通信制高校・高等専修学校ニュース
通信制高校と大学入試(全3回)
①「学校推薦型選抜」とは
5人に1人は大学へ
私立の通信制高校では、大学進学を考える生徒の割合が少しずつ増えています。令和2年度の大学・短大への進学率はで20.7%。5人に1人は大学・短大へ進んでいます。
「せめて高校くらいは卒業しておきたいから」といった理由で通信制高校を選ぶ生徒もまだ少なくないのですが、通信制高校で学ぶうちに大学進学の意欲がわいて実際に進学をした、という生徒の話も本サイト編集部が取材でよく耳にします。
ですから「いま大学進学なんて考える余裕がない」という中学生と高校生にこそ、少しだけ大学入試のしくみを伝えておきたいのです。前もって知っておけば、すぐ先に待つ進路選択にきっと役立ちます。
私大進学者の4割は推薦で
大学入試の主な方法は
・一般選抜
・学校推薦型選抜
・総合型選抜
の3つです。
今回は、このうちの「学校推薦型選抜」について解説します。というのも、私立大学の入学者の40%以上が学校推薦型選抜での進学で、通信制高校でもこの方法で進学する生徒の割合が大きいからです。
高校から推薦をもらう
学校推薦型選抜は、大学側が受験者の高校での学習状況や課外活動などの取り組みを評価するものです。書類審査のほか、
・志望理由書や小論文
・面接
などで合否を判断します。大学によっては、プレゼンテーションや学力検査を課す場合もあります。
学校推薦型選抜で受験する場合には、大学が定める出願条件を満たしたうえで、高校の校長から推薦書をもらう必要があります。
大学が高校に推薦枠
この学校推薦型選抜のうち、A高校に2名、B高校に5名といったように、大学側がいくつかの高校を指定し、推薦枠を用意するのが「指定校推薦」です。
受験にあたっては、志望理由書あるいは小論文の作成や、面接の練習がなかなか大変なようですが(高校の先生が力になってくれます)、合格の確度が高い入試方法といえます。
ただし、多くの大学では学校推薦型選抜は原則として専願です。つまり、その大学に合格したら、別の大学を受験して進学することはできないのがルールです。
また、受験したい生徒数がその高校の推薦枠を超える場合は、校内選考で人数が絞られることになります。
合格しやすい入試方法
学校推薦型選抜は一般選抜のように学力勝負ではないので、多くの全日制高校のように受験を意識した授業を行っていない通信制高校の生徒でも挑戦しやすい受験方式です。
出願条件を満たして高校から推薦をもらえる生徒なら、大学進学を希望する理由――その大学で何を学び、将来どうなりたいか――を作文や面接で明確に、説得力をもってアピールできれば、合格は難しくないでしょう。
指定校推薦で比較的入りやすい大学があるから進学を希望するというのは、順序が違うような気もしますが、必ずしもそうではありません。自分にも進学の可能性がある、と気づくことから学習意欲がわいたりするものです。進路への意識が高まるものです。大学進学という目標ができれば、高校生活に大きな張り合いが生まれます。
不登校経験者も大学進学
なんとなくではあっても、大学へ行ってみたい気がする人は、これから通信制高校を選ぶときに、学校推薦型選抜のことを思い出してください。大学の推薦指定校になっている通信制高校は、いくつもあります。
たとえ中学時代は不登校でも、通信制高校で学んで大学進学をかなえた例はたくさんあります。通信制高校の学校案内には、そんな卒業生の声が掲載されていたりもしますから、ぜひ、いくつか取り寄せて確かめてみてください。
※次回は②「総合型選抜」を解説します。