通信制高校・高等専修学校ニュース

通信制高校と定時制高校の違い|学習スタイルや登校頻度などを比較
高校進学というと、多くの人が「全日制高校に通う」というイメージを持っているかもしれません。
しかし、不登校を経験したお子さんや自分のペースで学びたいと考えるお子さんにとって、通信制高校や定時制高校は、有力な選択肢です。
一方で、通信制と定時制の違いや自分に向いている選択肢が分からないという中学生や保護者の方もいるでしょう。
この記事では、通信制高校と定時制高校について、学習スタイルや登校頻度などの観点から比較します。また、「3年間で高校卒業を目指したい」という人に向けて、どちらの選択肢が向いているのかも紹介します。進路選択の参考にしてください。
通信制高校と定時制高校の違い

通信制高校と定時制高校は、どちらも高校卒業資格を取得できる学校です。しかし、その学習形態は大きく異なります。まずはそれぞれの基本的な仕組みを理解しましょう。
通信制高校とは
通信制高校とは、主に自宅での学習を中心として単位を取得する高校です。通信制高校の学習は、主に次の3つの要素で構成されています。
- ①レポート(添削指導)
- ②スクーリング(面接指導)
- ③テスト(試験)
毎日学校に通う必要はなく、週1日程度から、週5日通学するタイプまで学校やコースによって異なります。
また、私立の通信制高校ではサポート校と提携する学校もあり、一人では難しい学習管理や進路指導を手厚くサポートしてもらえる環境が整っています。サポート校とは、通信制高校に通う生徒の支援のために設けられた教育施設です。
通信制高校の最大の特徴は「自分のペースで学べる」という柔軟性です。体調や生活環境に合わせて学習量を調整できるため、さまざまな事情を抱えた生徒にとっても無理なく高校卒業を目指せます。
なお、近年では、オンライン授業を積極的に取り入れている学校も増えており、全国どこからでも質の高い教育が受けられます。
定時制高校とは
定時制高校とは、夜間、もしくは昼間の決められた時間に通学して学習する学校です。通学する時間帯は高校により、以下のいずれかのパターンとなります。
- 夜間定時制:17:30〜21:00頃に登校する。日中に仕事をしている社会人が多い。
- 昼間二部定時制:午前または午後に通う。全日制に近いリズム。
- 三部定時制:午前、午後、夜間から選択。自分の都合に合わせて登校できる。
定時制高校の1日の授業時間は、4時間程度です。そのため、卒業に4年を要するケースがほとんどです。
ただし、近年では、三部制を設けている定時制高校が増加しました。三部制の高校では、一般に、午前の部に在籍する生徒が午後の部の一部を履修することにより、3年間で卒業が可能となります。
定時制高校は基本的に教室で授業を受ける学校です。そのため、毎日の通学が前提であり、学校が定めた時間割に沿って学習を進めます。
通信制高校と定時制高校の学習スタイルの違い
通信制高校と定時制高校では、日々の学習の進め方が異なります。どちらのスタイルが自分に合っているかを考えて、自分に合う進路を選択しましょう。
通信制高校は自分のペースで学習する
通信制高校の学習の中心は、レポート(添削指導)と呼ばれる課題の提出です。教科書や配布資料から、穴埋めや選択式、記述問題が出題されます。
レポートは自宅で学習し、決められた期限内に提出します。授業の一環としてレポート作成指導を行う学校もあります。内容の理解と3年間での卒業を実現するために、非常に有効なサポートです。
なお、近年では、インターネットを活用したオンライン学習を導入している学校も多く、自宅にいても動画教材を繰り返し視聴して学習を進められます。
また、スクーリングと呼ばれる登校日には、先生や他の生徒と直接交流しながら学ぶ機会もあります。スクーリングの頻度は学校によって異なりますが、以下のようなパターンが一般的です。
- 集中・合宿型:年間数日〜10日程度。夏・冬休みなどにまとめて登校、または宿泊で行う。
- 通学型:月に1〜3回程度のレポート中心のパターンや週1〜5日の全日制に近いパターンなどがある。
スクーリングは、先生から直接指導を受けられるため、学習の質をより高める効果があります。
定時制高校は授業形式で学ぶ
定時制高校では、全日制高校と同じように教室で先生の授業を受けるスタイルが基本です。夜間に1日4時間程度の授業が設けられており、毎日出席して単位を積み重ねていきます。
先生から直接説明を聞き、疑問点をその場で解消できる点は、授業形式ならではのメリットです。
ただし、定時制高校では学校が定めた時間割に沿って学習を進める必要があるため、学習ペースを自分で大きく変えることはできません。また、昼に仕事をしてから夜に学校に通う場合は、体力的な負担も大きくなります。
集団での授業形式に慣れているお子さんや人との交流を通じて学びたいお子さんには定時制高校が向いています。
登校頻度の違い
毎日の通学が難しいお子さんにとって、登校頻度は生活の質に直結する問題です。通信制高校と定時制高校では、登校においても大きな差があります。
通信制高校の登校頻度は自由に選択可能
通信制高校の最大の特徴のひとつが、登校頻度が柔軟に選べる点です。自分の状況や目標に合わせて学習ペースを確立できます。
毎日の登校が必須ではないため、遠方に住んでいるお子さんや外出に不安があるお子さんも安心して学習が進められます。
また、アルバイトやスポーツ、芸能活動などと両立しやすいのも通信制高校のメリットです。
定時制高校は週5日通学が基本
定時制高校では、基本的に週5日の通学が求められます。学校によって異なるものの、17時〜21時頃に授業が行われるケースが多くあります。
定時制高校のメリットは、毎日の通学を通して友人関係を築きやすい点です。また、社会人として働きながらでも高校卒業を目指せます。
ただし、夕方や夜間の通学に通学する場合には、帰宅が遅くなる日も多く、翌朝の体調管理や家族の理解・サポートも必要です。
卒業までの流れ

通信制高校と定時制高校では、卒業までの一般的な流れと年数に違いがあります。
高校卒業までの期間は、進学後の計画に大きく影響します。大学受験を見据えている場合や、早期に社会に出たい場合など、目標によって卒業に要する期間は重要な判断基準となるでしょう。
通信制高校は3年間で卒業できるケースが多い
通信制高校には、年間に履修する単位数を自分でコントロールできる学校もあります。そのため、3年間での卒業が十分に可能です。実際に、通信制高校に在籍する生徒の多くが3年で卒業しています。
自分のペースで学習を進めながらも、計画的に単位を取得していくことが、3年間での卒業を実現するポイントです。
また、サポート校や個別指導を行う学校では、学習の進捗管理や試験対策のサポートを受けながら卒業を目指せます。そのため、一人での学習に不安がある生徒でも安心して取り組めます。「3年で高校を卒業して大学を目指したい」という目標がある場合には、通信制高校は非常に現実的で有力な選択肢です。
定時制高校は4年卒業が一般的
定時制高校は、1日の授業時間が全日制より短いため、卒業に必要な単位を修得するのに4年間かかるケースが一般的です。
全日制・通信制の3年間に比べて1年多く在学する必要があります。
ただし、近年では「3年制コース(三修制)」を設置している学校もあります。
3年制コースであれば、以下の条件を満たした場合に最短で3年で卒業が可能です。
- 夜間に加えて昼間の授業を受ける
- 通信制高校の授業を併用する
しかし、この制度は全ての定時制高校で利用できるわけではありません。4年制の学校では認められない場合もあります。
3年での卒業を強く希望する場合は、志望する定時制高校にそのような制度があるかを必ず事前に確認しましょう。
なお、高校を卒業するには以下の条件を満たす必要があります。
- ①3年間以上の在籍
- ②合計74単位以上の取得
- ③特別活動への30時間以上の参加
この条件は、全日制や定時制、通信制の全課程において共通しています。
通信制高校に向いている人
通信制高校はその柔軟な学習スタイルから、さまざまな事情や個性を持つ生徒たちに選ばれています。
「自分のペースで学びたい」という意志を持つ生徒には通信制高校での学習が最適です。
通信制高校では、学習の時間や場所を自由に設定できるため、得意科目は先に進み、苦手科目には時間をかけて学び直すなど、自身の学力に合わせた学習計画が立てられます。
また、不登校を経験したことがあるお子さんにも通信制高校が向いています。
通信制高校は、毎日通学する必要がありません。そのため、対人関係や環境への不安を抱えていても自宅から少しずつ学習を再開できます。
アルバイトや芸能活動、スポーツなど、学業以外にやりたいことがある生徒にとっても通信制高校は理想的な選択肢です。
通学日数が少ないため、自分の活動に使える時間が多く確保できます。
定時制高校に向いている人
「毎日学校に通いたい」「規則的な生活リズムを保ちたい」というお子さんには定時制高校が向いています。
友人と毎日顔を合わせて学校生活のつながりを感じられる点も、定時制高校ならではの魅力です。
また、授業形式の方が合っていると感じるお子さんにも向いています。
わからないことをその場で先生に質問できる環境を好むお子さんには、教室での授業スタイルが最適です。
さらに、昼間は働いている生徒にとって、定時制高校の時間帯は現実的な選択肢です。
定時制高校の注意点

定時制高校には毎日通学できる安心感や授業形式の学びやすさという魅力があります。
一方で、進路選択前に必ず把握しておきたい注意点も存在します。特に「高校卒業後に進学を考えている」「同世代の友人と高校生活を送りたい」というお子さんは、以下の2点をしっかりと検討してください。
進学指導が不足しているケースが大半
定時制高校に在籍する生徒には、すでに働きながら通学している人が多くいます。また、高校卒業後も就職を希望している生徒が大半です。
そのため、学校全体の指導方針も就職支援を中心に組まれており、進学を希望する生徒に向けた大学受験対策が十分に用意されていない学校がほとんどです。
定時制高校では、大学受験を意識した進学講習や模試対策、志望校別の受験指導といったサポートは、ほぼありません。大学・専門学校への進学を視野に入れている場合は、学校の指導体制だけに頼らず、外部の塾や予備校に通う必要が生じます。その分、費用や時間の負担も増えます。
進学を希望するお子さんには、通信制高校が最適です。
年齢層の幅が広い
定時制高校には、中学を卒業したばかりの15歳から、社会人経験を経て学び直しに来た大人まで、幅広い年齢層の生徒が在籍しています。
多様な背景を持つ人たちと交流できる点は、お子さんの視野が広がる貴重な経験になります。しかし「同じ年齢の同級生と青春を過ごしたい」「同世代の仲間と一緒に高校生活を楽しみたい」という希望がある場合には、ミスマッチを感じてしまうでしょう。
中学卒業後、学齢と同じ年齢層の仲間に囲まれた高校生活を望むのであれば、同年代の生徒が多く集まる私立通信制高校のほうが適しています。
私立通信制高校には、10代の生徒が中心の学校も多く、課外活動やイベントを通じて同世代とのつながりを築きやすい環境が整っています。
進学先を選ぶ際には、学力面だけでなく、どのような人間関係の中で高校生活を送りたいかという点も合わせて考えましょう。
まとめ
通信制高校と定時制高校は、どちらも高校卒業資格を取得できる学校です。
しかし、学習スタイルや通学頻度、卒業までの流れには大きな違いがあります。
通信制高校は自宅学習を中心とした自由度の高い仕組みで、3年間での卒業が実現しやすい学校です。そのため、不登校経験者や自分のペースで学びたい生徒に特に向いています。
定時制高校は、一般的に夕方〜夜間に通学する学校で、規則的な生活リズムを好む生徒や授業形式が合う生徒に向いています。
特に「3年で卒業したい」「通学の負担を減らしたい」という場合は、通信制高校が適しています。
ただし、学校ごとに特徴や支援体制も大きく異なるため、資料請求や学校説明会などを通じて、実際の雰囲気やサポート内容を確認することが大切です。
自分に合った進路を見つけるための第一歩として、まずは情報収集から始めてみましょう。