通信制高校への転編入 ~転入学(転校)と編入学について~
新入学、編入学、転入学の違い
さまざまな理由から、いま通っている高校を退学し別の高校に転校したいと考えている方は、後になって後悔することのないよう、退学届を出す前にまずは以下をよく読んでおきましょう。
さて、通信制高校へ「入学」するにあたり、「新入学」「転入学」「編入学」の違いはなんでしょうか。新入学はお分かりいただけるかと思います。転入と編入については良く似た言葉ですが意味は異なります。編入と転入を合わせて転編入や転編入学と言うこともありますが、転入・編入のどちらも「現在高校に通っている/過去に高校へ通ったことがある方」を対象としています。該当する方はここでしっかりと違いについて理解しておくことをおすすめします。
「転入学」「編入学」の違い
転入と編入の一番大きな違いは、空白期間がなく別の高校に移るか、空白期間があってから別の高校に移るか、です。わかりやすくいうと、いま現在高校に通っているか、すでに退学したかの違いになります。
転入(転入学)とは
転入とは、いま現在他の高校に在籍している生徒が、新たな学校へ転校することをいいます。高校を卒業するために必要な3年間という在籍期間を途切らせることなく引き継げるため、同じ年齢の同級生と一緒に卒業を目指すことができます。
編入(編入学)とは
編入とは、すでに高校を中退した生徒が、単位の引き継ぎをともなって別の学校に入学(高2年次編入、高3年次編入)することをいいます。すなわち、すでに高校を中退してしまった人は、「転入」にはならず「編入」になるということです。また、高1の途中で単位を取得する前に中退した生徒は、他の学校へ移る際、編入はできないため「再入学」となります。
新入学の対象となる方
これまで、転入学・編入学についてお話してきましたが、新入学についても触れておきます。新入学となるのは、中学校3年生で3月卒業見込みの生徒、または、中学校既卒者で過去に一度も高校に在籍したことがない方です。
通信制高校の入学時期は、学校によっては10月など秋に入学できるケースも多くありますが、一般的には全日制高校や定時制高校と同じ4月です。1~3月頃に入学試験や面接などがあり、その後に合格発表となります。全日制高校より入試スケジュールが遅めであるため、全日制高校の合格発表後に通信制高校へ進路を切り替えることが可能です。
ただし、早期出願による特典の利用や独自の奨学金制度を利用する場合は、出願時期が早い場合もありますので志望校の募集要項で調べましょう。
「4月入学」だけではない入学時期
全日制高校と違い、特に私立通信制高校はその学びの特徴から入学時期が柔軟に設定されています。例えば、本来であれば中学校を卒業してすぐに通信制高校に入学しようと考えていたけれど、家から出ることが辛くなってしまい結局入学できなかった、という生徒。そのような場合、次の年の4月を待って1年遅れで入学するしかないのかとあきらめる必要はありません。10月入学を設定している通信制高校が多くあります。
【新入学】4月入学(入学可能時期が長く設定されているケースも)
全日制高校は、公立、私立ともに二次募集までを考慮しても、3月中には生徒募集が終了します。一方、通信制高校は入学式が終わった4月下旬でも「4月入学として」出願できる学校があります。つまり、出願時期が全日制高校と比較して長いということです。全日制高校の合格発表が終わった後でも、通信制高校では新入生として入学することができるのです。
【新入学】10月入学
通信制高校では多くの学校で前期後期の2期制を採用しています(一部、3学期制、4期制の学校もあり)。2期制であるため、入学時期が4月と10月となり、あわせて卒業時期も3月卒業のほかに9月卒業があります。4月入学に間に合わなかった方、高1で入学直後に退学してしまった方などは、10月新入学となるでしょう。
【転入学】高1・高2・高3の転入時期
通信制高校の転入可能時期はいつでしょうか。実はほとんどの通信制高校では、転入学については「随時」入学可となっています。前年度までに今在籍している高校で認定された単位(たとえば、高2の途中であれば高1で認定された単位)と、新たに通おうと思っている通信制高校での修得単位の合計が74単位になるようにカリキュラムを組みます。「転入学」であれば、ほとんどの場合3年間での卒業が目指せますが、高3の10月以降に転入学する場合、入学した通信制高校で年度内に単位が修得できず、卒業の時期がずれてしまうことがあります。
【編入学】編入の入学時期
一方、編入学は「時期を限定」している学校が多く、入学できる時期は編入の方が少ないことが一般的です。
多くの通信制高校では、編入学時期を4月および10月としているケースが多いです。他には、4月・7月・10月・1月の4期入学可能の高校や、編入学であっても随時受け入れ可能としている高校もあります。まずは入学希望の高校に必ずご確認ください。
すでに前籍校を退学しており別の通信制高校へ編入学したいと考える場合、できるだけ早く行動することで選択肢は多くなります。編入学の場合、前籍校と合算しても3年間で卒業することは難しいですが、卒業の時期が前期9月と後期3月の2回用意されているので、卒業が遅れても半年程度で済むので安心です。
高校を転校したいと考えている人への注意点
やむを得ない事情、たとえば家庭の事情、親のこと、人間関係、または学校や先生と相性が悪いといったこともあるでしょう。そういった方のために、今は通信制高校がとしてセーフティーネットとして機能しています。いざ転校しようと思った場合、具体的に何をすればいいのか、以下の記事で疑問を解決いただきたいと思います。
転入学(転校)の準備
まず、転校先の通信制高校を見つけましょう。当サイト「ニュースク」を活用し、気になる学校はいくつでも資料請求をし、そして気になった学校へ実際に足を運んで確認してください。
次に、転校先の通信制高校が決まれば、その高校への入学手続きを進めていきます。ここで大切なことは、あわてて退学届を出してはいけない、ということです。いま在籍している高校を退学する前に、受け入れ先である次の通信制高校への入学手続きを進めておき、いま在学中の高校中退と同時に次の高校での在籍期間が始まるように準備しておくこと(すなわち、空白期間を作らないこと)が大事です。
転入学の場合、現在在籍している高校と新しく転入学する予定の高校とがお互いに連絡を取り合うことになります。まずは転入学予定の高校に必要書類などを確認し、そして、いまの在籍高校と面談し「転校したい」という意志表示をして先に確認した必要書類を発行してもらいます。その際、転入先の通信制高校のパンフレットや生徒募集要項をあらかじめ持参しておくとスムーズです。必要な書類は高校によって違いますが、在学証明書、成績(単位修得)証明書、在籍校校長の転学照会書などが一般的です。受け入れ先の通信制高校で必ず確認しておきましょう。
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編入学の準備
編入学は、年度途中で高校を転校する「転入学」とは違いますので注意してください。
編入学をする場合は基本的に新しく編入学予定の通信制高校と生徒(または保護者)間でのやり取りになるため、以前に在籍していた高校へ連絡する必要がないと思いがちですが、実はそうではありません。転入学と同様に成績(単位修得)証明書を提出することで単位を引き継げるためです。例えば、高2で退学した場合、高1で修得した単位は存在するはずです。引き継げる単位があれば、高校卒業要件である74単位から高校1年次に修得した単位を除き、残りの単位を修得することで高校卒業資格を得られます。(修得単位数により学費が変わるので注意が必要です)また、高1で単位を習得する前に退学した場合でも、受け入れ先の通信制高校で成績(単位修得)証明書の提出を求められる場合がありますので確認しておきましょう。
「その退学届、ちょっと待って!」
繰り返しになりますが、今まさに高校中退しようと意思が固まっている場合には、編入学よりも転入学(転校)がおすすめです。編入よりも転入が有利な理由は、高校卒業時期に影響を及ぼすからです。転入の場合、年度の途中で転校となった場合でも在籍日数などを無駄にせずに済みます。ですから、学年の途中で学校を辞めてしまうと、せっかく学校に通った期間があるのに単位修得が認められません。高校1年生の途中で退学なら、1年生を最初からやり直しです。
こんな無駄を避けてほしいからこそ「退学を早まらない」「タイミングを考えて」とアドバイスするわけです。
転入学・編入学にかかる費用(学費)
これまで在籍していた学校にも入学金や学費、制服代などを支払ってきており、また新たに転入学・編入学先の高校で様々な費用がかかることを考えると、少々気が重くなるかもしれません。あらかじめかかるであろう学費や費用を想定しておき、不安を少しでも軽減しておきましょう。
転入学・編入学時にかかる費用
受験料(受検料)
入学選考料ともいいます。学校によって金額には差がありますが、公立ならば1,000円~2,000円前後、私立ならば10,000円~20,000円を想定しておきましょう。
入学金
私立ではおおよそ10,000円~50,000円です。
授業料
卒業までに必要な単位は74単位です。新入学であれば74単位すべてを、転編入であれば足りない単位分が必要となる授業料です。私立通信制高校の場合、1単位あたり5,000円~12,000円です。公立は私立よりも金額が安いです。
スクーリング費用
私立通信制高校は全国各地にサテライトキャンパスを展開している学校がありますので、スクーリング会場によっては交通費などが思った以上にかかる可能性があります。入学を希望する高校によって異なりますので事前にスクーリングにかかる費用を確認しておきましょう。また、登校日が多いか少ないかでも大きく変わってきます。
制服代
今は週5日登校型のような、登校日数が多いコースを設置している通信制課程が主流になりつつあり、そういった学校では制服を購入しなければいけないこともあります。制服着用は任意の場合が多いですが、高校生でいる間は制服を着たい!という声は多いようです。
上記以外の費用
施設設備費や教材費、教科書代などが別途必要となります。通学主体のコースの場合は定期代なども想定しておきましょう。
●不登校でも通いやすい!自宅学習型で学費が安い通信制高校
ID学園高等学校 通信型フレックスコース(入学可能都道府県:東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,茨城県,群馬県,栃木県,静岡県,山梨県,長野県)
通信制高校の生徒も『高等学校等就学支援金』制度を利用できます
高等学校等就学支援金制度とは、高校の授業料の一部を国が負担してくれる制度のことです。全日制高校、定時制高校だけではなく通信制高校もこれを利用することができます。そのほか、自治体ごとに学費支援制度や無利子の貸付制度などがあります。
通信制高校・サポート校・高等専修学校の基礎知識
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