~2時間、別室で特別な指導を受ける「通級指導」が2006年度から続いています(通級指導の制度は1993年度スタートで当初の主な対象は言語障害の児童生徒)。
一方、高校で発達障害の生徒を支援する通級指導が始まったのは2018年度。まだまだ十分な支援にはなっていないようです。
対応できる教員が足りていないため、通級指導が受けられない高校生が多くいます。2020年度の文科省集計によると、通級指導が必要と判断された生徒は全国で2400人ですが、指導を受けられたのは、うち1300人でした。
地域差はあるでしょうが、高校で通級指導の環境が十分に整うのは、まだ先のことになりそうです。
通信制高校という選択肢も
発達障害やグレーゾーンが理由で全日制高校への進学に不安を抱いている人、あるいは全日制高校に進んだけれども発達障害やグレーゾーンのために今の学校生活を続けるのが困難になっている人――通信制高校という道を検討してみてください。
通信制高校のなかには、発達障害やグレーゾーンの生徒の指導に実績のある学校もあります。ぜひ調べてみてください。
私立の通信制高校は不登校経験者を多く受け入れていますが、不登校の背景に発達障害やグレーゾーンが潜んでいることがよくありますから、当然、そうした生徒の支援の仕方についてノウハウも蓄積されてくるわけです。
将来への備えを通信制で
教員不足のために通級指導を受けなかった高校生が多いと上に述べましたが、他の理由として「本人や保護者が希望しなかった」例もあります。
「発達障害やグレーゾーンであることを他人に知られたくない」「発達障害やグレーゾーンも個性のひとつだから、特別な指導は要らない」といった気持ちが、生徒か保護者、または双方にあるのかもしれません。
実際、生徒自身が高校生活でなにも困難を感じていないのであれば、それでもいいでしょう。
しかし、専門学校や大学への進学、あるいは就職を機に環境が大きく変化すると、これまでは問題とも思わなかったことや困難といっても軽微だったものが、大きな支障となって問題化することがあります。
通級指導やそれに準ずるような学習支援を受けてこなかった生徒は、対処の仕方が分からなかったり、試行錯誤があまりに多すぎたりして学校や職場になかなか順応できず、早期に退学・退職する心配があります。
発達障害やグレーゾーンといった自分の特性を理解し、どんなかたちで周囲と関わればよいか、どんなふうに自分の能力を発揮すればよいかを学ぶ――そんな指導を、できれば高校のうちから受けておくと将来の心配や不安を軽くすることができそうです。