通信制高校・高等専修学校ニュース

通信制高校出身だと進学や就職に不利ですか?

新しい学校選びの基準 ニュースクからのアドバイス

「新しい学校選びフェア」総合相談デスクから①

同じ疑問や不安を抱いている中学生や保護者が多いのではないでしょうか。中学3年の娘さんと一緒に総合相談デスクへ来たお父さんが気にしていたのは、次のことでした。

「通信制高校の卒業だと、大学進学や就職で不利にならないでしょうか」

結論から言えば「進学でも就職でも、通信制高校出身という理由だけで不利になることはない」というのが、私どもの見解です。お二人には、進学と就職、それぞれに分けて詳しく話しました。

通信制高校卒業者の大学進学

大学・短大への進学率は私立通信制高校18.5%(公立11.7%)、専門学校(専門課程)進学率は私立通信制高校24.9%(公立13.1%)です(令和元年度「学校基本調査」)。

あわせて43.4%の生徒が通信制高校卒業後も上の学校に進んで学び続けています。

大学入試の制度は公平性が高いので、一般試験で合格すれば進学がかなうことは言うまでもありません。受験生の出身が全日制か通信制かは、合否にまったく関わりないことです。 私立通信制高校の中には大学受験を支援する専門コースを設ける学校も多く、一般受験で合格できるような学力向上も望めます。意欲のある生徒は通信制高校からの難関大学合格も可能ですし、実際に増えているのが現状です。

通信制高校での成長体験をアピール

日本の大学全般を見ると、私大を中心に総合型選抜(旧:AO入試)や学校推薦型選抜での選考が増え、学力以外の能力や経験、将来の目標なども評価するので、通信制高校の生徒にとっては、より進学しやすい環境になったといえます。志望校の入試方式や選考の特徴をよく研究し、十分に準備して臨めば、通信制高校に通っているからといって進学に不利にはなりません。
むしろ、「通信制高校だからできた経験や成長」があれば、それをエントリーシートや面接においてアピールの大きなポイントにすることができます。

通信制高校生の面接

通信制高校卒業者の就職

私立通信制高校の卒業者のうち就職する人は18.5%(公立21.2%)(前掲資料)。
大学・短大への進学と同じ割合です。

高校生の就職活動は「1人1社制」です(秋田、沖縄の2県をのぞく)。これは学校に届いた求人票から1社を選んで応募し、選考に落ちた場合は、以降、複数の企業への併願が可能になるというルールです。

この点で通信制高校がやや不利なのは、全日制高校に比べて届く求人票が少ないことです。ただし、通信制高校に通う生徒が増え、その存在感が高まっていますから、今後、通信制高校に対する企業の理解が深まるにつれて、こうした状況が変わっていくことが期待されます。

専門コースやアルバイト経験が強みに

一方、通信制高校が有利な点もあります。たとえば、通信制高校のなかには、芸能・芸術・理美容・調理・農業・ITなど、生徒の興味関心に応えるコースを開設している学校も多く、なかには在学中にかなりの実力がつくほどレベルの高いものもあるようです。そうしたコースで即戦力といえるほどの技能が身につけば、就職活動に大いに生かせますし、そこまでの力はない生徒でも、企業にとっては見込みのある人材に感じられることもあるでしょう。

また、アルバイト経験を強みにできます。アルバイトがしやすいのが通信制高校の特徴ですから、長期勤務を立派に果たしたり、その間に責任ある立場を任されたり、全日制の生徒に比べてアルバイトで実績を出しやすいのではないでしょうか。そうした成果は、採用する企業側にとっても大きな安心材料になります。

就職面接にどう挑むか

不登校などの困難や問題が理由で通信制高校を選ぶ生徒も多いことから、企業の採用担当者がその点を気にするのは無理もありません。しかし、たとえ困難や問題を抱えて進学したとしても、通信制高校で自分が大きく変わったこと、いろいろな出会いや経験を通じて成長できたことを面接で自信をもって伝えられれば、かえってそれが採用担当者に強い印象を残すのではないでしょうか。

その面接指導も、通信制高校では全日制に比べると時間や回数が少ないかもしれません。しかし、自発的に練習の機会をつくって欲しいと頼めば、先生方は喜んで応じてくれる学校ばかりです。


以上は、全日制と通信制高校の全般を比較した、あくまでも一般論です。進学についても、就職についても、個々の通信制高校、あるいは個々のコースや担任、教員によって、全日制と同様かそれ以上の対応や支援を受けられる場合も少なくありません。
ぜひ学校案内のパンフレットを取り寄せたり、学校説明会に参加したりして、通信制高校について、より詳しく知って、学校選びの判断材料にしてください。

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※この記事は札幌・仙台・大阪にて不登校生等を対象とした合同進学相談会「新しい学校選びフェア」を企画・運営する「特定非営利活動法人高校生進学支援の会」協力のもと作成しております。

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