通信制高校・高等専修学校ニュース

通信制高校に部活動はある?大会に出る学校からオンライン部活まで実態を紹介
高校選びを進めるなかで「通信制高校に進学したら、部活はあきらめないといけないのかな」と不安を抱えている中学3年生は少なくありません。また、保護者の方も「登校日が少ない学校で、部活のような経験ができるのだろうか」と気になるところではないでしょうか。
実は、通信制高校にも部活動はあります。全国大会で上位に入る強豪校もあれば、全国の生徒がオンラインで集まる部活動もあり、その形は年々広がっています。一方で、部活動がない学校やキャンパスもあるため、事前の情報収集は必須です。
この記事では、通信制高校の部活動の実態を、実際の学校の例を交えながら紹介します。
通信制高校の部活動の実態
通信制高校の部活動は、全日制高校とよく似た部分もあれば、大きく異なる部分もあります。まずは全体像を押さえておきましょう。
部活動がある学校・ない学校がある
通信制高校の部活動は、法律で設置が義務づけられているものではありません。そのため、運動部・文化部ともに数多くそろえている学校がある一方で、部活動という形をとっていない学校もあります。「通信制高校ならどこでも部活ができる」わけではない、という点はまず知っておきたいところです。
全日制高校の部活動との違い
全日制高校と通信制高校の部活動において、いちばん大きな違いは、活動の頻度と時間です。通信制高校は毎日登校する前提ではありません。そのため、部活動も週1〜3回程度、1回あたり1〜2時間といった短時間で行われるケースが目立ちます。
その分、上下関係が比較的ゆるやかで、初心者を歓迎する雰囲気の学校が多いのも特徴です。中学時代に部活で疲れてしまったお子さんでも、無理なく再スタートできる環境といえるでしょう。
もう一つの違いは、生徒の年齢や経歴が多様な点です。通信制高校には、中学校を卒業してすぐ入学した人もいれば、全日制高校から転入してきた人や社会人経験を経て学び直している人もいます。同年代だけで構成される全日制高校とは、集団の雰囲気そのものが違う可能性もあります。
参加は基本的に任意
通信制高校の部活動は、ほとんどの学校で自由参加です。全員がどこかに所属しなければならない学校は、ほとんどありません。 そのため、入学時に部活動への入部を決める必要はありません。
まずは、レポート(自宅で取り組む課題)とスクーリング(面接指導)のペースをつかみ、生活が落ち着いてから入部することもできます。
学校によって部活動の充実度は大きく異なる
同じ通信制高校でも、部活動への力の入れ方は学校ごとにまったく違います。ここでは、大会出場という観点から充実度の幅を見ていきます。
「もう一つのインターハイ」に出場する学校がある
通信制・定時制の高校生には、「全国高等学校定時制通信制体育大会(定通大会)」という全国大会があります。定時制高校や通信制高校に通う生徒たちのためのスポーツの全国大会で、全国高等学校体育連盟などが主催しています。
全国高等学校定時制通信制体育大会で開催される競技は以下の通りです。
- 軟式野球
- 陸上競技
- 自転車競技
- ソフトテニス
- 柔道
- 剣道
- バレーボール
- バスケットボール
- サッカー
- バドミントン
実際に、クラーク記念国際高等学校さいたまキャンパスでは、2026年5月の県大会に陸上部員12名が出場し、過去最多となる8名が全国大会出場を決めました。また、日々輝学園高等学校のサッカー部は、2025年度の定通全国大会で横浜校が優勝しています。
日々輝学園高等学校では、東京校の卓球部やバドミントン部、陸上部も県大会に出場するなど、校舎ごとに活発な活動が行われています。
全日制と同じ大会に挑む学校もある
全国高等学校定時制通信制体育大会だけが舞台ではありません。全国高等学校体育連盟に加盟し、全日制の高校と戦う通信制高校もあります。実際に、クラーク記念国際高等学校の硬式野球部は、2016年夏の甲子園に初出場しました。
また、卓球部は全国大会で団体女子優勝・個人優勝を果たすなど、高い実績を残しています。競技を本格的に続けたい中学生にとって、学業と両立しやすい通信制高校という選択肢は、有効な選択肢です。
キャンパスによって部活が違う点に注意
全国にキャンパスを持つ広域性通信制高校では、部活動の設置はキャンパス単位で決まっているケースがほとんどです。そのため、入りたい部活が通う予定のキャンパスにはない場合もあります。
学校名だけでなく、必ず在籍予定のキャンパスの情報を確認しましょう。
サークル活動や同好会を設けている学校もある
「大会を目指すほどではないけれど、好きなことを誰かと一緒に楽しみたい」。そんな気持ちに応えるのが、サークルや同好会です。
部活動とサークル・同好会の違い
部活動とサークル・同好会は、一般的には次のように使い分けられています。
- 部活動:学校が正式に認めた組織で、顧問がつき、大会に出場することもある。
- サークルや同好会:部活動よりはゆるやかな集まり。活動回数が少なかったり、参加が完全に自由だったりする。
ただし、明確な定義があるわけではありません。
なお、通信制高校では、登校頻度が決められていない学校が多いため、同好会に近い形で運営されているケースも珍しくありません。名称にとらわれず、実際の活動内容を確認しましょう。
入りたい部活動がなければ自分でつくれる学校も
近年では、生徒が新しい活動を立ち上げられる学校が増えています。
例えば、飛鳥未来高等学校は「クラブ立ち上げも可能」と明示しており、やりたいことがある生徒が仲間を集めて活動を始められます。希望する部活動が見つからなくても、あきらめる必要はありません。
オンライン部活がある学校も増えている

近年広がっているのが、インターネット上で活動する「オンライン部活(ネット部活)」です。登校が難しい人にも門戸が開かれた、通信制高校ならではの仕組みといえます。
全国の仲間と、画面越しにつながる
N高等学校・S高等学校・R高等学校グループには「ネット部活」があります。
関東では代々木・秋葉原・横浜・川崎・千葉・大宮などにキャンパスがあり、部活動はキャンパスの枠を越えてオンラインで行われます。
美術部は部員数約3,200名(2025年3月時点)を数えるグループ最大級の部活動です。
また、投資部や起業部、政治部といった一般的な高校にはない部活もあり、いずれも各分野の第一線で活躍する特別顧問が直接指導する点が特徴です。
eスポーツ部では毎週木曜にゲームタイトルごとの交流会を開き、数ヶ月に一度はキャンパスに集まるリアル交流会も開催されています。
なお、N高等学校・S高等学校・R高等学校グループには同好会も多数あります。
- 競技かるた
- 鉄道
- コスプレ
- ハンドメイド
「近所に同じ趣味の友達がいない」と悩むお子さんには、ネット部活がおすすめです。
通学負担の少ないコースでも参加できる
クラーク記念国際高等学校のスマートスタディコースでは、e-sports部や宇宙探究部、登山部、オンライン探究部の4つの部活動に参加できます。
スマートスタディコースとは、オンライン学習と、社会で活躍できるスキルを磨く「プロジェクト型学習」を自由に組み合わせるコースです。
なお、関東ではCLARK SMARTさいたま、同千葉、同東京、同横浜などがスマートスタディコースを設けています。「登校日数は抑えながら部活動をやってみたい」という希望を、どちらも叶えられるコースです。
オンライン部活を選ぶときの注意点
一方で、身体を動かす運動部はオンラインだけでは成立しにくくなります。そのため、対面と組み合わせる形が大半です。
また、自分から発言しないまま在籍だけが続いてしまうケースもあります。
文化祭や交流会など、リアルで顔を合わせる機会があるかどうかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。
通信制高校ならではの特色ある部活
通信制高校には、全日制高校ではあまり見かけない部活動もあります。
例えば、eスポーツ部は近年、導入校が増えています。eスポーツは、コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉えるスタイルです。日本国内でも、ファン数や市場規模が増加しており、通信制高校の部活での人材育成も進んでいます。
トライ式高等学院では、一部のキャンパスにeスポーツ部が設置されています。eスポーツは年齢や体力差に左右されにくいため、幅広い生徒が気軽に参加できる点も魅力です。
また、明聖高等学校には、全国的にも珍しいサーフィン部が設置されており、全日本サーフィン選手権では毎年上位の成績を収めています。
なお、専門コースを持つ学校では、授業で身につけたスキルを部活動で発揮できるのも通信制高校の強みです。
通信制高校で部活動に参加するメリット
部活動は「やってもやらなくてもいいもの」と思われがちです。しかし、通信制高校においては、想像以上に大きな役割を果たします。
1.友達ができ、学校に居場所ができる
通信制高校は、全日制高校よりも登校日数が少ない分、生徒同士の接点が生まれにくくなる場合があります。
部活動は「好きなことが同じ」という前提で人が集まる場です。そのため、会話のきっかけをつくりやすく、自然に友達ができます。
たとえばイラスト系の部活なら、画面を見ながら「その塗り方どうやっているの?」と聞くところから会話が始まります。
また、卓球部なら、ラリーを続けているうちに自然と仲間と打ち解けているケースもあるでしょう。
教室で頑張って自己紹介をしなくても関係が育っていくのは、人づきあいに苦手意識を持っているお子さんにとって大きな安心材料です。
2.登校のきっかけになり、生活リズムが整う
「週に1回、この日は部活がある」という予定があるだけで、生活リズムが安定します。具体的な目的が生まれれば、学校にも足が向きやすくなるでしょう。
少しずつ学校に通う習慣をつけることで自然と生活リズムが整い、不登校の克服にもつながります。
部活動は、前向きな気持ちを取り戻すための最初の一歩となります。
3.好きなことが進路につながる
eスポーツ、プログラミング、イラスト、専門性の高い部活動での経験は、大学の総合型選抜(旧AO入試)や就職活動で語れる実績になります。
「何に取り組み、どう工夫し、何を学んだか」を自分の言葉で話せることは、大きな強みです。
総合型選抜では学力だけでなく、主体性や協調性などの人間性が評価されます。大きな成果がなくても、日常の努力や小さな役割から得た気づきでも十分に勝負できます。
4.自己管理力と社会性が身につく
通信制高校では、自分で計画を立てて学習を進めます。そこに部活動が加わると、限られた時間をどう配分するかを考える力が育ちます。
また、年齢や経歴の異なる仲間と協力する経験は、社会に出ても必要です。 なお、文部科学省が公表している「部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」では、異年齢との交流、生徒同士の交流で好ましい人間関係の構築を図るのが部活動の目的である旨が明記されています。
部活動を重視する時に確認したいポイント
部活動の活動実績は、学校のパンフレットやホームページだけでは分からない部分が多くあります。そのため、学校説明会やオープンキャンパスに行き、以下のポイントを直接確認しましょう。
- 通う予定のキャンパスに希望する部活動があるか
- 活動日・活動時間はどれくらいか
- 出場している大会
- 通学コースの生徒限定か、在宅コースでも参加できるか
- 用具代や遠征費など、追加の費用はかかるか
なお「部活動はありますか」と聞くだけでは、パンフレットと同じ答えしか返ってきません。「今年度、この校舎で実際に動いている部はどれですか」「部員は何人くらいですか」と具体的に尋ねると、実態が見えてきます。
また、可能であれば、活動日に合わせて見学させてもらいましょう。
まとめ
この記事では、通信制高校の部活動の実態を紹介しました。
通信制高校の部活動は、全国大会を目指す本格的なものから、オンラインで気軽に集まるものまで、選択肢が大きく広がっています。「通信制高校だから部活はできない」と諦めずに、一校ずつ確認しましょう。
好きなことに打ち込める場所は、学びのモチベーションや進路にも、高校生活の思い出にもつながります。
ぜひ、部活動という視点も持ちながら学校選びを進めてください。
なお、この記事に掲載した部活動の設置状況や実績は、変更されている場合もあります。最新の情報は各学校の公式サイトや説明会でご確認ください。