通信制高校・高等専修学校ニュース

令和8年度改正対応版|通信制高校の学費はいくら?補助金を利用して負担を軽くする!

通信制高校への入学を検討する時、多くの家庭が最初に気になるのが学費のことではないでしょうか。特に、私立の通信制高校は、パンフレットに記載されている金額を見て「これは無理かもしれない」と感じてしまうかもしれません。

しかし、令和8年度(2026年度)から高校生への経済的な支援制度は大きく変わりました。授業料を支える「高等学校等就学支援金制度」(いわゆる高校無償化)は所得制限が撤廃され、私立通信制高校の支給上限額も引き上げられています。さらに、授業料以外の費用を支える「高校生等奨学給付金」も、対象となる世帯の範囲が広がりました。

この記事では、通信制高校の学費の全体像と2つの支援制度の概要について、詳しく解説します。また、2つの給付金制度を組み合わせた場合の学費シミュレーションも紹介するため、通信制高校を検討する際の参考にしてください。

通信制高校の学費相場

まずは、通信制高校にどれくらいの費用がかかるのかを知っておきましょう。通信制高校の学費は、公立か私立かによって大きく異なります。また、通学日数やコースによっても差が生じます。

公立通信制高校の場合

公立の通信制高校は、都道府県が設置・運営している学校です。そのため、学費は低く設定されています。

授業料は履修する単位数に応じて計算され、通常は1単位300円〜1,000円程度です。授業料に教科書代や諸経費を加えても、3年間で10万円程度におさまる学校もあります。

私立通信制高校の場合

私立の通信制高校は、学費の決め方が学校によって大きく異なります。私立も、授業料は1単位あたりで設定している学校が大半ですが、1単位7,000円〜12,000円程度と、公立と比較して高額に設定されています。例えば、年間26単位履修の場合だと、180,000〜300,000円程度になるでしょう。

さらに、私立の場合はコース選択によって金額に大きな差が生じます。年に数回のスクーリングだけで卒業を目指すコースであれば費用は抑えられる一方、週3日や週5日通うコース、専門的な学習を組み合わせたコースなどになると、年間の総額は100万円を超える可能性もあります。

高等学校等就学支援金制度とは

少しでも学費をおさえながらサポートを受けるためには、高等学校等就学支援金制度を利用しましょう。

高等学校等就学支援金制度とは、国公私立問わず、高校などに通う生徒の授業料に充てるために国が支給する支援金制度です。

また、奨学金のような貸付ではないため、卒業後に返還する必要はありません。

高等学校等就学支援金制度は、家庭の教育費負担軽減を図るための支援の仕組みであり、全国の約8割の生徒が利用しています。

支援金は、保護者の口座に現金が振り込まれるのではありません。学校が国から都道府県を通じて代わりに受け取り、授業料に充当されます。そのため、保護者が支払うのは、支援金でまかないきれなかった差額分のみです。

高等学校等就学支援金制度の改正ポイント

高等学校等就学支援金は、令和8年度から内容が大きく改正されました。

これまでの制度では、世帯年収が約910万円以上になると支援金の対象外(※令和7年度のみの限定措置として「高校生等臨時支援金(上限118,800円)」がありました)となっていました。しかし、令和8年度からは、この所得制限が完全に撤廃され、世帯の年収にかかわらず、すべての家庭が支援の対象になりました。

また、令和8年度の制度改正から、私立通信制高校の支給上限額が、年額29万7,000円から年額33万7,200円に引き上げられました。

なお、現在、中学生のお子さんがこれから通信制高校に進学される場合は、新しい制度が適用されます。

私立通信制高校は、学費に占める授業料の割合が高い傾向にあるため、この引き上げによる効果は大きいでしょう。

通信制高校の就学支援金支給額

通信制高校の就学支援金は、全日制とは計算方法が異なります。
ここでは、単位制をとっている学校の場合の計算方法を見ていきましょう。

1単位あたりで計算する

多くの通信制高校では単位制を導入しており、1単位当たりで授業料を設定しています。そのため、履修した単位数に応じて支援金の額が決まります。

私立通信制高校の場合は1単位あたり13,668円、公立通信制高校の場合は1単位あたり336円が支給の基準です。

例えば、授業料を1単位12,000円と設定している私立通信制高校であれば、支援金の基準額のほうが上回るため、授業料そのものは実質的にかかりません。

ただし、単位を履修すればするほど支給されるわけではありません。支給の対象となる単位数には、次のような上限が設けられています。

  • 1年間に支給対象となる単位数:30単位まで
  • 卒業までに支給対象となる単位数:通算74単位まで

この範囲を超えて履修した分は自己負担となります。自分で履修計画を立てる学校の場合は、上限単位数を意識して計画を立てましょう。

支給を受けられる期間は全日制より長い

通信制高校と全日制高校では、支援金を受け取れる期間にも違いがあります。全日制高校が36か月であるのに対し、通信制高校は48か月と長めに設定されています。

通信制高校は、自分のペースに合わせて履修を進められる点が特徴です。そのため、自身の体調やコンディションに合わせてゆっくり単位を積み重ねていく場合でも支援を受け続けられるよう配慮された設計になっています。

就学支援金の対象は授業料のみ

高等学校等就学支援金制度を使えば、私立通信制高校の学費の負担も軽くなります。しかし、就学支援金の対象となるのはあくまで授業料の部分のみであり、以下の費用は支援金の対象外です。

  • 入学金や教材費
  • 専門授業に関する費用
  • 施設設備費
  • スクーリングに行くための交通費や宿泊費

私立通信制高校では、授業料以外の名目で設定されている費用が大きい場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

授業料以外の費用を支える「高校生等奨学給付金」

就学支援金だけでは足りない部分を補うために用意されているのが「高校生等奨学給付金」です。
高校生等奨学給付金を利用すると、経済的な負担がより一層軽くできます。

高校生等奨学給付金とは

高校生等奨学給付金とは、授業料以外の教育費の負担を軽くするために支給される、返還不要の給付金です。就学支援金と違って、保護者の指定口座に直接振り込まれます。
なお、都道府県によっては「奨学のための給付金」という名称で案内される場合もあります。

高校生等奨学給付金の対象となる費用は、以下の通りです。

  • 教科書費、教材費、学用品費
  • 通学用品費、入学学用品費
  • 教科外活動費、生徒会費、PTA会費
  • 修学旅行費、通信費 など

使い道は各家庭にゆだねられていますので、制服代に充てることもできます。なお、学校に納める入学金は、この給付金の使途として想定されていません。

なお、これまで、高校生等奨学給付金の対象は生活保護受給世帯と住民税非課税世帯に限られていました。

しかし、令和8年度からは、年収の目安で約490万円未満の世帯や家計が急変して⾮課税相当になった世帯まで対象が広がっています。その結果「うちは非課税世帯ではないから関係ない」と思っていたご家庭にも、支援が届くようになりました。

通信制高校に通う場合の給付額

給付額は、世帯の状況と、公立か私立かによって決まります。全日制と通信制でも金額が異なりますので、通信制高校の場合の年額は以下の通りです。

世帯の状況公立通信制私立通信制
生活保護受給世帯32,300円52,600円
住民税非課税世帯
(年収約270万円未満)
50,500円52,100円
年収約270万〜380万円16,830円17,370円
年収約380万〜490万円12,630円13,030円

なお、年収はあくまで目安であり、実際の判定は住民税の所得割額をもとに行われます。また、扶養しているお子さんが3人以上いる世帯には、年収の目安で600万円程度まで対象となる区分も設けられています。

判定と申請の基本

高校生等奨学給付金の判定の基準日は、毎年7月1日です。この時点での世帯の状況をもとに、保護者全員の都道府県民税所得割額と市町村民税所得割額を合算して判定されます。

なお、世帯年収での判断となるため、共働きのご家庭では必ず二人分を合算して申請してください。

また、就学支援金の申請には、都道府県ごとの紙の申請書、または各都道府県が用意する電子申請システムを使います。

2つの制度を組み合わせた場合の学費負担シミュレーション

ここでは、私立通信制高校に進学する際に、高等学校等就学支援金制度と高校生等奨学給付金を組み合わせたケースを3つ見てみましょう。

ただし、ここで紹介するシミュレーションはあくまで一例です。実際の学費は学校ごとに大きく異なります。

ケース①週1日通学のコースの場合

授業料が年間25万円程度、それ以外に教材費や諸経費などで年間10万円程度かかる学校を想定してシミュレーションします。

この場合、授業料の25万円は就学支援金の上限額である年額33万7,200円の範囲内におさまるため、授業料の自己負担はほぼ生じません。授業料以外の費用について、対象世帯であれば奨学給付金を充てられます。

結果として、実際に用意する金額はかなり抑えられます。
場合によっては、実質「0円」で進学可能です。

「自宅での学習を中心に進めたい」「まずは無理のないペースで高校生活を始めたい」というお子さんにとっては、費用面でもっとも負担の軽い選び方です。

ケース②週3日通学のコースの場合

ここでは、以下のケースを想定します。

  • 授業料:年間30万円程度
  • コース費やサポート費:年間30万円程度
  • 教材費や諸経費:10万円程度

授業料の30万円は、上限額の範囲内におさまるため、就学支援金でカバーできます。
ただし、コース費やサポート費、教材費などは授業料ではないため、就学支援金の対象にはなりません。

このうち授業料以外の教育費については奨学給付金を充てられるものの、通信制の給付額は年額で10,000円台から50,000円台です。そのため、40万円全体を埋められるわけではありません。

結果として、授業料は無償になっても、通学コースの費用は自己負担として残ります。しかし、それでも、私立全日制よりは安い学費になる場合が大半です。

また、週3日通えるコースには、多くのメリットがあります。

  • 居場所ができる
  • 生活リズムが整う
  • 相談できる大人が近くにいる

金額のみで判断するのではなく、その費用で何が得られるのかをあわせて考えましょう。

ケース③専門分野を学ぶコースの場合

近年では、美容や調理、イラスト、eスポーツなど、専門分野を学べるコースを設けている通信制高校も増えてきました。

専門分野を学ぶコースでは、授業料とは別に「専門コース費」「実習費」などの費用が設定されているのが一般的です。

例えば、以下のケースを想定してみましょう。

  • 授業料:年間30万円程度
  • 専門コース費:年間50万円程度
  • 教材費・実習用具代など:15万円程度

この場合も、就学支援金でカバーされるのは授業料の30万円までです。専門コース費の50万円は対象外となり、教材費とあわせて65万円ほどが自己負担として残ります。

専門コースを検討される場合は、支援金を適用したあとに残る金額が年間いくらになるのかを、必ず入学前に確認してください。3年間分に換算すると想像以上の金額になる場合もあります。なお、分割納入や独自の減免制度を用意している学校もあります。あわせて相談してみましょう。

都道府県独自の授業料軽減制度も確認を

国の制度に加えて、都道府県が独自の授業料軽減制度を設けている場合があります。

例えば、東京都には、私立高等学校等授業料軽減助成金、大阪府には独自の授業料無償化制度があります。

これらは国の支援金に上乗せする形で使えるケースが多く、組み合わせることで負担をさらに減らせる可能性があります。

ただし、内容は自治体によって異なります。お住まいの都道府県の案内を必ず確認してください。

支援を受ける際の注意点

高等学校等就学支援金制度も、高校生等奨学給付金も、自動的に受けられるわけではありません。
ここでは、支援を受ける際に注意すべき点を解説します。

対象は文部科学省の認可を受けた通信制高校

就学支援金の対象となるのは、文部科学省の認可を受けた通信制高校です。サポート校は、通信制高校での学習を支援する民間の教育機関であり、サポート校だけに在籍していても支援金の対象にはなりません。

サポート校を利用する場合は、通信制高校とサポート校の両方に在籍する必要があります。学校選びの際には、その学校が認可された通信制高校なのか、サポート校なのかを必ず確認しましょう。

なお、サポート校を利用する場合は、通信制高校の学費に加えて、年間50万円〜100万円ほどの利用費が発生します。

ただし、2倍の単位を取得するわけではないため、費用が倍になることはありません。

申請しなければ支給されない

どちらの制度も、対象だからといって自動的に支給されるものではありません。申請の手続きをして初めて支給されます。

さらに、いずれも年度ごとの申請が必要で、前年度に受給していても自動的に継続されるものではありません。申請期限を過ぎると、その年度分を受け取れなくなる場合もあります。入学後は、学校から配られる案内を必ず確認してください。

まとめ

この記事では、通信制高校の学費の全体像と2つの支援制度の概要について、詳しく解説し、学費シミュレーションを紹介しました。

通信制高校の学費は、授業料と授業料以外に分けて整理すると見通しが立ちます。授業料を支えるのが高等学校等就学支援金、授業料以外を支えるのが高校生等奨学給付金です。

令和8年度からは、就学支援金の所得制限が撤廃され、私立通信制高校の支給上限額も年額33万7,200円に引き上げられました。奨学給付金についても、対象が年収約490万円未満の世帯まで広がっています。

いずれの制度も、申請しなければ支給されません。まずは、気になる学校の資料を取り寄せ、支援金を適用したあとの実際の負担額を確認しましょう。 なお、この記事に記載した要件は令和8年度時点のものです。制度は変更される可能性があります。最新の情報は、文部科学省の公式サイトでご確認ください。