通信制高校・高等専修学校ニュース

プログラミングやeスポーツ・美容など|「好き」を学べる通信制高校の専門コースとは?選び方と注意点
「ゲームをしているときだけは夢中になれる」「絵を描いている時間が一番楽しい」。学校に行きづらさを感じていても、心から好きだと思える趣味や特技を持っているお子さんは少なくありません。
一方で、保護者の方は「学校に行かずに家で好きなことばかりしていて、高校卒業は大丈夫なのだろうか」と心配になることもあるでしょう。
近年では、高校卒業資格の取得をめざしながら、プログラミングやeスポーツ・声優・美容といった専門分野を学べる「専門コース」を設けている通信制高校も増えてきました。
この記事では、専門コースのしくみや学べる分野、メリットと注意点、自分に合ったコースの選び方を解説します。
通信制高校の「専門コース」とは
通信制高校の専門コースは、卒業に必要な普通科目の単位を積み重ねながら、専門分野の学びにも時間を使えるコースです。まずは、両立ができる理由や専門コースを運営している学校のタイプ、1週間の過ごし方のイメージを順番に見ていきましょう。
高校卒業資格と専門分野の学びを両立できるしくみ
通信制高校では、「レポート」「スクーリング」「テスト」の3つを通して単位を修得します。
- レポート:教科ごとに出される課題。リアルタイムでのオンライン授業や、録画された動画を見て課題を進める自宅学習などの形態がある。
- スクーリング:学校に登校して受ける面接指導(対面授業)。通学型・集中型・合宿型がある。
- 単位認定試験:学期末や年度末に行われる、単位を認定するためのテスト
なお、3年以上在籍し、合計74単位以上を修得すると卒業できます。また、高等学校卒業資格(高卒資格)は、全日制高校も通信制高校も共通です。
ただし、通信制高校では、全日制高校のように毎日決まった時間割で授業を受けるわけでありません。そのため、学習スケジュールを自分で組み立てやすいのが通信制高校の特徴です。そこで生まれた時間を専門分野の学びに充てられるのが、専門コースのしくみです。
専門コースを運営する学校のタイプ
専門コースは、 通信制高校が独自の授業として専門分野の学びを用意しているタイプが多くあります。
また、サポート校が運営する専門コースもあります。ただし、サポート校とは、通信制高校に在籍する生徒の学習や生活を支援する民間の教育施設であり、法律上の「学校」ではありません。
ただ、生徒はサポート校に通いながら提携する通信制高校に在籍することになるため、高校卒業資格は得られます。 なお、専門スクールを運営する企業が母体となっているサポート校では、より実践的な授業を受けられるのが特徴です。
1週間の時間割イメージ
専門コースに通う生徒の1週間の時間割は、たとえば次のようなイメージです(週3日通学の場合)。
| 曜日 | 午前 | 午後 |
|---|---|---|
| 月 | 普通科目の授業・レポート指導 | 専門授業 |
| 火 | 自宅でレポート学習 | 自由時間・自主練習 |
| 水 | 普通科目の授業・レポート指導 | 専門授業 |
| 木 | 自宅でオンライン学習 | 自由時間・自主練習 |
| 金 | 専門授業(実習) | 専門授業(実習) |
なお、登校日数や時間割は、学校やコースによって大きく異なります。週1日から通えるコースもあれば、週5日しっかり通うコースもあります。
通信制高校で学べる主な専門分野
専門コースで学べる分野は幅広く、将来の仕事や進学につながる実践的な内容を学べる学校もあります。
ここでは代表的な分野ごとに、学ぶ内容と将来の進路のイメージを紹介します。
IT・プログラミング・AI
プログラミング言語の基礎から、Webサイト制作やアプリ開発などを学びます。また、「ITパスポート」などIT系の資格取得も可能です。近年では、AIについて学べるコースも設置されています。
パソコンがあれば自宅でも学習を進めやすいため、登校に不安があるお子さんにも取り組みやすい分野です。卒業後は、情報系の大学や専門学校への進学、エンジニアなどの仕事につながります。
例えば、第一学院高等学校では、2026年4月より「AIスキル専攻」が新設されました。
生成AIの仕組み、プロンプトの書き方だけでなく、文章を書く・コードを書く・分析するなどのスキルを身につけます。
eスポーツ・アニメ・ゲーム
eスポーツとは、コンピューターゲームを使って行う対戦競技です。
eスポーツのコースでは、ゲームの技術だけでなく、チームでの作戦づくりや大会への出場、配信やイベントの運営などを学習します。
クラーク記念国際高等学校 では、イベント大会の企画や運営の経験を通じて、マーケティングや宣伝、映像制作、ゲーム開発に関する知識を身につけられます。eスポーツ選手としてはもちろん、業界全体で活躍できるスキルを習得できるのが大きな魅力です。
また、eスポーツを通じた他者との協働は、単なるゲームの枠を超え、現代の教育や社会参加の場において重要視されているテーマです。
マンガ・アニメ・ゲームの分野では、デジタルでのイラスト制作やキャラクターデザイン、シナリオづくり、ゲーム制作などに取り組みます。卒業後は、クリエイターをめざして専門学校や大学へ進む生徒も多くいます。
声優・芸能・ダンス・音楽
発声や滑舌、演技、ダンス、ボーカル、楽器演奏などを学びます。現役で活躍するプロが講師を務めるコースが大半です。
第一高等学院の芸能コースでは、芸能プロダクション「ワタナベエンターテインメント」直営の「渡辺高等学院」と連携し、生徒の芸能界へのチャレンジをサポートしています。
発表会やオーディションに挑戦する機会がある学校も多く、人前で表現する経験が自信につながります。
美術・イラスト・デザイン
デッサンなどの基礎から、グラフィックデザイン、デザインソフトの使い方などを学びます。
精華学園高等学校には以下のコースが設置されています。
- 美大・芸大コース
- デッサンコース
- イラストコース
美大・芸大コースやデッサンコースは、美術、芸術系の進路を目指すためのコースです。美術系の大学の入試は鉛筆デッサンや色彩構成、立体構成など、非常に幅広い内容となっています。
例えば、デッサンコースでは鉛筆やペンを使ったデッサンの基礎的な実技指導はもちろん、ポートフォリオ作成などについて、美術専任講師からの指導が受けられます。
美容・ファッション
ヘアアレンジやメイク、ネイル、ファッションデザインなどを学びます。
例えば、中央高等学院では「ネイル&ビューティーコース」を設置しています。13,000人の卒業生を輩出した「木下ユミ・メークアップ&ネイル アトリエ」と提携しており、高校在学中に各種資格の取得も可能です。
なお、美容師は国家資格で、試験を受けるには美容専門学校などの養成施設で学ぶ必要があります。
そのため、高校では基礎を学びながら、自分に向いているかを確かめ、卒業後に専門学校へ進むのが一般的な流れです。
ただし、飛鳥未来高等学校・飛鳥未来きぼう高等学校の美容師免許取得コースは、美容師専門学校とのダブルスクールであるため、美容師国家資格の取得が目指せます。
調理・パティシエ
調理実習や製菓を通して、料理の基礎技術を身につけます。
鹿島学園高等学校の「製菓・製パンコース」では、現場で活躍するプロの講師から、お菓子作りやパン作りの基礎を学びます。
なお、調理師免許を取得するには、調理師養成施設を卒業するか、実務経験を積んで試験に合格しなければいけません。高校での学びは、その第一歩になります。
専門コースで学ぶメリット

専門コースの魅力は、将来の仕事に役立つスキルが身につくことだけではありません。
中学校で学校に行きづらさを感じていたお子さんにとっては、毎日の過ごし方そのものが変わるきっかけになる可能性もあります。
「好き」が通う理由になる
「勉強のために学校へ行く」と考えると、気持ちが重くなってしまうお子さんもいます。しかし、好きなことを学びに行くのであれば、登校のハードルも下がります。
実際に、専門分野の授業を楽しみに通ううちに生活リズムが整い、普通科目の学習にも前向きになれたという例も多々あります。
また、同じ分野が好きな仲間と出会えるのも、専門コースならではの魅力です。共通の話題があるため会話が生まれやすく、人間関係に不安を抱えていたお子さんでも友達をつくりやすいでしょう。
在学中から資格取得や進路準備ができる
高校生のうちから専門分野を学ぶことで、資格の取得や作品づくりに早くから取り組めます。また、第一線で活躍するプロから直接指導を受けられ、専門機材を使った実習が可能です。
こうした経験は、大学や専門学校の「総合型選抜」でも活かせます。総合型選抜とは、学力試験だけでなく、志望理由や活動実績、面接などで総合的に評価する入試方式です。専門コースで制作した作品をまとめた「ポートフォリオ(作品集)」を提出できる場合もあります。
なお、進路が定まらないお子さんにとっては、進学や就職の前に「やりたい仕事」を実際に体験・検証できる場として活用しましょう。将来の希望進路のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
専門コースを選ぶ前に知っておきたい注意点
専門コースには多くの魅力があります。
ただし、費用や学びの内容を十分に確認しないまま入学すると「思っていたのと違った」と感じるかもしれません。入学前にチェックしておきたい4つのポイントを紹介します。
コースの費用は授業料とは別にかかる
専門コースでは、通信制高校の授業料とは別に、コース費や教材費、実習費などがかかるのが一般的です。
通信制高校の学費をまかなうサポート制度として「高等学校等就学支援金」があります。
ただし、対象になるのは通信制高校の授業料のみであり、専門コースの費用やサポート校の学費は、対象外です。
資料を比べるときは、授業料だけでなく、卒業までにかかる総額を確認しましょう。
「好き」と「仕事にしたい」は違うこともある
趣味として楽しんでいたことも、専門的に学んでみると「思っていたより大変」と感じる場合もあります。一方で、学ぶうちに新しい興味や夢が見つかり、コースを変更したいと思うこともあるかもしれません。
途中で学ぶ分野の変更ができるか、専門コースから普通コースに移れるかは、学校によって異なります。また、複数の分野を一度に学べる学校もあります。事前に資料請求などを行い、確認しておくと安心です。
講師や設備の充実度・卒業生の進路を確認する
専門コースの学びの質は、講師や設備によって大きく変わります。個別相談では、次の点を確認してみましょう。
- 講師はどのような経歴を持っているか
- 実習に必要な機材や教室はそろっているか
- 卒業生はどのような進路に進んでいるか
なお、通信制高校の専門コースは、専門学校の代わりではありません。そのため、基礎スキルの習得にとどまり、専門学校ほど深くは学べない可能性もあります。専門コースは、好きなことを深く学ぶための導入編として位置づけましょう。
通学頻度とキャンパスの場所
専門授業は、実習など対面で行うものが多い傾向にあります。
興味のあるコースが「週に何日」「どのキャンパスで」行われるのかを確認し、無理なく通えるかを考えましょう。専門学校と提携している場合には、実際に提携先の学校で授業を実施する場合もあります。
なお、オンラインで受講できる分野もあるため、登校に不安がある場合は相談してみてください。
自分に合った専門コースの選び方
専門コース選びで大切なのは、パンフレットの華やかさではなく、お子さん自身が「ここで学びたい」と思えるかどうかです。お子さんに合う分野について、次の3つのステップで考えてみましょう。
ステップ1:好きなこと・興味があることを書き出す
まずは、お子さんが好きなことや、時間を忘れて取り組めることを親子で書き出してみましょう。
このとき「見るのが好き」なのか、「つくるのが好き」なのかを考えるのがポイントです。たとえば、アニメを見るのが好きなお子さんには、声優やタレントの分野が向いています。編集クリエイターを学べる学校も良いでしょう。
また、デザインが好きな場合は、イラスト・デザインの分野が最適です。
ステップ2:体験授業やオープンキャンパスに参加する
気になるコースが見つかったら、体験授業に参加してみましょう。実際に授業を受けてみて、パンフレットだけではわからない雰囲気や、お子さんに合うかどうかを確認しましょう。
なお、合同説明会では、複数の学校の体験授業を一度に受けられることもあります。弊社主催の合同相談会「新しい学校選びフェア」では、模擬授業などの実習を体験できる特別プログラムもあります。
ステップ3:説明会で確認したい質問リストを作成する
各学校の説明会や個別相談では、次のような質問をしてみましょう。
- 専門コースの費用は、授業料とは別にいくらかかるか
- 専門の授業は、高校の卒業単位になるか
- 専門授業は週に何日、どのキャンパスで行われるのか
- 入学後にコース変更はできるか
- 講師の経歴・実績
- 卒業生の進路
なお、この中からお子さんにとって外せない質問を3つ選んで、メモしておくと、見学当日に説明の流れに飲まれず、聞くべきことが明確になります。
まとめ
この記事では、専門コースのしくみや学べる分野、メリットと注意点、自分に合ったコースの選び方を解説しました。
通信制高校の専門コースでは、高校卒業資格の取得をめざしながら、プログラミング・eスポーツ・声優・美容など、さまざまな分野を学べます。「好き」が学校に通う理由になったり、同じ興味を持つ仲間と出会えたりと、学びの楽しさを取り戻すきっかけにもなるでしょう。
一方で、コースの費用や通学頻度などは学校によって大きく異なります。気になるコースが見つかったら、資料請求や体験授業を通して、お子さんが「ここで学びたい」と思える学校を見つけてください。