通信制高校・高等専修学校ニュース
データで見る不登校
~不登校の現状と将来の見通し~
不登校、中学生の20人に1人
2021年度、不登校の小中学生が24万人を超えました。内訳は小学生約8万人、中学生約16万人です。
小中学生の不登校は以前から増加傾向にありましたが、おそらくはコロナ禍も手伝って2021年度は前年度から2割以上も急増しました。
少子化で児童生徒の総数は減少する一方、不登校の児童生徒の割合は年々、大きくなっています。いま小学生の77人に1人、中学生の20人に1人が不登校という割合です。
高校でも長期欠席の生徒が過去最多の約11万8千人となりました。このうち不登校が理由の生徒は約5万人。前年度より8千人近くの増加です。
どの学校にも不登校の児童生徒
不登校はどこか特定の地域や学校に偏った現象ではありません。不登校の児童生徒が在籍しているのは――
小学校 1万9487校のうち1万4865校 76.3%
中学校 1万283校のうち9467校 92.1%
高校(全日制)4741 校のうち3863校 81.5%
このように不登校は小中高のほとんどの学校に見られる現象で、けっして例外的な問題ではないのです。とりわけ中学校では9割以上の学校に不登校の生徒がいますから、むしろ身近な問題と言ってよいでしょう。
対策・ケアも効果が上がらず
不登校になった児童生徒のその後についてもデータを見てみましょう。
文部科学省、各地の教育委員会、そしてそれぞれの学校が、不登校を防ぐための対策や、不登校の児童生徒へのケア(適応指導教室など)に取り組んでいますが、残念ながら、全体としてはあまり効果を上げていません。
不登校の児童生徒のうち「指導の結果登校する、または、できるようになった児童生徒」の割合は次の通りです。
小学校 27.1%
中学校 28.1%
高校(全日制)49.0%
不登校の生徒も高校では指導の結果、半数程度の生徒の学校復帰に成功していますが、小中学校ではそれが3割にも届きません。7割の児童生徒がその後も不登校の状態のまま、ということです。
明るくない今後の見通し
また「不登校の状態が前年度から継続している(前回調査でも不登校に計上されていた)児童生徒」の割合は
小学校 41.8%
中学校 51.1%
高 校 24.5%
不登校の小学生の4割、同じく中学生の5割が不登校状態のまま進級していることになります。(ここまでデータ出典は文部科学省「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)
教育制度の現状、家庭の対処能力、小中学生・高校生をめぐる社会環境を考え合わせると、これから不登校の問題がより難しくなる要素は見えても、改善される要素は見つけにくいのが大方の見通しではないでしょうか。
しかし、もし不登校になっても、それは先のない行き止まりではありません。あまり無理をしなくても将来へ向けて、前へと歩きだせるルートがあります。
フリースクールが利用できれば
不登校の小中学生には、たとえば、フリースクールがあります。いろいろな理由で学校が居心地の悪い場所になってしまった子どもにとって、安心できる居場所となりうるのがフリースクールです。
一般に不登校の児童生徒は、家にこもりがちになります。本人と親がよほど気をつけていないと、どうしてもゲームやネットなどに長時間を費やして生活リズムが乱れてしまいます。生活リズムが乱れると、学習意欲や進学意欲が一向に湧かないまま毎日が過ぎていきます。これでは学校復帰や進学が難しくなるばかりです。
家から出かけて決まったスケジュールで過ごすフリースクールのような場所があれば(利用できれば)、そうした生活リズムの乱れを防ぐことに役立ちます。それだけでも、子どもにとってはもちろん、保護者にとっても十分に価値ある選択のように思えます。
通信制高校で将来へ道筋を
いまの高校が自分に合わないと悩む高校生、そして不登校のために進学が心配な中学3年生には、(私立)通信制高校があります。
生徒がこれまでの不登校経験や学力不足に引きずられることなく、心機一転して学べるのが通信制高校です。そのために、たとえば中学1年レベルまで戻って学び直すような手厚い指導があったりします。
また全日制に近いスタイルの「通学型」では、友だちをつくったり、行事を運営したり、学校生活を通じて対人関係に自信をつける機会がたくさんあります。 前述したようにデータで見ると不登校の今後の見通しはけっして明るくないのですが、個々の生徒と親にとっては別問題です。たとえ不登校になっても、そこで終わりではありません。自分に合った学び方、自分らしく学べる学校を見つけることが、問題解決の大きなカギになるはずです。